秩父蒸溜所レポート!イチローズモルトは“魅力的な人たち”が造っていた

秩父蒸溜所レポート!イチローズモルトは“魅力的な人たち”が造っていた

世界的に人気を集めているジャパニーズウイスキー。
その中でも評価が高く、ウイスキーファンが求めてやまないブランドの一つがイチローズモルト。

今回そのイチローズモルトが造られる“秩父蒸溜所”の取材をしてきました!
その際の様子を、写真を多用しながらレポートしていきます。

世界に名をはせるウイスキーの製造現場には、魅力溢れる人たちがいました。

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そもそもイチローズモルトとは?秩父蒸溜所とは?

秩父蒸溜所は2008年に設立された小規模な蒸溜所で、その名のとおり埼玉県秩父市にあります。
ウイスキーファンの間では有名な今はなき羽生蒸溜所の、創設者の孫にあたる肥土伊知郎さんによって設立されました。

ビジターセンター内の写真

秩父蒸溜所が手がけるイチローズモルト(シングルモルト)。

秩父蒸溜所で造られるウイスキーは、“イチローズモルト”の名のもと、シングルモルトの他、羽生蒸溜所の残った原酒と同蒸溜所の原酒をブレンドした“ダブル・ディステラリーズ”シリーズや、ブレンデッドウイスキーなどが展開されています。

イチローズモルトはいずれも世界的に評価が高く、ウイスキー業界の権威あるコンテストであるワールドウイスキーアワード(WWA)での最優秀賞など、過去に受賞したアワードは枚挙にいとまがありません。

それもあって世界中のウイスキーファンが求めてやまないブランドとなっており、現在、超!がつく入手困難な状態となっています。

秩父蒸溜所内を見学

秩父蒸溜所は、秩父の街中から少し離れた、自然豊かな小高い丘の上にあります。
一般見学は行なっていませんが、敷地内には小さなビジターセンターがあり、その奥に発酵や蒸溜などを行う製造棟があります。

この日出迎えてくれたのは、アンバサダーの吉川由美さんと、若手の奥山太郎さん。
その奥山さんによる、少しユーモアで人間味に溢れる解説を聞きながら、製造工程順に設備や仕組みの案内が進んでいきます。

奥山さん

大麦麦芽(モルト)について楽しそうに語る奥山さん。

まずはウイスキーの原料である大麦麦芽(モルト)の仕込みの様子。
現在秩父蒸溜所では、海外産のモルトの他、契約農家が栽培する地元秩父産のモルトも少量ながら使用しています。

大麦麦芽(モルト)

モルトを実際に食べさせてもらった。

続いてそのモルトにお湯を加え液状(麦汁)にする工程へ。
設備を使用しながらも基本的には人が判断し、処理を行います。

麦汁を得る工程。糖化槽。

麦汁を得る工程。酵素の力を借りて、モルトの主成分のデンプンを糖分へ分解し、発酵できる状態にする。

その次に、発酵させる工程へ。
発酵槽という設備を使用するのですが、ユニークなことに秩父蒸溜所では、木製の、しかも日本のミズナラ材の発酵槽を使用しています。
実はミズナラ材を使用しているのは世界でもここだけ。
香木のような香りが特徴的なミズナラ材ですが、その香りではなく、他の木材とは異なる種類の乳酸菌の生成に期待して使用しているのだと言います。

ミズナラ材の発酵槽

秩父蒸溜所独自のミズナラ材の発酵槽。

いよいよ蒸溜所の目玉設備、ポットスチルへ

それにしても奥山さんの解説は、何か本人が楽しそうで、聞いてるこちらを楽しませてくれます。

さて、発酵の次はいよいよ蒸溜工程。
ウイスキーの原酒が出来上がる瞬間です。
秩父蒸溜所では、現在3年以上もの納期待ちが発生しているとされる本場スコットランドのフォーサイス社の蒸溜器(ポットスチル)を使用しています。
とても小ぶりなポットスチルで、容量は2基とも2000L。
この数字は、導入当時のスコットランドでは法律で下限に定められていた容量だそうで、いかに小さいかが分かります。

