ジン、ウォッカ、ラム、テキーラ…それぞれの違いとは?【簡単解説】

ジン・ウォッカ・ラム・テキーラの違い

ジン、ウォッカ、ラム、テキーラといえば「4大スピリッツ」とも呼ばれる主要なスピリッツ。
多くの人が一度は口にしたことがあるお酒と思われますが、意外にもそれぞれどんなお酒なのか、また、4大スピリッツの違いは何なのか、知られていません。
本記事ではこれらスピリッツの特徴をご紹介するとともに、その違いを比較していきます。

スピリッツ(蒸留酒)とは
スピリッツ(蒸留酒)とは、原料を発酵させたのちに蒸留させたアルコール度数が高いお酒。
ジン、ウォッカ、ラム、テキーラだけでなく、焼酎やブランデーなど蒸留が行われるお酒は全て含まれる。
発酵させただけのお酒は醸造酒という。(ビール、ワインなど)

ジン、ウォッカ、ラム、テキーラの違いをまずはざっくり比較

まずはこちらの表でざっくり比較してみましょう。

原料 要点
ジン スピリッツ、ボタニカル ボタニカルで風味づけ ドライ
ウォッカ 穀物、イモ類 白樺の炭でろ過 無味無臭
ラム 主に糖蜜 樽で熟成される ほんのり甘み
テキーラ 主にアガベ メキシコのみ生産、樽熟あり 青っぽい甘み

これだけだと、いまいちピンとこないかもしれません。
次項から各スピリッツごとに詳しく解説していきます。

ジンとはどんなお酒

ジン
スピリッツにジュニパーベリーをはじめとしたボタニカルで風味づけ。

ジンは、ベースのスピリッツにハーブや果皮、スパイスなどのいわゆる「ボタニカル」を数種加え風味づけされたお酒。
ジュニパーベリーは必須ですが、それ以外のボタニカルには制限がなく、使う種類や数は銘柄によって様々です。
アルコール度数は40〜50度前後が一般的。

ジンは香り高いお酒で、ボタニカル特有の華やかな香りを特徴としており、基本的にはハーブ系の香りがメイン。
また、ジンはカクテルのベースとして広く使われており、ジントニックやマティーニなどの王道カクテルなどジンベースのカクテルは枚挙にいとまがありません。

近年は「クラフトジン」と呼ばれる、少量生産で独特のボタニカルを使用したとりわけ個性が強いが強いジンがブームとなっています。

ウォッカとはどんなお酒

ウォッカ
主に穀物、イモ類由来のスピリッツを白樺の炭でろ過したクリアなお酒。

ウォッカは、大麦、小麦、トウモロコシなどの穀物、またはジャガイモなどのイモ類を主な原料に、発酵・蒸留させたのちに、白樺の木の炭でろ過させたお酒。
「無味無臭」と言われることがあるように、基本的にはクリアでニュートラルな味わいを特徴としています。
アルコール度数は40度前後が一般的ですが、スピリタスなどのように90度を超えるような銘柄もあります。

ロシアやポーランド、スウェーデンなど主に寒い地域で造られるのもウォッカの特徴
ウォッカもまた、ジンと同じようにカクテルのベースとして用いられることが多く「モスコミュール」や「コスモポリタン」などの有名カクテルのベースにもなっています。

ラムとはどんなお酒

ラム
主にサトウキビの搾りかす(糖蜜)を原料としたスピリッツ、期間の長短はあるが樽熟成される。

ラムは、サトウキビの搾りかす(糖蜜)を主な原料に、発酵・蒸留させたスピリッツ。
砂糖類の特有の甘い風味が現れるとされており、アルコール度数は40度前後が一般的ですが、151プルーフという75度にも及ぶラムもあります。
サトウキビの産地がラムの産地にもなっており、キューバやプエルト・リコ、ジャマイカなどが主な産地がなっています。

ラムは基本的に樽で熟成され、無色透明なタイプと茶色く色づいたタイプがありますが、透明なタイプは短期間熟成でろ過を行い、茶色いタイプは主に中〜長期間樽熟成され色づいています。
またラムは、色や風味から3つのタイプに大別され、ホワイト(ライト)ラム、ゴールド(ミディアム)ラム、ダーク(ヘビー)ラムがあります。

モヒートのベースになることでも有名です。

テキーラとはどんなお酒

テキーラ
多肉植物のアガベを主な原料とし、メキシコのみで造られるスピリッツ、樽熟成されるものも多い。

テキーラは、定義上メキシコでのみ生産が許されるお酒で、多肉植物であるアガベを原料比の51%以上使用する必要があります。
アルコール度数は35〜55度以内と定められており、ほとんどのテキーラは38度もしくは40度を採用しています。

アガベ特有の少し青っぽい甘みがあり、カクテルにもよく使用されます。
また、テキーラにもラム同様に透明なタイプと茶色く色づいたタイプがあり、茶色いタイプは主に樽で熟成されています。
その熟成期間によって名称が定められており、熟成なしのシルバー、2ヶ月以上熟成のレポサド、1年以上熟成のアネホなどがあります。

近年、アガベのみを原料に使用したアガベ100%テキーラ、通称プレミアムテキーラが日本でも注目されています。

まとめ

最後に、4つのスピリッツについてざっくりとまとめると…

  • ジン:スピリッツ(原料は様々)にジュニパーベリーをはじめとしたボタニカルで風味づけ。
  • ウォッカ:主に穀物、イモ類由来のスピリッツを白樺の炭でろ過したクリアなお酒。
  • ラム:主にサトウキビの搾りかす(糖蜜)を原料としたスピリッツ、期間の長短はあるが樽熟成される。
  • テキーラ:多肉植物のアガベを主な原料とし、メキシコのみで造られるスピリッツ、樽熟成されるものも多い。

こうして比べてみると、皆スピリッツに分類されるとはいえ、実は各々大きな違いがあることがわかります。
ぜひともそれぞれを試してみて、好みのスピリッツを見つけてみてください。

著者:小針 真悟

[LiquorPage運営責任者] お酒の現場を7年経験したのちに独立。お酒の魅力を多くの人に知ってもらうべく、2016年11月に「LiquorPage」の運営を開始。 洋酒から和酒まで幅広い知見をベースに、ジン専門書籍やテキーラメディアなど外部酒類メディアの執筆協力の他、イベントの企画運営にも携わる。(ただの酒好き)

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