バーに行く上で、どんなバーテンダーがカウンターに立っているのか、気になる方は少なくないのでは?
「バーテンダーへの8つの質問」は、対象となるバーテンダーの人となりに迫る8つの質問をインタビュー形式で展開し、バーテンダーとそのバーについて知ってもらおうという記事シリーズです。
今回特集するのは、大阪・心斎橋にある薬草酒などを豊富に揃える「BAR 識」。8つの質問にお答えいただくのは、オーナーバーテンダーの仲市敬佑(なかいちけいすけ)さんです。
8つの質問 – 仲市敬佑さん
1. バーテンダーになろうと思ったワケを教えてください。
大阪の大学に在学中に、カジュアルなバーで働き始めたのがキッカケです。特に理由はなく、たまたま知人から紹介してもらった仕事先がバーだったんです。
ただ、当時はかなり無茶な働き方をしていたために体を壊してしまいました。そもそも両親の反対を押しきって実家を出ましたから、生きるためにがむしゃらだったんだと思います。
その後はよりしっかりしたバーで働きたいと思い、北新地のお店に勤務しました。その間就活で内定を得ていたんですが…知らないうちに身についていたバーの技術に愛着を感じるようになっていて、結局はバーの道を進むことにしました。
独立したのは2018年で、その前にいくつかのバーで働きましたが、梅田の「ARTEMIS」は特に思い入れがありました。5年ほど勤務し、今後もそこでキャリアを積んでいくだろうと思っていたんですが、ビルの事情で突然閉業することになってしまい…お客様にしっかり挨拶できなかったですし、恩返しの意も兼ねて「識」を開業後もしばらくはARTEMISのバッチをつけてカウンターに立っていたんですよ。
今までを振り返ると、客観的に見れば不運も多かったかもしれません。けれどいちいち不幸に感じていたら前に進めませんし、自分を信じるための材料として何が必要か、その中でずっとそばにあったのがお酒であり、バーという空間でした。
2. あなたが一番好きなカクテルorお酒の銘柄は何ですか?
「ポーラーショートカット」や「サッポロ」のような、4つの材料を使用した乱数を伴わないカクテルは好きですね。
材料全てがお酒で、乱数がないからこそノイズが少ないし、それらが完璧に調和したものは奇跡的に美味しいと感じるんです。
それとウイスキーの「ラガヴーリン」は思い入れがありますね。
小中学校のときから読んでいた「美味しんぼ」で紹介されていたことからどこか憧れがったウイスキーなんですが、最初に飲んだときはその強烈な味わいを受け入れられなかったんです。それが体が壊れるくらいに働いていた頃、ふとラガヴーリンが頭をよぎって…いざ再び飲んでみるとやけに体に染みたんですよ。
3. もしもバーテンダーじゃなかったらどんな仕事がしたいですか?
バーテンダー以外考えたことがないんですけど、強いて言うなら“アストナージ・メドッソの弟子”でしょうか。
ガンダムに登場する伝説級の整備士で、その助手は面白そうだなと(笑)
4. 日課としていること、またはマイルールは何かありますか?
湿度、気圧、心拍の計測です。
人や自分の変調や、周辺を包む空気の変化というか…そうした揺らぎを知る指標として計測しています。その乱数を抑え、より良いパフォーマンスへと繋げたいんです。
それと、毎日寝る前にブランデーを飲んでますね。
僕が子供の頃になりたかった大人のイメージって、片手にブランデーを持ってたんですよ。今自分が成功しているかはさておき、せめてブランデーが美味しいと思える大人にはなったし、子供の頃の自分へのアンサーとして飲むようにしています。
5. 趣味やお気に入りの時間は?
山に行くことです。
登山はもちろん、トレイルランやマラニック、サバゲー等々、かなり行きますね。
昔の人は山に登れず、修験道によって全国的に開かれていきました。そうした歴史をかみしめながら、自分の中の揺らぎをリセットするために行っています。
6. もしも移住できるとしたらどこが良いですか?
どこというわけではなく、流浪と逗留の生活に憧れます。
ロマ(移動民族)のような世界観が好きですし、その土地の文化を吸収しながら、詩を読む吟遊詩人も良いですね。ある意味では“寅さん”みたいな(笑)
7. 人生で最もエキサイティングだった瞬間は?
20代の頃は平静な時間がなく、良くも悪くも毎日がエキサイティングだったこともあり、極端にいえば命をはるようなリスクを取らないとアドレナリンが出ないような状態になっていました。
そんな中で、ふと何もない静かな時間に高揚している自分に気づいたんです。自分にとっては静かな時間こそが最もエキサイティングだったんですよ。
8. 今後の目標ややりたいことを教えてください。
“懺悔室の設置”です。
僕は長い間、何も成せていない自分が許せませんでした。そんな中で10年ぶりに実家に帰ったとき、祖母に「生きててくれて良かった」と言われ…そのとき、自分では許せなくても他人にはそれは関係ないし、生きてるだけで意味があると気づいたんです。
僕と同じように自分を許せない方はたくさんいるだろうし、そういった方達に許しがあって良い…懺悔は嫌な気持ちになるかもしれませんが、その先に許しがあります。今の世の中だからこそ、癒しであり罰にもなる、皆が安心して利用できるスペースを店内に作ろうと思っています。
それと、もう一店舗やりたいですね。
「識」は自分の好みを反映させたお店ですが、次はそれとは真逆のアプローチで、白を基調とした明るい店内で僕ではない人に任せたいと思っています。
「BAR 識 / 大阪・心斎橋」について
お店の紹介
自然の要素を強く感じられる薬草酒やウイスキーなどを中心に揃える“メロウ”がテーマのバー。
「識」は仏教用語で、ニュートラルな心の状態を指し、自分を客観的に見つめられるような、メロウな酒とともに、メロウに流れる時間と空間を大事にしている。
メニュー例
EVERGREEN FIX / 1,400円
BERGAMOT COOLER / 1,300円
JASMINE RIVER MIST / 1,400円
店舗情報
住所:大阪市中央区東心斎橋 1-17-4 Marshall Bldg 2F << MAPをみる >>
営業:月〜土 18:00-4:00、日祝 18:00-0:00 火曜定休 ※時短要請中は営業時間に変更あり
電話:06-6125-5015
SNS:[Instagram]、[Facebook]
⇒バーテンダーへの8つの質問
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