クラフトジン岡山〜話題の国産ジンの特徴・魅力を徹底解説!

クラフトジン岡山・徹底解説

今や世界的なブームとなっているジンですが、なかでも今大注目となっているのがここ日本で造られるジャパニーズ・クラフトジンです。

これらは海外産のジンとは異なる、日本の地域性や強みが活かされたジンであるのが特徴ですが、本記事でご紹介するのはそのなかでも異彩を放つ銘柄「クラフトジン岡山」

本記事では、クラフトジン岡山について、ざっくりと特徴や魅力が分かる基本的な情報からジンとしての造りが分かる専門的な情報まで、徹底的に解説していきます。

クラフトジンとは
ジンはベースのスピリッツに、ハーブや果皮、スパイスなどの「ボタニカル」を数種加え蒸留させてできるスピリッツ。
ジュニパーベリーは必須だが、ボタニカルのレシピは各銘柄様々。度数は40〜50度が一般的。
クラフトジンは、ジンの中でも少量生産で(ボタニカルや製法など)強いこだわりのもと造られる個性的なジン。
【クラフトジンの基本について〜特徴と銘柄まとめ】

クラフトジン岡山とは

クラフトジン岡山は、その名のとおり岡山県で造られており、日本酒や焼酎、ビールなどを造る「宮下酒造」が手がけています。
クラフトビール「独歩」が有名な酒造ですが、近年は「岡山蒸留所」としてモルトウイスキーの生産も手がけるなど、洋酒界でも存在感を増している酒造でもあります。
それもあってかクラフトジン岡山の生産においては、ウイスキーと同じように樽熟成を導入(よってジンは色づいている)。さらに元々が日本酒の蔵とだけあって、ジンは米焼酎をベースに造られており、ユニークであり、日本らしさが光るクラフトジンとなっています。

そのクラフトジン岡山がリリースされたのは2016年。
かなり最近のように思うかもしれませんが、今取りざたされているジャパニーズクラフトジンの多くは今年に入ってリリースされたものばかりで、同カテゴリの中では先輩的な銘柄でもあります。
そうでありながらも、米焼酎をベースに使用し、樽熟成を用いるといった革新性はジャパニーズクラフトジンの一つの指標となったかもしれません。

クラフトジン岡山の特徴・魅力まとめ

ジャパニーズクラフトジンを先導するクラフトジン岡山は、その中でも際立った個性を持つ銘柄。
なかでも個性的な特徴を3つあげるなら…

  1. 米焼酎をベーススピリッツに使用
  2. 10種のボタニカルをハイブリッドスチルで蒸留
  3. 樽熟成させた国内初のジン

これらの特徴によって、クラフトジン岡山は個性が際立つジンなっています。
それぞれ詳しく見ていきましょう。

米焼酎をベーススピリッツに使用

クラフトジン岡山は、ジンのベースとなるスピリッツに米焼酎を使用する日本的なジン。

多くの海外ジンは、ベースとなるスピリッツに廃糖蜜や穀物各種を原料としたスピリッツを使用しています。
しかし岡山では、日本らしくお米だけで造った米焼酎をベースにしています。
宮下酒造では元々米焼酎もいくつか手がけており、その技術がジンにも活きた格好で、もちろんジン造りでは非常に稀なこと。日本だからこその手法と言えるかもしれません。
これにボタニカルを漬け込み蒸留しているのですが、ボタニカルの香味の中にもお米独自の甘みやまろやかな旨みを感じることができ、従来のジンとは異なる口当たりとなっています。

10種のボタニカルをハイブリッドスチルで蒸留

ボタニカルは全10種使用しており、これらをベーススピリッツに漬け込みハイブリッドスチルで蒸留しています。

使用する全10種のボタニカル
ジュニパーベリー、コリアンダー、アンジェリカルート、レモンピール、オレンジ、モルト、ラベンダー、ホップ、シナモン、生姜、オールスパイス

※ボタニカルの特徴についてはこちらで解説しています。
ジンによく使用されるボタニカル20種まとめ

他のジャパニーズジンとは異なり、ゆずなど和柑橘や茶葉は使用していませんが、ラベンダーやオールスパイスなどなかなかユニークなものも。
さらにビールも手がける酒造とあって、モルトやホップを使用している点も見逃せません。

