オーガニック・クラフトジン「コーヴァル」の魅力を徹底解説

クラフトジン・KOVAL

世界的なブームとなっており、ここ日本でも着実にブームの波が押し寄せているクラフトジン。
リカーページをご覧になっている方なら、既に何度か取り上げているのでご存知かもしれません。

クラフトジンとは大量生産ではなく強いこだわりのもと作られたプレミアムなジン。
そのクラフトジンのなかでも一際異彩をはなつのが今回ご紹介するシカゴのクラフトジン・コーヴァルです。
実は先日、作り手による来日セミナーがあり、それに参加してきました。本記事ではその内容をもとに、コーヴァルの魅力について迫っていきます。

クラフトジンについて詳しく知りたい方はこちら。
日本でも流行必至!クラフトジンとはどんなジンなのか?
そもそもジンってどんなお酒?という方はこちら。
今更聞けない!ジンってそもそもどんなお酒?

シカゴのクラフト蒸留所「コーヴァル蒸留所」発のクラフトジン

クラフトジン・コーヴァルは、アメリカ・シカゴにある「コーヴァル蒸留所」が手がけるジン。
このコーヴァル蒸留所は、今アメリカで流行っているクラフト蒸留所(小規模な蒸留所、マイクロディスティラリーとも)にあたり、その先駆け的な存在として知られています。

コーヴァル蒸留所があるシカゴの街並み

禁酒法時代以来、80年以上ぶりシカゴに誕生した蒸留所

2008年にシカゴに誕生した新しい蒸留所で、ロバート・バーネッカー、ソナト・バーネッカーの夫婦二人によって立ち上げられました。
このお二方、凄い経歴の持ち主で、妻であるソナトは元モデルで、オックスフォード大卒、そしてドイツ、アメリカの大学で教授をしていたという才色兼備な方で、夫ロバートはオーストリア出身で、米国オーストリア大使館の元副報道官という、なんともエリートな方々。

なぜそんな誰もが羨むキャリアを捨ててまで、お酒作りを始めたのか?

それはまず、ロバートの実家が蒸留所兼ワイナリーを営んでいたこと、そしてソナトの生まれ故郷がシカゴだったことが関係しています。
二人で何か新たなビジネスを始めようと考えた際に、ソナトの故郷シカゴには80年以上新たな蒸留所が生まれていなかったこと、そして当時アメリカでは小規模な蒸留所はほとんどなかったこと、そしてロバートは幼少期の環境から丁寧にお酒を作り上げるクラフトマンシップに特別な想いがあったこと。
これらが重なりシカゴにコーヴァル蒸留所を設立することを決めたのだそうです。

なんとも魅力的なエピソードですが、もちろん魅力はそれだけではありません。
お酒作りは全く新しい方法で、なおかつ徹底的なこだわりのもと作り出されています。

それではいくつかある特徴を4つに分けて見ていきましょう。

1. 原材料全てがオーガニック

まずコーヴァルの特徴を語る上で欠かせないのが、原材料の全てがオーガニックであること。
しかもただオーガニックであるだけでなく、原料の全てを契約農家から調達し、さらに仕込みに使用する酵素・酵母、そして熟成に用いる樽までもがオーガニック認定を受けたものという徹底ぶり。
またコーヴァル蒸留所は、世界で最も厳しい食品規定とも言われる「コーシャ(Kosher)」認定も受けており、原料にとことんこだわった作り手なのです。

コーシャとは?
ユダヤ教で定められた食品規定で、食べて安全なものを指し、育て方や製法などが厳しく規定されており、認められた食品にはコーシャマークがつきます。
オーガニックよりも格上の規定とされ、今アメリカでは健康意識の高い人たちの間でブームとなっています。
詳しく知りたい方はこちらのサイトをご覧ください⇒Kosher.jp

