昨今のウイスキーブームの影響もあり、洋酒全般がより身近になりました。
そんななかテキーラも「しっかり味わうもの」として人気が高まりつつあります。
テキーラのなかでも特に近年話題を呼んでいるのが「プレミアムテキーラ」と言われるカテゴリーです。
実は世界に流通しているテキーラ銘柄の多くはこのプレミアムテキーラにあたります。
とはいえ、これからテキーラを覚えたい方・楽しめるようになりたい方からすればどの銘柄がプレミアムテキーラにあたるのか知りたいところでしょう。
そこで本記事はプレミアムテキーラの基本情報と、「これだけは知っておきたい(飲んでおきたい)定番銘柄」をご紹介していきます。
なお10,000円前後するような高級品は除外し、それらはまた別の記事でご紹介します。
そもそもプレミアムテキーラとは?
まずそもそもプレミアムテキーラとは、テキーラの原料であるアガベだけを使用した「アガベ100%テキーラ」のことを指します。
どういうことか、少し詳しく見ていきましょう。
まずテキーラは「アガベ」と呼ばれるアロエに似た植物を主な原料とし、発酵・蒸留させてできるお酒です。
「主な」としたのは、アガベ以外の原料を使用してもOKだからです。
銘柄にもよりますが、アガベ以外にサトウキビ由来の糖分などを混ぜて作られます。
こうしてアガベ以外の原料も使用したテキーラは「ミクストテキーラ」と呼ばれ、お店で「テキーラのショットください」といって出てくる銘柄や低価格な銘柄の多くはこのミクストテキーラにあたります。
それに対してアガベだけを使用したテキーラがプレミアムテキーラというわけですね。
プレミアムテキーラは俗称で、正式には「100% de Agave(100%アガベテキーラ)」といい、必ずラベルに記されています。
現在メキシコ国内で流通しているテキーラの2/3、世界においては約半数ほどがプレミアムテキーラだと言われています(※テキーラ大鑑より)
プレミアムテキーラは飲みやすい
ミクストテキーラに比べ、プレミアムテキーラはトゲがなく飲みやすいのが特徴。
アガベ本来の爽やかな香りと甘みと感じ、味わい深く飲みごたえもあります。
ビールで例えるならミクストテキーラが「第3のビール」で、プレミアムテキーラが「ビール」といったところでしょうか。
⇒プレミアムテキーラとはどんなもの?定義や特徴とは?
プレミアムテキーラ・まずは飲んでおきたい定番8銘柄
前置きが長くなりましたが、いよいよ銘柄紹介に移ります。
ここではまずは知っておきたい(飲んでおきたい)定番プレミアムテキーラを8つご紹介します。
いずれも「ド」がつく定番銘柄ですので覚えておきましょう。
ちなみに銘柄紹介では産地も載せています。
これはテキーラも産地によって味の傾向が変わるためで、ハリスコ州のバジェス地方かロスアルトス地方のいずれかの産地を載せています。
ちなみに…
- バジェス地方:スパイシーな味わい
- ロスアルトス地方:甘みを効かせた味わい
このような傾向があると言われています。(あくまで傾向です)
※以下銘柄名に番号が振ってありますが、ランキングではありません。
1. クエルボ1800
クエルボといえば世界中で抜群の知名度を誇るテキーラ銘柄で、世界で最も売れているテキーラ銘柄です。(※2015年集計、IWSCより)
そのクエルボにはいくつかシリーズがあり、よく目にする通常シリーズ(クエルボ・エスペシャル)は「ミクストテキーラ」ですが、トラディショナルシリーズなど他のシリーズはプレミアムテキーラとなっています。
この1800シリーズはワンランク上のシリーズで、バランスが良くリッチな口当たりで飲みやすいのが特徴です。
より上級シリーズとして、最高級プレミアムテキーラ「クエルボ・プラティノ」「クエルボ・ファミリア」があります。一度は飲んでおきたい銘柄です。
ハリスコ州バジェス地方
【味わい】
アガベの甘み、レポサド・アネホなど熟成物は樽によるバニラの甘み。
2.サウザ・オルニートス
サウザもクエルボと並び世界的なシェアを誇る銘柄で、サントリー系列が現在オーナーとなっている銘柄でもあります。
クエルボ同様、通常シリーズはミクストテキーラですが、それ以外のサウザブルーなどはプレミアムテキーラにあたり、サウザ・オルニートスはその上級シリーズとなっています。
中でも写真にあるオルニートス・ブラックバレルは、コストパフォーマンスが良いことで知られ、計1年半も樽で熟成させているには関わらず4,000円台という良心的な価格設定。そしてまるでウイスキーのような芳醇でコク深い味わいとなっています。
ウイスキー好きの方なら特に、すんなり入っていける銘柄かと思います。
ハリスコ州バジェス地方
【味わい】
