一般的にビールとして飲まれているのは色が淡い、いわゆる淡色ビール。
その他にもやや色が濃いビールや「黒ビール」と呼ばれる黒いビールなど、色合いが異なるビールがあることをご存知の方は多いことでしょう。
しかし、これらビールの色が違う理由をご存知の方は少なく、あまり知られていないのが現状です。
クラフトビールがブームとなっている今、これを知っておくとビールをより楽しめるようになるかもしれません。
本記事では「黒ビールと淡色ビールの色が違うワケ」を、ビール初心者の方でも分かりやすいよう解説していきます。
ビールの色の違いは麦芽の色の違いによるもの
では早速ビールに色の違いが生まれるワケを見ていきましょう。
ビールに色の違いが生まれるワケ、それはズバリ、原料である麦芽の色合いの違いによって生まれています。
要するに、違う色の麦芽を使用しているから違う色のビールが出来上がる、というわけです。
ではなぜ麦芽の色に違いがあるのか?
その違いは、麦芽を焙煎するかしないか、はたまたその度合いはどれぐらいなのか、によって決まっています。
決して自然由来のものや、ましては着色料を使用しているわけでもありません。
焙煎とはどういうことか、詳しく見ていきましょう。
全ての麦芽はまず”焙燥”される
ビールの主な原料となる麦芽(大麦麦芽)とは、少しだけ発芽した大麦のことを指すのですが、芽の成長を止めるために必ず乾燥させなくてはなりません。
この乾燥させる工程のことを焙燥と呼ぶのですが(ややこしいですが”焙煎”ではありません)、焙燥はビールの色の違いに関わらず、全ての麦芽で行われます。
その方法は単純に50〜80℃前後の熱風を浴びせるというもの。
こうすることで麦芽の水分が飛ぶため成長を止めることができ、その後麦芽の芽の部分を取り除き(除根)、一旦は麦芽の完成です。
もちろんこの段階では、そのままの麦芽の色であり、特別色づいてはいません。
なお、このように焙燥だけで済ました麦芽を、大まかに「淡色麦芽」と呼びます。
“焙煎”した麦芽を使用すると濃色ビール・黒ビールになる
その後焙煎の工程に移るのですが、焙煎は必要な場合しか行われません。
そもそも焙煎の主な目的「麦芽の色付け」
つまり、焙煎を行った麦芽を使用したビールが、琥珀色に色づいた濃色ビールもしくは黒ビールになります。
焙煎は、ロースターを用いて焙燥工程のときよりずっと高温で行われ、どれぐらいの温度で焙煎するかによって麦芽の色、要するに焦げ具合が変わってきます。
なかでも黒ビールに使用するようなとりわけ色が濃い麦芽を作る場合、その温度は200℃以上にも達し、こうして出来上がった麦芽は、ほぼ黒に近い色合いになるため「黒麦芽」と呼ばれます。
なお、黒麦芽も含め焙煎させ色づいた麦芽をことを、大まかに「濃色麦芽」と呼びます。
淡色麦芽を使用するとおなじみの淡色ビールに
このように、濃色麦芽(もしくは黒麦芽)を使用することで、濃色ビール・黒ビールが出来上がることは分かりました。
では、より一般的なビールである色が淡い淡色ビールはどうなのか?
もうお気付きの方もいるかもしれませんが、焙煎させていない淡色麦芽を使用したビールがおなじみの淡色ビールになります。
要するに、普通の色合いの麦芽から普通の色合いのビールが生まれている、ということです。
まとめ
ここまで黒ビールと淡色ビールの色が違うわけについて解説してきました。
最後にざっくりとまとめると…
- ビールの色の違いは麦芽の色の違いによって生まれている。
- 麦芽の色の違いは焙煎させるかどうかの違いによるもの。
- 濃色麦芽を使用したビールが濃色ビールまたは黒ビール。
- 淡色麦芽を使用したビールがおなじみの淡色ビール。
このようにビールの色の違いは、意外にも単純に原料である麦芽の違いによるもので、麦芽の時点ですでに色が違っているのです。
今ブームとなっているクラフトビールには一般的な淡色ビールだけでなく、濃色ビールもたくさんあり、それぞれ飲み比べてみるのも面白いでしょう。
その際は、色の違いは麦芽の違い(焙煎)からくることを思い出してみると味わい方が変わるかもしれません。
それではこの辺で。
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