メキシコを旅するメスカル「デルンベス」の仕掛け人、ウリセス氏にインタビュー!

メキシコを旅するメスカル「デルンベス」の仕掛け人、ウリセス氏にインタビュー

アメリカを筆頭に、今世界中で人気が急上昇しているお酒、メスカル。
メスカルは、テキーラと同じく多肉植物のアガベを原料としながらも、その品種や生産が許された産地、製法などの違いからテキーラとは異なる味わいを持ち、飲み手を楽しませています。

その中でも、海外メディアで“5 Best New Mezcals”に選ばれるなど、話題のメスカルが「デルンベス」です。
2018年春に日本に上陸したばかりのブランドですが、この度、ブランドのプロモーターを務めるウリセス・ゴンザレス氏が来日し、LiquorPageではインタビューを敢行!
デルンベスの誕生ストーリーや特徴、今後の展望、そして現地でのメスカルシーンなど詳しく語っていただきました。

ウリセス氏と、創業メンバーの一人であるセルヒオ・メンドーサさん。(写真右)

今回インタビューさせていただいたウリセス・ゴンザレスさん(写真左)と、創業メンバーの一人であるセルヒオ・メンドーサさん。(写真右)

デルンベス誕生秘話「テキーラの中心地であえてメスカルの伝統を発信したい」

− デザイン性豊かなボトルやユニークなコンセプトで知られるデルンベスですが、
そもそもどのような経緯で誕生したのでしょうか?

ウリセス・ゴンザレス氏(以下、ウリセス):今から6年前に、テキーラの“ドンフラノ”のオーナーを務めるセルヒオと、エステバン(ライシージャ(アガベスピリッツの一種)“ラ・ベネノサ”のオーナー)、そしてイバンの3人が集まって「今までにない新しいメスカルを造ろう」という話になりました。
そうして会社を興したのですが、拠点として選んだのはハリスコ州のグアダラハラ。
この場所は、テキーラの主産地としてテキーラが最も重要視される場所ですが、敢えてこの場所で「アガベの多様性や、伝統的なお酒であるメスカルをもっと知ってもらおう」と思ったんです。(ブルーアガベのみしか使用できないテキーラに対し、メスカルは約50品種のアガベが使用される。また、その歴史の長さからテキーラの母とも言われている)

− それで誕生したのが“デルンベス”というわけですね?

ウリセス:デルンベスには「自然災害」という意味があります。そう聞くとネガティブなイメージを抱くかもしれませんが、自然の力が全く新しいものを作り上げる、つまり新たなスタートという意味もあり、ポジティブな言葉としても使われています。
もともと、今までにない新しいメスカルを造ろうと思っていたのでそう名付けました。

デルンベスについて語るウリセスさん。右は国内における輸入などを手がけるTEQUILA MUCHOの川上カルロスさん。

デルンベスについて語るウリセスさん。右は国内における輸入などを手がけるTEQUILA MUCHOの川上カルロスさん。

コンセプトは「飲みながらメキシコを巡る旅を楽しむ」

− それではデルンベスのコンセプトについてお聞きしても良いですか?

ウリセス:「メスカルを飲みながらメキシコを巡る旅を楽しむ」をブランドのコンセプトとしています。
デルンベスは全部で5銘柄あるのですが、オアハカ州やサンルイスポトシ州などそれぞれ別の産地で造られており、違った個性を楽しめるようになっています。

− 現在日本で販売されているのは“オアハカ”と“サンルイスポトシ”の2種ですが、それぞれ特徴はどんな所にありますか?

ウリセス:まず、緑のラベルのサンルイスポトシは、同州のチャルカスという地域の近くで造られています。
ここは砂漠のようなとても乾燥した地域なのですが、ここでしか育たない“サルミアナ”という品種のアガベがあり、それを原料として使用しています。
サルミアナは他のアガベと違って非常に小ぶりで、過酷な環境で育つものなので味が凝縮するとされています。
そのサルミアナの12〜13年栽培されたものを原料に使用し、タオナと呼ばれる石臼(伝統的な製法)で搾汁しています。
ちなみにメスカルでは、アガベを搾汁する前に下準備として蒸し焼きにするのですが、その際、アガベを地中に埋め(タテマド)、ブラックオークを燃やして蒸し焼きにするのが一般的です。
オークを燃やすことでメスカル特有のスモーキーなフレーバーが生まれるのですが、サンルイスポトシではそれを使わず、乾燥させたキオーテ(アガベの花)を使っています。
そうすることでスモーキーさが抑えられたメスカルとなっているんです。
ちなみに発酵用のタンクは石でできており、これも珍しいと思います。
メスカルらしく酵母を加えたりせず、野生酵母の力だけで発酵させています。

デルンベス“サンルイスポトシ”

デルンベス“サンルイスポトシ” ©︎株式会社千雅(販売元)

− スモーキーさが抑えられているからカクテルにも合うわけですね。では赤いラベルのオアハカの方はどうでしょうか?

ウリセス:こちらはクラシックなメスカルに近いかもしれません。
メスカルの聖地と呼ばれる“サンティアゴ・マタトラン”という町の中心から20分くらいの場所で造られています。
メスカルではメジャーなエスパディン種のアガベを主に使用するのですが、同種を70%、その他に実はトバラという品種のアガベも30%使用しています。
トバラは野生品種で高額なアガベとして知られていますが、特別なメスカルを造りたいと思い、使用することにしました。
このような組み合わせは非常に稀です。
製法については、直径4〜5m程度のタテマドにアガベを入れ、ブラックオークとともに蒸し焼きしています。
その後の搾汁はタオナを使用しています。
ユニークなのは木桶での発酵の際に、アガベの醸造酒、プルケを少し加えている点(4%程度)でしょうか。
野生酵母だけでなく、プルケの力も借りることで特別な味に仕上がるんです。

デルンベス“オアハカ”

デルンベス“オアハカ” ©︎株式会社千雅(販売元)

デルンベスのオススメの飲み方は、トニックも加えるオリジナルハイボール?

− ウリセスさんが個人的にオススメしたいデルンベスの飲み方は何ですか?

ウリセス:個人的には、チョコラテに混ぜて飲んだりするのが好きです。
それから、テキーラのつけあわせはどちらかいうとライムやオレンジですが、メスカルではグレープフルーツも用います。
そのジュースで割ったり、かじりながら飲むのも良いと思います。
それともう一つ、私オリジナルのハイボールもオススメしたいですね。
デルンベスで作るハイボールですが、約10%だけトニックを加えます。
メスカルの風味が活きつつ、爽やかになり飲みやすくなりますよ。

【次ページ】現地でのメスカルシーンや、デルンベスの今後について

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