秩父蒸溜所のポットスチル

秩父蒸溜所のポットスチル。

ここでは前工程で発酵させたモロミを蒸溜し、高アルコールの原酒を作り出すのですが、重要なのは良い状態の原酒のみを取り出すこと。
原酒は状態ごとに、ヘッド、ハート、テールの3つに区分分けされるのですが、最も状態が良いとされるハートのみが樽に詰められウイスキーとなります。

その選別は、一般的には機械を使って行いますが、秩父蒸溜所では人間の鼻と舌をフル活用して行います。

上のレバーを操作してハートを取り出す。至近距離で蒸溜の様子を見せてくれる蒸溜所はなかなか無い。

上のレバーを操作してハートを取り出す。ここまで至近距離で蒸溜の様子を見せてくれる蒸溜所はなかなか無い。

ヘッド&ハートが並べられている

実際にヘッドやハートを嗅がせていただいた。鼻につくイヤな香りが消えたものがハートだという。

貴重な原酒が眠る熟成庫の中へ

そして最後の案内されたのがウイスキーをウイスキーたらしめる“樽熟成”を行う熟成庫。
ここで何年も熟成され、イチローズモルトが出来上がります。

秩父蒸溜所の熟成庫

秩父蒸溜所の熟成庫。カメラの設定で明るく見えるが実際はかなり薄暗い。

秩父蒸溜所では、バーボン樽を基本にシェリー樽やワイン樽、そしてミズナラ樽などバラエティ豊かな樽を熟成に使用しています。
また、実験的にラム樽やテキーラ樽での熟成も行っているようです。

熟成庫の奥には秩父蒸溜所での製造第1号の原酒も保管されており、今年で10年目を迎えたのだとか。

秩父蒸溜所での一番最初の原酒

秩父蒸溜所で一番最初に樽詰めされた原酒。

いずれにせよ全ての原酒は、人が状態をチェックしながら熟成を進めているようです。

最後は貴重な原酒を試飲

全ての設備の見学が終わると、ビジターセンターへ戻り試飲へ。

ビジターセンターには販売されているシリーズの他、瓶詰めされた貴重な原酒も保管されています。
いくつか試飲させていただきましたが、なかでも印象的だったのがバルバドス・ラムの原酒。
10年近く熟成させたもので、とても濃厚で複雑な甘みを感じる味わいでした。

バーボン樽熟成のオーソドックスなタイプの原酒。

バーボン樽熟成のオーソドックスなタイプの原酒。ほぼ10年熟成。

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何より印象的だったのは、魅力溢れる蒸溜所の人たち

蒸溜所の設備や、試飲させていただいた原酒も含め、いずれも素晴らしいものでしたが、今回の取材で最も印象的だったのは蒸溜所の人たち。

秩父蒸溜所の吉川さん(右)と奥山さん(左)

今回対応していただいた吉川さん(右)と奥山さん(左)。

ウイスキー蒸溜所の人と聞くと、多くを語らないような職人気質の人を想像するかもしれませんが、今回ご対応いただいた吉川さんや奥山さんを筆頭に、秩父蒸溜所でウイスキーを造るのは“ウイスキー好きの気の良い人たち”。
話していてウイスキーに対する愛情が伝わってくるのはもちろん、みな陽気で、スタッフ同士のやりとりを見ていても何か温かみを感じ、きっとウイスキー愛でつながっているだろうと感じました。

世界に名をはせるイチローズモルトは、秩父の自然はもちろんのこと、ウイスキー好きの魅力的な人たちが造っていたのです。

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小針 真悟
著者:小針 真悟

[LiquorPageオーナー / GINfest.TOKYO運営メンバー] 豊富な現場経験や長年のお酒愛によって、ジンを筆頭にあらゆるお酒の知識を持つ。

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