ジャパニーズ・クラフトジン「和美人」を徹底解説!

ジャパニーズクラフトジン・和美人とは

「クラフトジン」
最近この言葉を耳にしたという方は少なくないでしょう。

クラフトジンは世界中、そして今や日本でも流行しています。
ジンといえば、イギリスなど海外のイメージがありますが、最近は国産メーカーが力を入れ始めており「ジャパニーズクラフトジン」が大きな話題となっています。

本記事ではご紹介するのは、ジャパニーズクラフトジンの代表銘柄の一つである「和美人
和美人について、先日参加した生産者のセミナーの内容を元に、特徴や味わい、他のクラフトジンとの違いなどを徹底的に解説していきます。
それでは見ていきましょう。

日本らしさ溢れる「ジャパニーズクラフトジン」が活況

まずはジンの基本情報について触れておきましょう。
ジンとは、ハーブや果皮、スパイスなどのいわゆる「ボタニカル」を使用した蒸留酒。
ベースとなるスピリッツ(ベーススピリッツ)に、ジュニパーベリーを筆頭としたボタニカルを5〜10種程度を加え、蒸留したものがジンです。

ジンのなかでも、強いこだわりのもと作られた主に少量生産で個性豊かなジンを、近年はクラフトジンと呼んでいます。
例えば一般的なジンとは少し製法を変えてみたり、地域特産のユニークなボタニカルを使用したりなど、銘柄ごとの個性が強いのが特徴。
その独自性により値段も一般的なジンに比べ割高になるため、プレミアムジンなどと呼ばれることもありますが、そこにはもちろん味わいの良さという裏付けがあります。

日本産のいわゆるジャパニーズクラフトジンは、ボタニカルには日本らしさ溢れる、和柑橘や茶葉、山椒など和のボタニカルをふんだんに使用しているのが特徴。
また、今回ご紹介する和美人のように、ベーススピリッツにあえてお米のスピリッツを使用する銘柄もあるなど、日本人の味覚や日本食とも相性も考慮されたジンとなっています。
要するにジャパニーズクラフトジンとは、日本だから造れる、和を感じるジンということになります。

緑茶(煎茶と玉露)

日本のジンでは緑茶もボタニカルとしてよく使用される(和美人でも使用)

ジャパニーズクラフトジン銘柄についてはこちらでご紹介しています。
ジャパニーズ・クラフトジンが今アツい!話題の4銘柄をご紹介

和美人を手がける本坊酒造は焼酎やウイスキーでも有名なメーカー

和美人を手がけるのは「本坊酒造」で、生産地は鹿児島県津貫にある津貫蒸留所。
焼酎の有名メーカーですが、「岩井トラディション」や「駒ケ岳」などウイスキーも手がけていることからご存知の方も多いことでしょう。

小規模な生産者が多いクラフトジン業界にあって、このような多方面でお酒を手がけるメーカーが手がけていることは、小規模生産者にはない強みを生み出します。
それは、焼酎やウイスキー造りの技術や設備を応用できるといった点。

現に和美人では、ベーススピリッツに米焼酎(詳しくは米焼酎を精製したもの)を使用しており、もちろん焼酎を語る上では欠かせない原料「麹」を用いていることになります。
さらに、ウイスキー造りで最も重要な技術の一つである「ブレンド」をジンにも持ち込むなど、大きなメーカーである利点が活きた格好となっています。
これらは当然、和美人の特徴であり強みともなっています。

それでは次に、和美人の特徴について細かく解説していきましょう。

「鹿児島のジン」和美人の特徴とは

鹿児島で造られる和美人は、鹿児島らしさにこだわり、そして独自の製法により、クラフトジンの中でもかなり個性が光る銘柄です。
なかでも個性的な特徴を3つあげるなら…

  1. 米焼酎由来のスピリッツをベースに使用
  2. 鹿児島産のユニークなボタニカルを9種使用
  3. ボタニカル別に蒸留し、ブレンド技術の活用

これらの特徴によって、和美人は個性が光るジンなっているのです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。

米焼酎由来のスピリッツをベースに使用

日本のお米

和美人は米焼酎がベースにある。

多くのジンは、ベースとなるスピリッツに、サトウキビ由来の廃糖蜜や雑穀などを原料としたスピリッツを使用しています。
しかし和美人では、自社が焼酎蔵でもあることを活かし、ベースに米焼酎由来のスピリッツを使用しています。
焼酎ですからもちろん「麹(米麹)」を用いており、言い換えるなら「麹を用いたジン」ということになります。

当然ながらクラフトジンの世界ではこれはとても珍しく、日本のジンならでは手法と言えるでしょう。
これにより、お米独自の甘みだけでなく、麹のお酒独特の旨味が生まれています。