樽によるバニラのような甘み、リッチで芳醇、複雑な味わい。
3.ドンフリオ
プレミアムテキーラの真髄ともいうべき王道のプレミアムテキーラで、ハリスコ州ロスアルトス地方を代表するテキーラ銘柄です。
日本でも高い人気を誇るこの有名銘柄は、テキーラ界の伝説の男・フリオ・ゴンザレスが立ち上げたブランドで、使用するアガベにもこだわり手間をかけて丁寧につくられます。
雑味のないスムースでリッチな甘みを感じる「これぞプレミアムテキーラ」とも言える味わいとなっています。
より上級シリーズには、最高級テキーラ「ドンフリオ1942」そしてさらに上には「ドンフリオ・レアル」があり、超高級品ですがいずれは味わいたい憧れのテキーラです。
ハリスコ州ロスアルトス地方
【味わい】
スムースな口当たり、蜂蜜のような甘み、アネホは強いバニラ。
4. パトロン
ドンフリオと並ぶ人気と地位を誇り、プレミアムテキーラの代表格とも言えるのがこのパトロン。
日本での人気はもちろん、特にハリウッドで人気が高い銘柄で、ドンフリオとともに2大プレミアムテキーラといっても過言ではないでしょう。
ラベルにも描かれているように「蜂蜜」の甘いフレーバーを特徴としながらも、ユニークな製法を用いることで味わいに複雑さが増し、さながら高級テキーラの装いとなっています。
レポサド、アネホなどの熟成物はもちろんですが、特にシルバーの人気が高い銘柄で、最高級シリーズである「パトロン・プラチナ」もあえてシルバーとなっています。
ハリスコ州ロスアルトス地方
【味わい】
シトラス系の爽やかな香り、蜂蜜のようなリッチな甘み、複雑な味わい。
5. カサドレス
鹿のラベルが印象的なカサドレスは、メキシコ国内ではクエルボ、サウザと並ぶ人気を誇るテキーラ。
ロスアルトス地方産のプレミアムテキーラにしては値段が安く、にも関わらずリッチな飲み口でコストパフォーマンスに優れているのが人気の秘訣と言えるでしょう。
上記銘柄のような華やかさはないながらも、味・価格など総合的に優れたおすすめの銘柄です。
ハリスコ州ロスアルトス地方
【味わい】
辛味が少なく、リッチで濃厚、フルーティーな甘みで飲みやすい。
6. エラドゥーラ
以前から日本でも有名だったエラドゥーラも、実はアガベ100%のプレミアムテキーラ。ちなみにエラドゥーラとは馬の「蹄鉄」という意味。
古くから100%アガベにこだわっていた銘柄で、重厚なボトルの見た目のとおり、ボディがしっかりした骨太な味わいが特徴です。
アガベの甘み・旨みをしっかり感じながらも、バジェス地方のテキーラらしい辛味もあり、飲みごたえのある味わいとなっています。
ハリスコ州バジェス地方
【味わい】
アガベの甘み・旨み。苦味や辛味もあり味わい深い。
7. オレンダイン・オリータス
オレンダインは、上記銘柄ほど日本での知名度は高くはありませんが、現地では定番銘柄で1926年創業とテキーラにしてはかなりの老舗。
通常のオレンダインはミクストテキーラですが、このオリータスシリーズはアガベ100%のプレミアムテキーラ。
オリータスの特徴はアルコール度数が35度と低めなこと。テキーラは38〜40度ですが低めに仕上げることでスッキリした味わいとなっています。
ハリスコ州バジェス地方
【味わい】
甘みだけでなく苦味や辛味も効いた味わい、滑らかな口当たり。
8. カサノブレ
カサノブレは、有名ギタリストのカルロス・サンタナがオーナーの一人であることで有名な銘柄。それだけでなくオーガニックテキーラという大きな特徴ももっています。
手間暇かけて育てられた大きなアガベを使用し、レポサド、アネホは通常の規定よりも倍以上長い期間熟成させている贅沢なテキーラです。
雑味が少ないながらも濃厚でリッチな味わいとなっています。
ハリスコ州バジェス地方
【味わい】
華やかな香り、レポサド、アネホは熟成感が強くバニラやチョコの風味。
まとめ
ここまで定番のおすすめプレミアムテキーラをご紹介していきました。
気になる銘柄は見つかったでしょうか?
ここで挙げた銘柄はいずれも「ド」がつく定番テキーラですので、とりあえず飲んでおくことをおすすめします。
そしてできれば8銘柄すべて味わっておくと良いでしょう。
基本的なプレミアムテキーラですので、これらの味を知っておくことで他の数多あるプレミアムテキーラを飲んだ時に面白さを感じることができます。
テキーラもウイスキーやワインと同様、奥が深く、知れば知るほど面白くなります。
ぜひ皆さんにも、より一層テキーラを好きになっていただきたいですね。
それではこの辺で。
以上「プレミアムテキーラ入門・とりあえず飲んでおきたい定番8銘柄」でした。
参考文献:テキーラ大鑑|廣済堂出版 著・林生馬