ジャパニーズ・クラフトジンが今アツい!話題の4銘柄をご紹介

ジャパニーズ・クラフトジン

イギリスやアメリカなど世界中でブームとなっているクラフトジン。
実はここ日本でも着実に流行しつつあります。
リカーページでも既に何度か取り上げているのですが、どんどん反響が大きくなりつつあり、流行を実感しているところ。

人気の高まりを受け、実は日本の酒類メーカーもクラフトジンの「生産」に力を入れてきています。
これまでジンといえばイギリスなど海外の銘柄がほとんどでしたが、日本製のいわゆるジャパニーズ・クラフトジンなるものがどんどんリリースされています。

大手メーカーも力を入れていることから今後さらなるブームになることは間違いないでしょう。
そこで本記事では、今まさに「アツい」ジャパニーズ・クラフトジンについて、先日行われたTokyo Bar Showのジン・セミナーの内容をもとにお伝えしていきます。
記事後半では、話題となっている日本のジン銘柄の中から「和美人」「カフェジン」「ROKU(ロク)」「季の美」の4銘柄について特徴などをご紹介します。

ジンとは
ジンとは、ベースのスピリッツにハーブや果皮、スパイスなどの「ボタニカル」を数種加え蒸留させてできるスピリッツ。
ジュニパーベリーは必須だが、ボタニカルのレシピは各銘柄様々。度数は40〜50度が一般的。

クラフトジンとはどんなジン?という方はこちらをご参考ください。
日本でも流行必至!クラフトジンとはどんなジンなのか?
ジンについてより詳しくはこちらをご参考ください。
ジンとはどんなお酒?定義や特徴、種類など基本をざっくり解説

ジャパニーズ・クラフトジンとは?何がアツいのか?

まずクラフトジンとは、蒸留酒であるジンの中でも、大量生産ではなく強いこだわりを持って造られたジンのことを指します。
いわゆるクラフトマンシップのもとで造られたジンといったところ。

ジャパニーズ・クラフトジンを牽引するであろう4銘柄

ジャパニーズ・クラフトジンを牽引するであろう4銘柄

日本にはクラフトマンシップ、言い換えるなら伝統と技術がもたらす、食でいうなら和食、お酒なら日本酒など「日本らしさ」溢れる文化がたくさんあります。
その伝統と技術をジンにも活かし、そして「日本らしさ」を最大限に引き出されたのがジャパニーズ・クラフトジンなのです。
それは例えば、従来のジンとは違い日本の食事にも合い、水割りなど日本独自の飲み方でも楽しめるものとなっています。

ジャパニーズ・クラフトジンの場合、海外の多くのクラフトジンとは異なり大手メーカーが手がけることが多く、いずれも高い技術力をもとにウイスキーなどで国内外問わず評価が高いメーカーです。
その技術力を活かして造られるのですから、質が高いのは言うまでもありません。
そしてそれら大手メーカーはマーケティングにも多大な費用を費やすことできるので、今後さらに流行していくことも間違いないでしょう。

とはいえジャパニーズ・クラフトジンについては、現時点ではまだ多くの情報がない状態です。
今この時点で知っておくと流行をリードできるかもしれません。

ジャパニーズ・クラフトジン最大の特徴

ここまで綴ったように、日本の高い技術力と強いこだわりを持って造られた、日本人の味覚に合ったジン、それがジャパニーズ・クラフトジンということになります。
では一体、ジャパニーズ・クラフトジンには具体的にどのような特徴があるのか?

日本のお茶などもボタニカルとして使用される

ジャパニーズ・クラフトジンではお茶なども使用される

それはジンに使用するボタニカルに最大の特徴があります。

海外銘柄も含めクラフトジンでは、ボタニカルにユニークなものを使用することが多いのですが、ジャパニーズ・クラフトジンでは、使用するボタニカルにお茶やゆず、山椒など日本の伝統的なボタニカルが多く用いられます。(全ての銘柄ではありません)
これらはもちろん、海外産のジンでは使用されません。

これら日本人に慣れ親しまれたボタニカルを使用しているから、日本食にも合い、私たちの味覚に合うものとなっているのです。

それでは次に、今後注目のジャパニーズ・クラフトジン4銘柄をご紹介していきましょう。

和美人(WA・BI・GIN)

期待のジャパニーズ・クラフトジン「和美人」

期待のジャパニーズ・クラフトジン「和美人」

和美人(WA・BI・GIN)は、本坊酒造という焼酎やウイスキーで有名なメーカーによって造られる銘柄。
本坊酒造は鹿児島や長野などに蒸留所を構えており、このジンは本部である鹿児島・津貫の蒸留所で造られています。
そのため「鹿児島」ということに強いこだわりがあるジンで、ボタニカルは鹿児島で採れたものを使用、ラベルデザインも鹿児島伝統の薩摩ボタンを描いたものという、鹿児島産のクラフトジンです。

