沖縄が誇る地酒であり、本格焼酎の一種としてポピュラーな「泡盛」。
そんな泡盛には様々な専門用語が存在しますが、ラベルに大々的に記されることもあるなど特によく使用されるのが「古酒」という用語です。
なんとなく熟成をイメージさせる用語ですが、どんな意味を持つのでしょうか?
今回は古酒の意味と定義、特徴について迫ります。
「古酒 / クース」は3年以上熟成させた泡盛
ざっくり言うと、3年以上じっくり熟成された泡盛を「古酒(こしゅ、またはクース)」と言います。
古酒と名乗るには、中身の全量が3年以上熟成されていなければならず、例えばブレンドして製品を仕上げる場合、最も若いものが3年以上熟成されている状態でなければなりません。
たとえ1%でも3年未満のものが含まれていれば名乗ることができず、その言葉のイメージ通り、長期熟成された古い泡盛だからこそ古酒と呼ぶのです。
(古酒に該当しない若い泡盛は「一般酒」や「新酒」と呼びます)
ラベルや商品名に「古酒」と記されているものは、上記のルールに則った泡盛であり、「5年」や「7年」などのように年数表記がある場合は、それぞれの記載年数以上の泡盛を全量使用しています。(5年の場合、瓶の中身は全て5年以上の熟成もので構成)
古酒の大きな特徴として、熟成効果により、新酒に比べて甘くまろやかな味わいになる傾向があることが挙げられます。
また、アルコール度数が40度前後で販売されることが多く(新酒は30度)、力強い風味を味わえる他、度数が高いことから水で割っても風味のバランスを維持しやすいのも特徴でしょう。
新酒と比較してより付加価値が高い泡盛として扱われ、ウイスキーなどと同じように、熟成年数が大きいものほど値段は高くなる傾向があります。
泡盛独自の熟成方法「仕次ぎ」
泡盛の熟成には「仕次ぎ」という独自の手法が伝統的には採用されてきました。
仕次ぎとは、古い泡盛に新しい泡盛を注ぎ足して古酒を育てていく、いわゆる“うなぎのタレ方式”のような手法。
泡盛の伝統的な貯蔵容器である「南蛮甕(かめ)」やステンレスタンクなどの容器を、3つまたはそれ以上用意し、それぞれ1番甕、2番甕、3番甕などと呼びます。
1番甕には一番古い熟成泡盛(親酒)を、2番甕には2番目に古い泡盛を、3番甕には新酒を入れ熟成させます。(場合によっては4番甕や5番甕を用意することも)
1番甕から親酒を汲み出したら、その減った分を2番甕から注ぎ足し、2番甕も同じように3番甕から注ぎ足します。
古い泡盛に新しい泡盛を足していくことで、質を落とさずに活性化させながら熟成させていくのが仕次ぎです。
南蛮甕を熟成に使用した場合、甕は焼きものであるため呼吸作用があり、よりまろやかで複雑な味わいに変化していくとされています。
ただし、甕そのものの管理や品質のばらつきが大きいなどの難点もあり、近年はステンレスタンクでの熟成が一般的になりつつあると言います。
なおステンレスタンクなど甕以外を用いた場合、クリアな味わいに仕上がる傾向があるのだとか。
味わい深い泡盛を求めるなら古酒がオススメ
古くから貴重なお酒として扱われ、重要な贈り物やおもてなしのお酒としても重宝されてきた古酒。
もちろん、古酒と新酒で一概に優劣がつけられるわけではありませんが、その味わい深さやまろやかさは古酒ならではのものです。
そうした魅力をしっかり味わいたい方には古酒がオススメです。
また、新酒と古酒を飲み比べてみるのも良いでしょう。
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