バーテンダーへの8つの質問 – LAMP BAR / 奈良市

実は高校卒業後、初めて就いたのは土方の仕事でした。昼はその仕事をしつつ、夜も働こうとアルバイトした先がカジュアルなバーだったんです。しかもたまたまバーで働いている友人が多かったからという理由でして…当初からバーに憧れがあったわけではないんです。
その後、和歌山の「Tender」というバーで働くことになるんですけど、バーテンダーという職を意識するようになったのはこの頃ですね。というのもお店のマスターである平野さんのカクテルが単なる液体を凌駕していて…とにかく美味しくて感動しましたし、自分もいつかはそんな感動させられるようなバーテンダーになりたいと思うようになったんです。
それで、マスターのようなお店を地元・奈良でやりたいという思いから、奈良に戻ってホテルバーに数年勤務したのち、2011年、ちょうど30歳のときに「LAMP BAR(2015年に現在の場所に移転)」を開業しました。

強いて言うなら「ジョニーウォーカー」は好きで、オールドボトルも結構買ったと思います。平野マスターがウイスキーのオールドボトルのコレクターで、それにすごい憧れていたことから自分でも集めるようになったんです。
カクテルに関しては、ウイスキーカクテルを考えるのが好きです。伸びしろがあっていじりがいがあるんですよね。ただ、飲むのはジンカクテルが多いですね。

難しいですねー…映像関係の仕事のように何かをクリエイトするような職業でしょうか。
得意だったわけではないんですけど、絵を描いたりするのは好きでしたし、今のお店のデザインも自分である程度を描き出しているんです。
そう考えるとバーデザインなどもやってみたいですね。

特にルールというわけではないですが、よく寝るようにしています。
どうしても不規則な生活になりがちな職業ですけど、過労感を出したくないですし、可能な限り清潔でナチュラルな見た目を保っていたいんです。
幸い奈良は自然にも恵まれてますから散歩やランニングもするようにしていますし、食事バランスにも気遣い、家ではなるべくナチュラルな食事を摂るようにしています。

家で料理を作ってる時間も好きだったりするんですが、やっぱりバーに関するネタ集めをしているときでしょうか。
本や映像はよく見るし、もちろんお店にも行きます。常にバーに関するアンテナが立っているので様々なことからバーに紐づけて考えるクセがついてますし、それを今までひたすらやってきたので頭の中がシンクタンクのようになっているんです。
僕はカクテルや新規プロジェクトを考える際、あまり時間をかけずに形にできるんですが、それは頭の中のシンクタンクがあるからだと思っています。

移住ではないかもしれませんが、年間2ヶ月ぐらいは海外で生活したいとは思っています。どこの国っていうのはないですけど、バービジネスができるところですかね。
実は世界一になって以降、海外でのゲストシフトが増えたことで既に実現しているんですけど、忙しすぎて自分が思い描いていたものとは違ったんです。なのでもう少し落ち着いた状態で現地でのビジネスの形を作りながら実現させたいですね。

自分主体の経験では、特にエキサイティングだった瞬間というのはないかもしれませんね。
昔から、“コンペで勝って涙流すぐらいに喜ぶ”みたいな経験に憧れてたんですけど、「ワールドクラス」で日本代表になった時も、その世界大会で優勝したときも、実は思っていたほど感動しませんでした。その時ふと“自分”ではないなと思ったんです。というのも自分には守るべきお店やスタッフ、そして家族もいて、そういった自分に関わる“誰か”の成功やエキサイティングな経験によって自分もエキサイティングになるんだなと思ったんですよ。

バーテンダーの仕事のあり方を変えていきたいと思っています。
お客様に喜んでいただくという根幹は変わりませんが、その中にあるものをもっと多様にしたいというか…コンサルティングやカクテル教室、レシピブックなどの本を書いたりするのもそうなんですが、固定概念にとらわれずに仕事や収入におけるタップをもっと増やせるような活動をしていきたいですし、お店のスタッフにもそうなってほしいと思っています。
ベースを磨くことはもちろん大事ですが、バーカウンターの外にも仕事を創出することで、バーテンダーの暮らしはもっと豊かになるでしょうし、今まで以上に活躍できる人が増えると思っています。
そもそもバーテンダーにはバーの空間を超えて楽しませる能力があるはずなんですよ。その能力をフルに発揮できるように、仕事のあり方を変えていきたいんです。