和美人(WA・BI・GIN)|本坊酒造公式サイト

和美人(WA・BI・GIN)の特徴・味わい

このジャパニーズ・ジンの特徴は、焼酎も造っているメーカーならでは、米焼酎をベースに造られているというところ。
一度米焼酎として造られたものを精製し、それにジュニパーベリーと鹿児島産の9種のボタニカルを加えてできています。
そのため、華やかながらもどこか焼酎っぽい旨味を感じるまさに「和」のジンとなっています。
このとてもユニークなジンは、日本酒や焼酎が好きな方でもすんなり馴染みやすい味わいのジンとなっているので、これらのお酒が好きな方にもオススメです。

へつか橙など鹿児島内で調達したボタニカルを使用。

へつか橙など鹿児島内で調達したボタニカルを使用。

【使用しているボタニカル】
ジュニパーベリー、茶葉、ゆず、レモン、キンカン、へつか橙、生姜、しそ、けせん、月桃(ジュニパーベリー以外鹿児島産)

【味わい】
米っぽい味わいがベースにありながらも、柑橘系の爽やかな甘みも感じるものとなっています。
飲みやすいながらも、しっかり飲みごたえがあるジンとなっています。

【オススメの飲み方】
ストレート、トワイスアップ、水割り、ソーダorトニックウォーター割り

※トワイスアップとは、お酒と水を氷なしで半々で割る飲み方。アルコールの刺激を和らげるだけでなく、加水するごとに味わいが変化するのを楽しむ、しっかり味わいたい方にオススメの飲み方です。

【豆知識】
ラベルに描かれている薩摩ボタンには、実は和美人で使用している9種のボタニカルが描かれています。
ボトルデザインにも是非ご注目ください。

和美人についてはこちらの記事でさらに詳しく解説しています。
ジャパニーズ・クラフトジン「和美人」を徹底解説!

ニッカ・カフェジン

緑色のラベルがカフェジン

緑色のラベルがカフェジン

カフェジンは、言わずと知れたウイスキーメーカー・ニッカが手がけるクラフトジン。
あの有名な竹鶴政孝によって生み出されたニッカは、カフェスチル(連続式蒸留機の一種)という今や世界的に珍しい独自の技術を持っており、造り出されるお酒は原料の香りや甘みが残る独特のものとなっています。
もちろんカフェジンも、この技術によって造られています。
さらにこのカフェジンには、長年ウイスキーで培われたブレンドという技術を使用しており、原料の香味を活かしながら、バランスにも優れたジンとなっています。

カフェジン|ニッカ公式サイト

ニッカ・カフェジンの特徴・味わい

カフェジンの特徴はやはりカフェスチルという独自の技術を用いていること。
そしてボタニカルは素材によって蒸留方法を分け、それぞれの良さを最大限に引き出し、それぞれの原酒をブレンドすることで生み出されます。
この際の蒸留技術にはニッカが特許を持っているものもあり、そのためニッカにしか造れない味わいのジンとなっています。

チーフブレンダーとしてブレンド役を担う佐久間さん

チーフブレンダーとしてブレンド役を担う佐久間さん

【使用しているボタニカル】
ジュニパーベリー、コリアンダーシード、オレンジピール、甘夏、かぼす、山椒、りんごなど計11種

【味わい】
柑橘系のフレッシュな香り、そして特徴的なコクのある甘い口当たりでとても飲みやすい味わいとなっています。

【オススメの飲み方】
ストレート、トワイスアップ、ソーダorトニックウォーター割り

【豆知識】
チーフブレンダーの佐久間さん曰く、実は3年前にプロトタイプが出来上がっていたのだとか。
独自の技術で、月日をかけて造り出されたジンが美味しいのは当たり前かもしれません。

カフェジンについてはこちらの記事でさらに詳しく解説しています。
ジャパニーズクラフトジン「ニッカ・カフェジン」を徹底解説!

サントリー・ロク(ROKU)

「六」と描かれた純和風なボトルデザインのロク

「六」と描かれた純和風なボトルデザインのロク

サントリー・ROKU(ロク)は、日本の洋酒文化をリードするサントリーが手がけるクラフトジン。
桜の花や山椒など日本の6つのボタニカルを使用し、さらにそれらは旬の時期に収穫するというこだわりによって生み出されています。
6つの日本のボタニカルを使用することからROKU(六)と名付けられたこのジンは、ボトルデザインも日本らしさを感じるものとなっており、漢数字の六が印象的なデザインです。

サントリー・ロク(ROKU)ニュースリリース|サントリー公式HP

サントリー・ロク(ROKU)の特徴・味わい

サントリー・ロクの特徴は、ただ日本のボタニカル使用するだけでなく、それらを旬の時期に収穫し、採れたての状態で使用していること。
そしてそれらボタニカルは素材の特徴別に4つの製法に分けて造られ、最後にブレンドすることで造られます。
つまり、素材の良さを最大限に引き出したジンということです。
それから桜の花を使用していることも特徴的で、筆者が知る範囲では桜の花を使用しているジンは他にはありません。