2. 先進的な技術を用いる

設備について語るロバートさん

最新設備について語る創業者のロバートさん

コーヴァルでは、用いる技術にも特徴があります。
お酒を作るうえで最も大切な設備とも言える、蒸留器にハイブリットスチルという先進的な設備を用いていることです。
これはポットスチルとコラムスチルという、これまでは別々で使用するのが当たり前だった機器を連結させたもので、これをiPadなどの電子機器でコントロール。
そうすることで常に安定した品質のお酒を作り出すことが可能になります。

またそこから作り出されたお酒は、実際に使用するのは味わいが安定している良い状態の部分だけで、それ以外は一切使用しないというこだわりぶりです。

3. コーヴァルはクラフトウイスキーで有名な作り手

コーヴァルのミレットウイスキー

コーヴァルの有名なミレット(きび)ウイスキー

今回はメインでご紹介するのは、コーヴァルが手がけるクラフトジンですが、この作り手は実はクラフト・ウイスキーという分野でも非常に有名です。
先にも紹介したようにクラフト蒸留所の先駆け的な存在で、他の作り手への指導にも携わるなど、ブームを作ったと言っても過言ではないでしょう。
また前述のように、特別な技術とこだわりを持って作られるウイスキーは、当然ながら質の高いものとなっており、これまでに世界的なコンペで数々の賞を受賞しています。

そのことからコーヴァル蒸留所は、Whisky Advocate誌が選ぶ「最も影響力のあるクラフト・ウイスキー・メーカーの1社」にも選ばれています。

4. まるでアロマデュフューザーのようなおしゃれボトル

コーヴァルのボトルは一貫してモダンでおしゃれ

コーヴァルのボトルは一貫してモダンでおしゃれ

お酒を語る上では重要視されることが少ない「見た目」の部分ではありますが、ここは筆者としては特に推したい点です。
コーヴァルはジンを含む全てのお酒が、一貫してモダンで美しいデザインなのです。
ジンにしろウイスキーにしろ、まるでアロマデュフューザーのようなおしゃれなデザインで、飾るだけでも価値があるようなボトルとなっています。

筆者が考えるに、お酒にとっても見た目は大事な要素
人が見た目に左右されるのは有名な話ですが、実は食も見た目が味わい大きく左右すると言われています。
例えばフレンチは、綺麗に盛りつけてあるから特別なのであって、もし見た目を気にせず大皿に全部まとめて出されたら特別なものとは感じないでしょう。

何かとないがしろにされがちなお酒のボトルデザインですが、そこにも徹底的にこだわり、魅力的なデザインとなっているのがコーヴァルなのです。

コーヴァルのクラフトジンは2種

さて、ここまではコーヴァルとは?といった基本情報のご紹介でしたが、ここからはいよいよジンについてのご紹介です。
実はコーヴァルにはジンは2種類あります。
簡単にいうと、ドライ・ジンというオーソドックスなジンと、樽での熟成を経たバレルド・ジンです。

それではそれではそれぞれ個別に見ていきましょう。

ドライ・ジン

良い意味でお酒とは思えない美しいボトルデザインに目がいくドライ・ジン。こちらももちろん原材料は全てオーガニックです。
オーガニック・ジンとしてはとても有名な銘柄で、品質も折り紙つきで、SWSCという世界的な酒類コンペでダブル・ゴールド賞を受賞しています。

そしてこちらのジンの特徴は、ベースとなるスピリッツも自社で作っていること。
どういうことかというと、まずジンはベースとなるスピリッツに各種ボタニカルを加えることでできるお酒です。実は多くのジン生産者はこのベーススピリッツは他社から取り寄せるのですが、コーヴァルではベーススピリッツも自社でこだわって作られています。
もちろんこのベーススピリッツも原料はオーガニックの穀物です。

このコーヴァル・ドライジンは、ジンのなかではかなり華やかな香りで、味わいはソフトでとても飲みやすく、女性も楽しめるジンです。

【味わい】
ハーバルというよりフローラルな香りで、華やかで心地よい香りとなっています。味わいはライトでシトラス系の爽やかな風味がありつつ、丸みを感じる優しい味わいとなっています。

