クラフトジンの流行にはウイスキーブームが関係している?

日本でもテレビや新聞でも取り上げられるようになり、ブームとなっているクラフトジン。
日本だけでなく世界的に大ブームとなっているのですが、そのブームの背景にはウイスキーが関係しているかもしれません。

本記事ではクラフトジンがここまで流行するに至った理由と、ウイスキーとの関連性について解説していきます。

クラフトジンとは
ジンはベースのスピリッツに、ハーブや果皮、スパイスなどの「ボタニカル」を数種加え蒸留させてできるスピリッツ。
ジュニパーベリーは必須だが、ボタニカルのレシピは各銘柄様々。度数は40〜50度が一般的。
クラフトジンは、ジンの中でも少量生産で(ボタニカルや製法など)強いこだわりのもと造られる個性的なジン。
【クラフトジンの基本について〜特徴と銘柄まとめ】

ブームのキッカケ?ジンの銘柄数がここ数年で激増!

(左から)コーヴァル、ジークフリート、モンキー47はいずれもここ数年リリースされたジン

(左から)コーヴァル、ジークフリート、モンキー47はいずれも2010年以降リリースされたジン

近頃のクラフトジンブームの理由は、生産者が増えたことによる銘柄数が激増が関係しています。

これまでジンといえば、ビーフィーターやボンベイサファイア、タンカレーなど世界的に有名な銘柄はあるものの、ウイスキーなどと比べると出回っている銘柄数は少ない状況でした。
しかも、これらはカクテルに使用されることが一般的で、銘柄そのものにあまりスポットが当たらないというのが実情。

しかし、クラフトジンと呼ばれる少量生産のこだわりが詰まった個性派揃いのジンが、急激に増えたことで状況が変わったのです。
近年はSNSやネットの普及により、例えばこれまで専門的で嗜好性が高かったウイスキーやクラフトビールなどの情報が多くの方に行き届き、そしてこれらは世界的に大ブームとなっています。

こういった背景もあり、これまでとは一味違った個性的なジンが増えたことで、流行に敏感な人達の目にとまるようになったのでしょう。
そういった人達の目にとまれば、あとはSNSなどで自然と普及していくのは近年のあらゆるブームの鉄板ルートです。

ジンの銘柄数激増にはウイスキーブームが関係している?

ではなぜジンを手がける生産者が増えたのでしょうか?
これには先ほど挙げたウイスキーブームが関係しています。

実は近年急増したクラフトジンには、ウイスキーの生産者が手がける銘柄が少なくないのです。

例えばジンの本場イギリス産のクラフトジン「コッツウォルズ」や、アメリカ・シカゴのジン「コーヴァル」など、これらは新鋭のウイスキー蒸留所でもあります。
ウイスキーの世界的ブームを受けて、新設されたウイスキー蒸留所でクラフトジンが造られているというわけです。

ウイスキーは販売までに数年かかるがジンはすぐ販売できる

ウイスキーは樽で長期熟成させてようやく完成する

ウイスキーは樽で長期熟成させてようやく完成する

ではなぜ、新鋭のウイスキー生産者がジンを手がけるのか?
これにはウイスキー特有の事情が関係しています。
ウイスキーは樽での長期熟成が必要なお酒で、本場スコットランドなど多くの国では3年以上など熟成年数が定められています。
つまり、3年寝かせるまでウイスキーを売れないのです。
新鋭の蒸留所にとってこれは大きな課題となります。

一方ジンは、基本的にウイスキーのような長期熟成は必要なく、すぐに販売することができます。
要するに、ウイスキーを寝かせている間の収入源として、ジンは非常に有効なのです。

だからといって片手間的ではない

だからといってウイスキーの「ついで」というようなネガティブなものではありません。
元々はウイスキーに強いこだわりを持って、生産を手がける人達ですから、ジン造りにも強いこだわりを見せます。

例えば前述した「コーヴァル」は、原料の全てがオーガニックでそれらは契約農家から仕入れるという強いこだわりのジンですし、他のジンも、ユニークな製法やこれまで一般的ではなかったボタニカルを使用してみたりと、これぞクラフト(工芸品)と言えるようなものばかりです。

もちろんこのようにウイスキーの蒸留所が手がけるジンがほとんどというわけではありませんが、ウイスキーブームがクラフトジンのブームにも一役買っていることは間違いありません。

まとめ 〜 ウイスキーブームによって個性派ジンが増えて流行した

このように、世界的なウイスキーブームが引き金となって誕生した新鋭メーカーが個性的なクラフトジンも手がけることで、銘柄数が急増し、流行に拍車をかけていたのです。

最後にざっくりまとめると…

  • SNSやネットの普及により、多くの人が洋酒を身近に感じているという背景が
  • ウイスキーブームで誕生した新鋭の生産者がジンも手がけることで銘柄数が急増
  • 個性的なクラフトジンが急増し流行が加速