ロクでは桜の花も使用している。

ロクでは桜の花も使用する。

【使用しているボタニカル】
桜の花、桜の葉、煎茶、玉露、山椒、ゆずの日本のボタニカル6つと、ジュニパーベリーなどジン特有のボタニカル8種。

【味わい】
桜やゆずの華やかで爽やかな香りで、甘い口当たりから山椒の辛味を感じる味わいです。
飲みやすいながらもしっかりキレのあるジンとなっています。

【オススメの飲み方】
ストレート、トワイスアップ、ソーダorトニックウォーター割

【豆知識】
実はサントリーは30年以上前にクラフトジンのようなプレミアムなジンを販売しているのですが、時期尚早すぎてあまり根付かなかったのだとか。
ジン自体は1936年には生産を開始しているので、長年の技術力が結集したのが今回のジンなのでしょう。

ROKUについてはこちらの記事でさらに詳しく解説しています。
サントリーのクラフトジン「ROKU(ロク)」を徹底解説!

季の美

京都の要素がぎっしり詰まったクラフトジン「季の美」

京都の要素がぎっしり詰まったクラフトジン「季の美」

最後にご紹介するのは、2016年8月に操業を開始したばかりの京都蒸留所が手がけるジャパニーズ・クラフトジン「季の美」
京都というブランドだけでなく、日本で初めてジンの生産に特化した蒸留所ということで国内外で大きな話題となりました。
ジンは、ウイスキーなど他のお酒も手がける造り手によって造られることが多い中、京都蒸留所ではジンだけにこだわっています。
さらに季の美では、「京都であること」にもとてもこだわっており、お茶(玉露)やゆずなど京都産のボタニカル、そして使用する水は伏見の名水という徹底ぶりです。
京都の歴史と風土が育んだ素材を活かしたクラフトジン、それが季の美です。

季の美|京都蒸留所・公式HP

季の美の特徴・味わい

季の美の特徴は、ライススピリッツをベースに使用していること、ボタニカルを6つのカテゴリーに分け蒸留→ブレンドしていること。
ライススピリッツを使用することによって優しい口当たりとなり、ボタニカルはそれぞれの特徴を活かすべく別々に蒸留・ブレンドすることで、茶やゆずなど素材本来の味もしっかり感じるものとなっています。
この二つの特徴によって、ジンのなかではとりわけ繊細で「和」のエッセンスが強いジン、季の美が出来上がります。

季の美を構成する6つの原酒

季の美を構成する6つの原酒

【使用しているボタニカル】
お茶(玉露)、ゆず、生姜、赤しそ、笹、山椒、ヒノキ、他ジュニパーベリーなどジン特有のボタニカルを含めた計11種。

【味わい】
複雑な香りですが、玉露による上品な甘い香りとゆずの爽やかな香りを強く感じます。
味わいも同様、複雑で優しい味わいとなっています。

【オススメの飲み方】
ストレート、水割り、お湯割、ソーダorトニックウォーター割

【豆知識】
季の美はその斬新性と独自性から、英酒類専門誌The Sprits Businessが選ぶ「2016年 最も革新的な商品」に選ばれています。
すでに海外からも高い評価を得ているジンなのです。

季の美についてはこちらの記事でさらに詳しく解説しています。
日本・京都発のクラフトジン「季の美」を徹底解説!

まとめ

最後に振り返ると、ジャパニーズ・クラフトジンとは、日本の高い技術力と強いこだわりを持って造られる「日本らしい」ジンのこと。
今大注目のクラフトジンという分野であること、そして日本人の味覚も考慮されたお酒であることから、今後さらなる流行になることは間違いありません。

そして今回ご紹介した4銘柄は、いずれも強いこだわりと独自性、そして日本らしさに溢れるものとなっており、当然ながらとても質が高いお酒となっています。
どれが一番というわけではなく、それぞれに個性があり、それぞれ違った良さがあります。
発売前の商品も含みますが、まずはぜひ一度それぞれの銘柄を味わってみてください。

筆者としても今後が楽しみなジャパニーズ・クラフトジン。
少しでも多くの方にその良さを感じていただけたらと思います。

それではこの辺で。

他のクラフトジン銘柄についてはこちらでご紹介しています。
クラフトジン入門・とりあえず飲んでおきたい王道8銘柄
焼酎を使って造られている日本のクラフトジン12銘柄まとめ
ウイスキー蒸留所が手がけるクラフトジンまとめ【全8銘柄】

ジンに使用されるボタニカルの特徴はこちらの記事でまとめています。
ジンによく使用されるボタニカル20種まとめ

Amazonのジン・クラフトジンストアはこちら。
Amazonのジンストア

著者:小針 真悟

[LiquorPage運営責任者] お酒の現場を7年経験したのちに独立。お酒の魅力を多くの人に知ってもらうべく、2016年11月に「LiquorPage」の運営を開始。 洋酒から和酒まで幅広い知見をベースに、様々な酒類専門メディアの執筆・編集のほか、酒類イベントの企画運営やWEB制作、プロモーション業にも携わる。写真撮影も行うなど、お酒を通じた様々な制作業を一人でこなす。(ただの酒好き)

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