バーテンダーへの8つの質問 – Zentis Osaka / 大阪・北新地

以前は百貨店でのアパレル店員など、他の業界の接客業をしていたのですが、様々な業界で経験を積みながら接客スキルを突き詰めてみたいと思いました。
そのときに、最初に思い浮かんだのがバーテンダーだったんです。当時21歳だった私は、バーに行ったことがなかったですし、今思えば不思議なのですが、バーテンダーに対して、漠然と「最上級のサービスを提供する仕事」というイメージを持っていたのは間違いありません。それで、思いついた勢いのままバーの世界に飛び込み、地元京都の「Cordon Noir」というモルト中心のバーで働き始めました。3年ほど経ち、カクテルをお客様に提供出来るようになった頃には、この仕事にすっかり魅了され、ずっと続けていきたいと思うようになりました。

モルトバーに勤めていた経験も相まって、今でもウイスキーは好んで飲みます。様々なことが重なり、精神的に疲れていた頃にバーのカウンターで飲んだアードベッグの味は今でも忘れられません。
カクテルはクラシック全般が好きですが、その中でもマンハッタンが一番好きですね。

正直に言うと、バーテンダー以外にやりたい仕事が思い浮かびません…
ただ、バーテンダーと同じように、カウンター越しに自分が作ったものが提供でき、海外でも日本人が活躍できる仕事の一つとして、寿司職人の方々には近いものを感じることがあります。興味と憧れはありますね。

遠出をした際に現地の美術館によく立ち寄ります。芸術に詳しいわけではないのですが、美術館では思いも寄らない角度の刺激を受けることが多く、幅広い学びが得られるので面白いんです。特に海外の美術館では、その国ごとの文化が垣間見える瞬間があるので、海外に行った際は可能な限り行くようにしています。

昔から本が好きなので、休日は古本屋さんによく行きます。古本屋さんに置かれている本には店主の方の個性が明確に出ていることが多く、店ごとの色があ
るという点において、バーに通じる魅力を感じます。
現代では、欲しい本をすぐにネットで取り寄せられますが、古本屋さんで、自分の興味がある分野の本に出会えた瞬間はとても嬉しいです。

今の環境が好きなので、特に移住したい場所は思い浮かびません。
ただ、以前オーストラリアに移住しようと思い、ビザを取得したものの新型コロナウイルスの流行と重なってしまい、移住を断念したという経験がありまして…もしコロナ禍がなく、オーストラリアに住んでいたらどうなっただろう？とは未だに想像します。

25歳の頃、人生初の海外旅行で台湾に行ったときのことです。バーで飲んでいると「君もバーテンダーなら今ここで何か作ってよ」と、現地のバーテンダーに言われ、異国のバーのカウンターの中でギムレットを作った瞬間は、今でも忘れられない思い出です。
そのとき「バーテンダーって世界中どこでも働けるんだ」と強く感じ、帰国後すぐに台湾で働ける店を探しました。その後は台湾やシンガポールなど、様々な国でバーテンダーとして働くことができたのですが、それはあの瞬間があったからですし、人生の転機だったように感じます。

バーテンダーとして自分自身を常に高めていきたいという思いは強いですが、今は店のチームメンバーと何が出来るかよく考えます。
チームメンバーからは常に刺激を与えてもらっているので、今は個人としてではなく、チーム全体で頑張っていきたいですね。