【ラムの基礎知識】ホワイト、ゴールド、ダークラムの違いを簡単解説

【ラムの基礎知識】ホワイト、ゴールド、ダークラムの違いを簡単解説

知識がなくともラムを楽しむことはできますが、知っておくことで自分なりの楽しみ方を見つけられたり、ラムをより豊かに堪能できるようになります。

今回、ご紹介するのはラムのタイプ分けについて。
「ホワイトラム」、「ゴールドラム」、「ダークラム」…ラムを飲んだことがある方なら、これらのワードを目にしたことがあるかもしれません。
ラムといえば、その色合いが、ウイスキーのように琥珀色のようなものもあれば、ジンやウォッカのように無色透明のものもあります。
同じブランドの中でも色づいた銘柄と無色透明の銘柄が存在する中で、それらの色の違いは、基本的に熟成期間によって生じています。
その期間をもとに大まかに分けされたものが「ホワイトラム」、「ゴールドラム」、「ダークラム」の3つのタイプ。当記事では、これらの特徴や違いについて、それぞれ簡単に解説していきます。

ホワイトラム (シルバー、ブラン)

熟成期間:基本的に樽熟成なし
色合い:無色透明

代表的なホワイトラムである「バカルディ スペリオール」

ラムは、ウイスキーのように瓶詰め前に木製の樽で熟成させるものと、そうでないものが存在します。
「ホワイトラム」は後者にあたり、基本的には樽で熟成をさせない、無色透明なラムを指します。
ウイスキーと同じようにラムもまた、元々の原酒の色は無色透明。それを樽の中で熟成させることで、木の成分が抽出され少しずつ琥珀色の液体へと変わっていきます。
「ホワイトラム」は、一部例外はあるものの、その熟成を行わずに瓶に詰められるため、無色透明の状態が保たれているのです。

とはいえ、「熟成されていない=未熟」というわけではなく、そもそもこのタイプはホワイトラムとして完成させるべく、香りや味わいを考慮した上で製造されています。(樽熟成はせずとも、味を落ち着かせるためにステンレスタンクなどで一定期間貯蔵されているものがほとんど)
樽による独特の香りがついていないため、ラムの原料である糖蜜やサトウキビの風味を最も感じやすいタイプともされるほか、3つのタイプの中ではライトでクリアな味わいとなる傾向があります。
そのため、カクテルで使用されることも多く、飲み方の幅が広いタイプであるとも言えます。

ちなみに、全てのラムのタイプの中でも、「ホワイトラム」にあたるラムが最も多くと流通しているとされています。
特にラムの本場であるカリブ海諸国においては、現地消費の9割を占めるのだとか。(※「ラム酒大全 著・日本ラム協会」より)

なお、「シルバー」や「ブラン」など他の名称で呼ばれることもありますが、いずれにしても“白”や“銀”を指す単語で表現されることがほとんどです。

主な銘柄

ゴールドラム (オロ)

熟成期間:基本的に2ヶ月〜3年未満
色合い:ゴールド、薄い琥珀色

ゴールドに輝くラム

樽熟成させない「ホワイトラム」に対して、およそ2ヶ月〜3年ほど熟成させたラムを「ゴールドラム」と呼びます。
熟成に用いられる樽のサイズは1万リットルにも及ぶ大きなものから、200リットルほどの小さなものまで様々ですが、いずれにしても樽の木の成分が原酒に移ることで、ゴールドに色づいているのが特徴です。

香りや味わいとしては、樽での熟成によって、バニラのような甘い香りも与えられ、口当たりはまろやかになる傾向があります。
その中にも「ホワイトラム」のようなクリアさも多少残り、また、樽由来の香りも強すぎないことから、「ホワイトラム」と「ダークラム」の中間にあたるタイプとも言えます。
そのため、ストレートやロックとして飲まれているほか、カクテルのベースとして使用されることもあります。

なお「ゴールドラム」は、「オロ」や「ドール」などと呼ばれることもありますが、そのほとんどが“金”や“黄金”を意味を持つ単語となっています。

主な銘柄

ダークラム (V.S.O.P、XO、アネホ)

熟成期間:3年以上
色合い:濃い琥珀色

ディクタドールのストレート

3つのタイプの中で最も熟成期間が長い、3年以上の樽熟成を経たラムを「ダークラム」と呼びます。
樽は200リットルほどのバーボン樽(バーボンウイスキーの熟成に使用されていた樽)を使用することが多く、熟成させる期間は10年を超える銘柄も多く存在します。
ウイスキーと比べ、熟成年数が浅いものが多いと思われがちですが、カリブ海諸国などラムの産地は基本的に高温多湿であるため、寒冷な地域で造られるウイスキーと比べ、熟成が早く進むとされています。
そのため、ラムの3年熟成は、ウイスキーの6〜9年熟成に値するともされています。
他のタイプより価格帯が少し上る傾向があり、1万円を超える銘柄も決して珍しくありません。

香りや味わいは、ウイスキーやブランデー、長期熟成のテキーラに通ずるものがあり、樽由来の複雑な甘さが感じられるほか、ずっしりとコク深く、余韻の長い味わいとなる傾向があります。
それらのお酒と同様に、ストレートやロックで飲まれることが多いですが、近年はウイスキーカクテルのベースとして代用されることも少なくありません。

このような特徴から、「ダークラム」は、ウイスキー好きな方や、ホワイトラムを苦手と感じた方でも楽しめる可能性を秘めています。

主な銘柄

出典:参考文献: ラム酒大全 著・日本ラム協会/誠文堂新光社

著者:小針 真悟

[LiquorPage運営責任者] お酒の現場を7年経験したのちに独立。お酒の魅力を多くの人に知ってもらうべく、2016年11月に「LiquorPage」の運営を開始。 洋酒から和酒まで幅広い知見をベースに、様々な酒類専門メディアの執筆・編集のほか、酒類イベントの企画運営やWEB制作、プロモーション業にも携わる。写真撮影も行うなど、お酒を通じた様々な制作業を一人でこなす。(ただの酒好き)

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