もちろんクラフトジンの流行には、バーテンダーによるカクテルの進化によって個性的なジンへの需要が増したことなども関係していますが、ウイスキーブームとの関連性もかなり高いと言えるでしょう。

クラフトジンのファンがウイスキーファンである可能性が高いのも、この辺りの事情を反映しているのかもしれませんね。
それではこの辺で。

著者:小針 真悟

[LiquorPage運営責任者] お酒の現場を7年経験したのちに独立。お酒の魅力を多くの人に知ってもらうべく、2016年11月に「LiquorPage」の運営を開始。 洋酒から和酒まで幅広い知見をベースに、様々な酒類専門メディアの執筆・編集のほか、酒類イベントの企画運営やWEB制作、プロモーション業にも携わる。写真撮影も行うなど、お酒を通じた様々な制作業を一人でこなす。(ただの酒好き)

関連記事

  1. ザ・ボタニスト、200mlボトルを発売 ザ・ボタニストが200ml瓶を発売!クラフトジンが家でも身近に
  2. 沖縄発トロピカルなジン「ORI-GiN 1848」の開発者に聞く、誕生ストーリーとジンに込めたこだわり 沖縄発トロピカルなジン「ORI-GiN 1848」~ 開発者に聞…
  3. 仏産ブドウのジン「ジーヴァイン フロレゾン」の魅力と、プロが教える美味しい飲み方 仏産ブドウのジン「ジーヴァイン フロレゾン」の魅力と、プロが教え…
  4. 【実験】ジンの香りを自分でブレンドしてみる…“あのジンの香り”は作れるのか? 【実験】ジンの香りを自分でブレンドしてみる…“あのジンの香り”は…
  5. “タガメ”を用いたジンが登場!誕生背景とジンの素材としての昆虫の可能性に迫る “タガメ”を用いたジンが登場!誕生背景とジンの素材としての昆虫の…
  6. 南国・沖縄で初開催!「沖縄ウイスキー&スピリッツフェスティバル 2019」レポート 南国・沖縄で初開催!「沖縄ウイスキー&スピリッツフェス…
  7. “ととのう”時間に寄り添う、国産クラフトジン「HOLON」が誕生! “ととのう”時間に寄り添う、国産クラフトジン「HOLON」が誕生…
  8. ニッカウヰスキーが手がけるリーズナブルなジン「ジンスパイア」が9/13に発売!ウイスキーの要素を取り入れた新感覚ジン ニッカウヰスキーが手がけるリーズナブルなジン「ジンスパイア」が9…

おすすめ記事

広島市・ベネチア市 友好協力記念!「SAKURAO GIN」と「MARTINI」を使ったカクテルプロモーションを開催! 広島市・ベネチア市 友好協力記念!「SAKURAO GIN」と「MARTINI」を使ったカクテルプロモーションを開催!

水の都として世界的に知られるイタリアのベネチア市、そして中国地方最大の都市・広島市が友好協力関係にあ…

日本一のバーテンダーと行くロンドン・バー巡り - 旅でかきたてられた創造力とは?その集大成カクテルもご紹介 日本一のバーテンダーと行くロンドン・バー巡り – 旅でかきたてられた創造力とは?その集大成カクテルもご紹介

新たな発見や想像しえないインスピレーションを得られるのは、旅の大きな醍醐味の一つ。日本一のバーテ…

日本一のバーテンダーと行く『ボンベイ・サファイア蒸溜所』後編 - こだわりの蒸溜法と最先端のサスティナビリティとは? 日本一のバーテンダーと行く『ボンベイ・サファイア蒸溜所』後編 – こだわりの蒸溜法と最先端のサスティナビリティとは?

『ボンベイ・サファイア プレミアクリュ』のカクテルコンペティションで日本一に輝いた加藤晋悟さん(TH…

人気の記事

  1. あのパーカーポイントが日本酒に!90点以上78銘柄を発表 日本酒版パーカーポイント
  2. ジャパニーズ・クラフトジンが今アツい!話題の4銘柄をご紹介 ジャパニーズ・クラフトジン
  3. 日本でも流行必至!「クラフトジン」の特徴と銘柄まとめ クラフトジンとは?
  4. ウイスキー世界売り上げランキングTOP20 世界ウイスキー売上ランキング
  5. 世界一売れているビールは?2015年世界シェアTOP10を発表! 世界一のビールは?

新着記事

関連記事

PAGE TOP