ワインの原料がブドウだということはよく知られています。
そのブドウといえば食用やジュースとしても親しまれており、食べたことがある方がほとんどでしょう。
食べるブドウをお酒にしたものがワインと思いがちですが、実は食用のブドウとワイン用の原料となるブドウとでは種類が違います。
それぞれ違う種類もしくはタイプのブドウが使われているのです。
そこで当記事では、これらブドウの違いについて簡単に解説していきます。
実は世界のブドウの8割がワインに使われている
食用のブドウとワイン用ブドウの違いに入る前に、まず知っておきたい事実からご紹介しましょう。
それは、ブドウは食用とワイン用、どちらの方が一般的かについてです。
単に“ブドウ”というワードだけ目にすると、日本人の感覚では、食べる、フルーツとしてのブドウをイメージするかもしれません。
そのためブドウは食用が大半を占めると思いがちですが、実は逆。
世界のブドウの大半はワインに使用されているのです。
「ワインの基礎力70のステップ|著・石井文月」によれば、なんと世界で生産されるブドウの8割がワイン用とのこと。
逆に食用は2割にすぎないというのは、日本人の感覚ではかなり意外に感じるかもしれません。
そもそも紀元前6000年頃にはワイン造りは始まっていたとされており、長い間ブドウはワインに使用されてきたのです。
ワイン用のブドウと食用ブドウの違いとは?
ブドウはワイン用の方が一般的とわかったところで、本題。
食用のブドウとワイン用ブドウとでは種類やタイプが違うのですが、どのように違うのか解説していきましょう。
まずは下記の表をご覧ください。
ワイン用ブドウ | 食用ブドウ | |
糖度 | かなり高い | 高い |
酸味 | 強い | 控えめ |
皮・種 | 厚い・多い | 薄い・少ない |
香味成分 | 豊富 | 普通 |
表を見ると、ワイン用のブドウは糖度が食用のそれより高いことが分かります。
しかしワインから、食用ブドウはたまたブドウジュースのような甘みはあまり感じられません。
これはブドウをお酒へと変える過程(発酵)で、糖分はアルコールへと変わるからです。
さらにワイン用のブドウには酸味も多く含まれています。
酸味もしっかり感じられるから、糖分が高いにも関わらず甘みは感じにくくなっているのです。
(酸味はワインの複雑な味わいを造る上で不可欠です)
逆に食用は、生で食べて美味しい甘いフルーツであることが求められているため、酸味は抑えられており水分も多く含まれています。
それからワイン用のブドウは皮が厚いのですが、その皮に香味成分が集中しているため香味成分は豊富で、特に赤ワインではあの深い赤色や複雑な香りの元ともなっています。
逆に食用では食べやすがが求められるため、皮は薄くなっており、手でも剥きやすくなっています。
ちなみにワインに使用されるブドウは、主にヴィティス・ヴィニフェラ種に分類されるブドウで、よく聞くカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロー、シャルドネなどの品種はこれにあたります。
それに対し、食用はヴィティス・ラブルスカ種もしくはそれとヴィニフェラ種との交配したものが用いられます。(おなじみの巨峰は交配種にあたる)
美味しい食用ブドウでは美味しいワインは造れない
このようにワイン用と食用のブドウでは、ほぼ正反対の特徴を持っています。
そもそも両者は、求められる味の違いだけでなく酒と生のフルーツという決定的な違いもあるため、求められるタイプが違うのはある意味当たり前の話。
それゆえ、美味しい食用ブドウでは美味しいワインは造れないとされています。
(もちろんブドウジュースには向いているようです)
このようにワイン用と食用のブドウが違うことや、世界のブドウの8割がワイン用であることなど、少し意外と感じたかもしれません。
しかし世界のブドウ事情を鑑みると、食べるブドウも多く流通していて、ワインも多く流通している日本は、ある意味恵まれているかもしれません。
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