ウイスキーや焼酎でよく聞く「蒸留」とは何か?を簡単解説!

蒸留とは?

お酒の説明文には度々出てくる「蒸留」というワード。
特にウイスキーや焼酎、ジンやテキーラなどの説明では、頻繁に出てきます。

蒸留とはお酒を作る工程の一つなのですが、よく知らない方も多いと思います。

そこで本記事では「そもそも蒸留とは何ぞや」について、お酒初心者の方でも分かりやすいように簡単に解説していきます。

蒸留について理解できれば、ウイスキーや焼酎などを今後より楽しんで飲むことができます。

蒸留とはアルコール度数を高めること

まず初めに、お酒の蒸留は、必ず発酵という工程の後に行われるもので、全てのお酒で行われるものではありません。
発酵とは、酵母の力によって原料からアルコールを作り出すこと。(発酵はお酒であれば必ずある工程)

ざっくりいうと、
【原料→発酵→蒸留】
の順で行われます。

ウイスキーや焼酎など多くのお酒に用いられる技術ですが、ビールや日本酒など、蒸留を行わないお酒もあります。
それについては後述します。

※発酵については、こちらの記事でより詳しく解説されています。
発酵によってお酒ができる…そもそも発酵とは何?を簡単解説

本題に戻ると、そもそも蒸留とは何なのか?

蒸留とは、液体を熱することで蒸気(湯気)となって蒸発していった気体を、冷やして再び液体にすることです。
かなりざっくりに言うと、蒸気(湯気)を液体に変えることで、そうすることでより純度の高い液体を作リ出すことができます。
中学の時に、理科で習っているので覚えている方もいるかもしれませんね。

蒸留の仕組み

お酒における蒸留は、発酵させた後のアルコールを含む液体(モロミ)を元に行われます。

アルコールを含む液体(モロミ)を蒸留させるとどうなるかと言うと、よりアルコール度数の高い液体が作り出されます。
つまり蒸留は、アルコール度数をより高めるための工程です。

なぜ蒸留によってアルコール度数が高まるのか?

なぜ蒸留によってアルコール度数が高くなるかと言うと…

実は、水とアルコールとでは沸騰する温度、つまり沸点が違うのですね。
水の沸点が100℃なのに対し、アルコールの沸点は78℃です。
この沸点の差を利用してアルコールだけを蒸発させます。
蒸発していった蒸気を冷やして、再び液体に戻すと、アルコールの高い液体が出来上がるわけです。

沸騰して湯気が出ている

実はお酒は、発酵だけではアルコール10度前後にしかなりません。
頑張って発酵させてもせいぜい20度です。
しかし、発酵だけでなく蒸留も行うことで、アルコールを40度以上に高めることが可能になるのです。
蒸留のさせ方によっては、なんと90度前後まで高めることができます。

アルコールが90度ということは、そのお酒の成分の9割はアルコールです。
その他の成分は1割しかありません。
アルコールが高まるにつれて、それだけ原料由来の成分の割合は低くなっていくということです。

つまり、アルコール度数が上がっていくにつれて、原料の味は薄れていくのですね。

蒸留方法には、単式蒸留と連続式蒸留の2種類あり、こちらの記事で詳しく解説しています。
単式蒸留と連続式蒸留の違いとは?初心者向けに簡単解説!

蒸留後、度数は調整される

前述のとおり、蒸留によってアルコールは40〜90度まで高められます。
しかし、このままでは度数が高すぎて、お酒としては飲みにくいですよね。

なので、蒸留後は水で薄めて度数を調整します。
焼酎なら25度、ウイスキーなら40度といった感じに、その銘柄の度数に調整するわけです。

ただここで一つ疑問が湧きますね。
「水で薄めるなら、そもそもなんで度数を高める必要があるのか?」

それは、主に生産効率を上げるため、そして保存性をあげるため、とされています。
度数を一旦高くしてしまえば加水によって度数調整ができ、さらに原料由来の成分がなくなっていきます。
ほぼアルコールの状態になるとこで、腐る心配がなくなるのですね。

水で薄めて度数が調整されたとしても、中身はほとんどアルコールと水だけの状態なので、腐る可能性のある成分はほとんど残っていません。

お酒に蒸留技術が用いられるようになったのは、実は12〜13世紀頃とかなり昔。
当時は現代のように優れた保存技術などなかったでしょうから、昔の人なりに知恵を絞った結果、お酒に蒸留技術が用いるようになったのでしょう。

蒸留させたお酒は蒸留酒(スピリッツ)と呼ばれる

前述のように全てのお酒が蒸留されるわけではありません。
発酵だけで出来上がるお酒もあります。

蒸留させたお酒は、蒸留酒(スピリッツ)と呼び、
蒸留しないお酒は、醸造酒と呼んで区別されます。

何が蒸留酒で、何が醸造酒なのかについてもご紹介しましょう。

蒸留酒

  • ウイスキー
  • ジン
  • ウォッカ
  • ラム
  • テキーラ
  • ブランデー
  • 焼酎…など

醸造酒

  • ビール
  • ワイン
  • 日本酒
  • 紹興酒…など

ちなみに、蒸留酒と醸造酒の他にも、混成酒(リキュール)と呼ばれるものもあります。
これは主に蒸留酒をベースに、なんらかの果実や風味を味付けされたもの。
カシスやマリブ、カンパリといったお酒がこれにあたります。

まとめ

蒸留について、お分かりになりましたでしょうか?
蒸留は発酵よりさらに理科的で、ちょっと難しい部分ですが、理解するとウイスキーなどをより楽しんで飲むことができます。
なのでぜひ理解していただきたいですね。

最後にざっくりまとめると…

蒸留は沸騰させた蒸気から液体を作ることで、
アルコール度数をより高めるために行われ、
水とアルコールの沸点の違いを利用する。
度数は最終的に水で調整される。

ということですね。

それではこの辺で。
以上、「ウイスキーや焼酎でよく聞く「蒸留」とは何か?を簡単解説」でした。

著者:小針 真悟

[LiquorPage運営責任者] お酒の現場を7年経験したのちに独立。お酒の魅力を多くの人に知ってもらうべく、2016年11月に「LiquorPage」の運営を開始。 洋酒から和酒まで幅広い知見をベースに、様々な酒類専門メディアの執筆・編集のほか、酒類イベントの企画運営やWEB制作、プロモーション業にも携わる。写真撮影も行うなど、お酒を通じた様々な制作業を一人でこなす。(ただの酒好き)

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