現在世界中でもてはやされているクラフトジンですが、その人気拡大の背景には先駆者の存在があります。
スコットランドのアイラ島といえば、ウイスキー好きでなくとも“スコッチの聖地”であることは知っているかもしれません。
2011年にそのアイラ島で初めて誕生したジンが「ザ・ボタニスト」です。日本はおろか世界中で人気を集めており、今や王道のジンの一つに数えられるほどになっていますが、実はクラフトジンのカルチャーに大きな影響を与えたブランドでもあります。
今回は、そんなザ・ボタニストの成り立ちや特徴についてご紹介します。
ウイスキーの世界的な名手が手がけるジン
アイラ島の中でも、熱狂的なファンを有するウイスキーを手がけることで知られているブルックラディ蒸溜所。ウイスキー業界では珍しく、原料そのものやその産地の個性を重要視した革新的な取り組みを行っている造り手ですが、ザ・ボタニストはそのブルックラディ蒸溜所で造られています。
製造時に長期熟成が必要なウイスキーに対し、ジンはそれを必要としないため、比較的早く商品を世に出せるといった利点があります。
そうした事情に加えて設備の流用もできることから、今となってはクラフト系のウイスキー蒸溜所がジンも造ることは当たり前となりつつあるのですが、2011年に誕生したザ・ボタニストは、その先駆け的な存在であり、今日のジンのムーブメントの一つの起点を作ったとも言えます。
ブルックラディ蒸溜所がジンを手がけることになった理由はそれだけではありません。
前述したようにこの造り手は、産地の個性を大切にしており、「私たちはテロワールが重要だと信じている」というメッセージを掲げています。
そもそもジンは、ベースとなるお酒にボタニカルを加え、蒸溜するなどして香り付けしたもの。ボタニカルはジュニパーベリーは必須ながらも、ハーブやスパイスなど自由に使うことができるため、地元のボタニカルを使用することで産地の個性を表現できるお酒だったのです。
それゆえにザ・ボタニストでは、ジンの定番ボタニカルのほか、アイラ島で手摘みされた22種のボタニカルを使用しており、島の個性をジンをとおして表現しています。
こうした地元の素材をジンに使用する方法は、最近でこそ当たり前になりつつありますが、ザ・ボタニストは最初期にそれを行ったブランドの一つであり、地元に寄り添いながら土地の個性を表現できるジンの可能性を世界に知らしめたと言えます。
⇒なぜ人気?熱狂的なファンを有するアイラ島のウイスキー「ブルックラディ」
アイラ島に自生するユニークな植物22種をボタニカルとして活用
自然豊かなアイラ島には様々な植物が自生しています。
ザ・ボタニストにはヒースやシモツケソウ、ヨーロッパダケカンバ、ハリエニシダなどジンへの使用例がほとんどなかった素材が豊富に取り入れられているのが特徴です。
それらの野生のボタニカルは、島に住む植物学者の協力を得て、アイラ島らしい香りを持ち、採取しても環境に影響を及ぼさない素材と量を選定。そうした背景から「ザ・ボタニスト(植物学者の意味)」と名付けられたのだといいます。
厳選された野生の島内産ハーブ22種は、ジンとしてのバランスも重視するために定番のボタニカル9種も合わせて、世界に一つしかない古い蒸溜器“ローモンド・スチル”をあえて使用して、通常の3倍とされる17時間かけてゆっくり蒸溜することで島の香りをジンに閉じ込めています。
ザ・ボタニストのオススメの飲み方
ウイスキーの名手が手がけるクラフトジンのパイオニア的ブランドの一つであり、アイラ島の恵みを存分に生かしたジン、ザ・ボタニスト。
その繊細でハーバルな味わいは、定番のジン&トニックはもちろんのこと、様々な飲み方で楽しめます。
最後に、自宅でも試せるオススメの“おうちカクテル”もご紹介します。
和香るジントニック
詳しい作り方はこちら
⇒おうちカクテルwith THE BOTANIST #4「和香るジントニック」 by Bar Benfiddich 鹿山博康さん
17-22 イチナナニーニー
詳しい作り方はこちら
⇒おうちカクテル with THE BOTANIST #1「17-22」 By BAR 霞町嵐 竹田 英和さん
ザ・ボタニスト モヒート
詳しい作り方はこちら
⇒おうちカクテル with THE BOTANIST #2「The Botanist Mojito」 By Bar JUNIPER Trinity 髙橋 理さん
今回ご紹介したザ・ボタニストについては、姉妹サイトのLiquorPage CLUBのオンライン座談会企画でメインテーマとして取り上げており、現在YouTubeで公開中です。ぜひこちらもご覧ください。
⇒自宅やバーで楽しむ「ザ・ボタニスト」カクテル / On 2 Off Bar 座談会 No.4
⇒ジン好きが選ぶ、まず味わっておきたい「定番クラフトジン」6選
⇒ジャパニーズクラフトジン「ROKU」 〜 開発者に聞く、誕生までのストーリーと込められたこだわり
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