これらのボタニカルを蒸留する蒸留機は、ドイツのホルスタイン社製ハイブリッドスチル
ポットスチルとコラムスチルが連結された蒸留機で、ウイスキーなどのクラフト蒸留所でよく見られる型です。
(ホルスタイン社のハイブリットスチルは、ブリュードッグの蒸留所であるローンウルフでも使用されている)

樽熟成させた国内初のジン

クラフトジン岡山はやや薄いゴールドに色づいている

樽熟成によってやや薄いゴールドに色づいている

クラフトジン岡山は、蒸留後、木樽(樫樽)で熟成されてからボトリングされます。
これはジャパニーズジンの中でもとりわけユニークな特徴であり、クラフトジン岡山をクラフトジン岡山たるものにしている要素といっても過言ではないでしょう。

使用する樽は、焼酎の熟成に使用したもの
樽熟成ジンは海外では稀に見られますが、これらはほとんどウイスキーに使用した樽を用いるのが一般的で、焼酎樽を使用するのはとても珍しく、日本ならではの手法とも言えるでしょう。

この樽熟成によって、当然やや薄いゴールドに色づいたジンとなるわけですが、焼酎樽ということもあってか、完成品に与えられている樽の香味はダイナミックなものではなくやや穏やかなものとなっています。

その味わいと楽しみ方

クラフトジン岡山がどういったジンなのか分かったところで、味わいや楽しみ方についても知りたいところ。
その味わいや、オススメの飲み方をご紹介していきましょう。

クラフトジン岡山の香り・味わい

香り
ジュニパーベリーのウッディな香りがかなり強い印象。その奥にお米やスパイスの甘い香りがあり、多くの樽熟成ジンに共通するココナッツのような香りもかすかに感じる。
味わい
ボディがしっかりした味わい。米焼酎のようなまろやか甘みを感じ、後味は樽熟を感じるビターな味わいで、余韻が長い。

アルコール度数が50度と高めであるため、ボディがしっかりしており、ジャパニーズジンの中ではかなり際立った風味のジンとなっています。

おすすめの飲み方

ストレート、トワイスアップ(ストレートに加水したもの。酒1:水1の割合)、ロック、水割り、ソーダ割り

この銘柄に限らずクラフトジンを味わう際は、まずストレートで飲むことをおすすめします。その後少しずつ加水しながらトワイスアップのようにしていき、味わいの変化を感じるのが、銘柄の個性を知るうえでは良いでしょう。
当銘柄は、熟成ジンという特性上、香り・味ともに主張が強いためカクテルにするには少々技術が必要です。その代わり、そのまま飲んでも、まるでシングルモルトのように味わい深く飲みごたえあるものとなっています。
度数が高めであることで割材で薄めても風味がしっかり残るため、単純な水割り、ソーダ割りもおすすめ。
ジントニックにする場合「フィーバーツリー」などの甘みが抑えられたトニックウォーターの方が相性は良いでしょう。

ちなみに、筆者イチオシの飲み方はトワイスアップです。

まとめ

本記事ではクラフトジン岡山の特徴や独自性について詳しく解説してきました。

最後にざっくりまとめると…

  • クラフトジン岡山では米焼酎をベーススピリッツに使用
  • 10種のボタニカルをハイブリッドスチルで蒸留
  • 焼酎の樽で熟成させた国内初のジン
  • ボディがしっかりしたウッディでまろやかな風味のジン

ちなみにクラフトジン岡山は、500mlで5,400円と、クラフトジンの相場的な価格帯。
より小さな200mlボトルも販売されているため、自宅で楽しみたいという方にはこちらの方が良いかもしれません。

日本的要素を多く抱えるジンでありながら、他のジャパニーズジンとはまた違う風味であるクラフトジン岡山。
ぜひ見かけた際にでも味わってみてください。

それではこの辺で。

著者:小針 真悟

[LiquorPage運営責任者] お酒の現場を7年経験したのちに独立。お酒の魅力を多くの人に知ってもらうべく、2016年11月に「LiquorPage」の運営を開始。 洋酒から和酒まで幅広い知見をベースに、様々な酒類専門メディアの執筆・編集のほか、酒類イベントの企画運営やWEB制作、プロモーション業にも携わる。写真撮影も行うなど、お酒を通じた様々な制作業を一人でこなす。(ただの酒好き)

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