【オススメの飲み方】
ストレート、ロック(お好みでレモンやライムを添えても)、ソーダ・トニックウォーター割、他カクテル各種

バレルド・ジン(樽熟成ジン)

ドライ・ジンとして作られたものを樽で熟成させたものがこのバレルド・ジンです。
樽もオーガニック認定を受けたもので、自社のウイスキーの熟成に使ったものを再利用し、これで約6ヶ月以上熟成させて完成します。ここまで徹底してオーガニックな熟成ジンは類を見ません。
樽で熟成させるためお酒の色がゴールドっぽく変化し、味わいもドライジンとは違ったニュアンスとなっています。
熟成によってドライ・ジンより丸み、甘みが増しているので、人よってはこちらの方が飲みやすいかもしれません。

ちなみに美しいボトルデザインは、ロサンゼルスの国際酒類コンペのパッケージ部門・金賞を受賞しています。

【味わい】
ドライジンの華やかでフローラルな香りがありつつ、フルーティーな香りが加わっています。味わいは丸みが増し、フルーティーで少しココナッツのような甘みも感じます。

【オススメの飲み方】
ストレート、トワイスアップ、ロック(お好みでオレンジなどを添えても)

※トワイスアップとは、お酒と水を氷なしで半々で割る飲み方です。アルコールの刺激を和らげ飲みやすくなるだけでなく、最も味わいをつかみやすい飲み方とも言われています。

2種が入ったギフトパックも

実はコーヴァルには上記2種のジンをセットにしたギフトパックなるものもあります。
本来は1本500mlのところ、ギフトパックでは1本200mlとなっており、価格も抑えられています。

可愛らしいサイズのコーヴァルがおしゃれな箱に包装されており、2本並ぶとボトルの美しさがより際立ちます。
ギフト用としてはもちろん、筆者的には異なる味わいの2種の飲み比べ用としてもオススメしたいです。

ちょっと豆知識

最後に、コーヴァルの名前の由来についてちょっとした豆知識を…
コーヴァルとはユダヤ系の言葉で「黒い羊」という意味。
これは「普通ではないことをする人」という表現で用いられ、現代英語では「誰もやったことのない事を成し遂げる者、先駆者」という意味合いで使われているそうです。
創業時の想いに加えて、創業者のソナトの叔父がユダヤ人だったこともあり、この名にしたのだとか。

まとめ

ここまでコーヴァルの基本情報とこだわりのクラフトジンについてご紹介してきましたが、その魅力についてお分かりいただけたでしょうか?

ざっくりとまとめると…

コーヴァルのクラフトジンとは、全てがオーガニックで、先進的な技術と強いこだわりのもと作られ、質はもちろんデザイン性も兼ねそろえたジン

…ということになります。

ボトルデザインは特に、SNSでついつい発信したくなるような魅力的なものとなっていますね。
優しい味わいでクラフトジン入門にもぴったりな銘柄なので、ジン初心者の方にもオススメです。
まずは一度コーヴァルを味わってみてください。

それでは、以上「オーガニックでおしゃれなクラフトジン「コーヴァル」に迫る」でした。

コーヴァル国内代理店公式ページはこちら
コーヴァル|スコッチモルト販売社
著者:小針 真悟

[LiquorPage運営責任者] お酒の現場を7年経験したのちに独立。お酒の魅力を多くの人に知ってもらうべく、2016年11月に「LiquorPage」の運営を開始。 洋酒から和酒まで幅広い知見をベースに、様々な酒類専門メディアの執筆・編集のほか、酒類イベントの企画運営やWEB制作、プロモーション業にも携わる。写真撮影も行うなど、お酒を通じた様々な制作業を一人でこなす。(ただの酒好き)

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