米焼酎由来のスピリッツとは、米焼酎をさらに蒸留(精製)させ、度数を高めたもの。
米焼酎のままではアルコール度数が低く、ボタニカルの香味がをうまく取り出せないため、あえて蒸留し、最適な度数に高めたものを使用している。

鹿児島産のボタニカルを9種使用

多くのクラフトジンは、ボタニカルのレシピによって差別化を図り、その銘柄の個性を打ち出しますが、和美人も例外ではありません。

前述のように和美人は「鹿児島らしさ」に強いこだわりがあるジン。
ゆずや緑茶、レモンや生姜、紫蘇など鹿児島産のボタニカルを9種も使用しており、その中にはキンカンや辺塚だいだい、けせんなど鹿児島特有のものも含まれます。

辺塚だいだいは鹿児島の一部地域に自生する和柑橘

辺塚だいだいは鹿児島の一部地域に自生する和柑橘。

和美人に使用しているボタニカル10種
ジュニパーベリー、ゆず、キンカン、緑茶、レモン、辺塚だいだい、生姜、紫蘇、月桃、けせん(ニッケイ)

これを見ればわかるように、和美人では和柑橘を多く使用しており、当然、香り・味わいにも柑橘の特徴があらわれます。

ボタニカル別に蒸留し、ブレンド技術の活用

通常ジンは、使用するボタニカルを全て混ぜて蒸留させます。
しかし、和美人では使用する10種のボタニカルを、特性ごとに3つのカテゴリーに分け、カテゴリーごとにベーススピリッツに浸して蒸留させています。つまりはカテゴリー別に蒸留しているということ。
当然ボタニカルによって最適な手法などは異なるわけで、こうして特性によってカテゴリー分けすることで、ボタニカルそれぞれの香味を活かすことができるのです。

しかし、別々に蒸留ということは、完成させるには混ぜる、つまりブレンドという技術が必要になってきます。
ここでウイスキーメーカーでもある本坊酒造の強みが活きるわけです。
ウイスキーで培ったブレンドの技術を応用することで、ボタニカルの特徴があらわれつつも、繊細で複雑な風味のジンが出来上がるのです。

以上3つの特徴をまとめると、「米焼酎スピリッツをベースに、鹿児島のボタニカルを使用し、それらの特徴を活かしたジン」ということになります。

和美人の味わい、その楽しみ方

和美人がどういったジンなのか分かったところで、味わいや楽しみ方についても知りたいところ。
その味わいや、オススメの飲み方をご紹介していきましょう。

和美人の味わい

香り:全体的に和柑橘の香りが強い印象。米の芳醇な香りもしっかりしており、複雑で豊かな香り。
味わい:しっかりした味わい。どこか米焼酎のような甘み・旨みを感じ、後味はややスパイシー。

おすすめの飲み方

ストレート、トワイスアップ(ストレートに加水したもの。酒1:水1の割合)、お湯割、緑茶割り、ジントニック

和美人に限らずクラフトジンを味わう際は、まずストレートで飲むことをおすすめします。その後少しずつ加水しながらトワイスアップのようにしていき、味わいの変化を感じるのが、銘柄の個性を知るうえでは良いと思われます。
また、米焼酎がベースにある和美人では、お湯割りや緑茶割りも個人的にはおすすめ。緑茶は、煎茶より玉露の方が甘みがマッチしおすすめです。
ロックやジントニック、ソーダ割りなどの場合は、フルーツを加えても良いでしょう。もちろん定番はライムですが、メーカーは生姜をおすすめしています。

まとめ

本記事では和美人の特徴や独自性について詳しく解説してきました。
和美人が個性的で、日本しいては鹿児島らしさ溢れるクラフトジンだということがお分かりいただけたと思います。

最後に和美人についてまとめると…

  • 焼酎とウイスキーの技術を応用した鹿児島産ジン
  • 米焼酎がベースにある「麹」を用いた希少なジン
  • キンカンやゆずなど鹿児島産のボタニカルを9種使用
  • ボタニカルを別々に蒸留、その後ブレンド
  • 和柑橘の香味やお米の甘み・旨みを感じる味わい

このように和美人は、地域特有のボタニカルをふんだんに使用、日本の酒文化では欠かせない「麹」を使用した、クラフトジンの中でも個性が光る銘柄。
その造りや味わいゆえ、ジンファンのみならず焼酎ファンもすんなり入っていけるような銘柄です。
まずはぜひ、味わってみてください。

それではこの辺で。

著者:小針 真悟

[LiquorPage運営責任者] お酒の現場を7年経験したのちに独立。お酒の魅力を多くの人に知ってもらうべく、2016年11月に「LiquorPage」の運営を開始。 洋酒から和酒まで幅広い知見をベースに、様々な酒類専門メディアの執筆・編集のほか、酒類イベントの企画運営やWEB制作、プロモーション業にも携わる。写真撮影も行うなど、お酒を通じた様々な制作業を一人でこなす。(ただの酒好き)

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