中国・上海で活躍するバーテンダーへの8つの質問 – ALLEN FANG

中国・上海で活躍するバーテンダーへの8つの質問 - ALLEN FANG

日々進化を続ける世界のバーシーンですが、アジア最大級の都市である中国・上海では、独自の進化と盛り上がりを見せています。
今回LiquorPageでは、上海にて「ボンベイ・サファイア」が展開していたイベント「SAW THIS MADE THIS」を、現地まで行き取材。
イベントの中でカクテルを創作していたバーテンダーのALLEN FANGさんにインタビューしました。

ALLENさんは、世界的なカクテルの大会で複数回国内優勝するなど、上海で活躍する気鋭のバーテンダーであり、今は現地にて「Dreamsicle」と「66brix」の2店舗を経営しています。
今回はALLENさんに、上海のバーシーンのトレンドや人気のカクテル、そして今回のイベントのために考案したカクテル「Oriental Spring」のレシピや創作意図など、8つの質問に答えていただきました。

日本のバーシーンとの違いを中心に、バーテンダーならきっと役立つであろう回答ばかりです!

ALLEN FANG / Dreamsicle, 66brix

ALLEN FANGさん

イベントカクテル「Oriental Spring」を作るALLENさん

LiquorPageの質問

1. バーテンダーになろうと思ったきっかけを教えてください。

ALLEN FANGさん

ALLENさん

最初は、賑やかな場所で楽しそうですし、何より「お酒が飲めるから」という理由で始めました(笑)
当初はカジュアルなカクテルを中心に作っていたのですが、とある世界的なビターリキュールを飲んだ際に、独特の甘苦さに衝撃を受けまして…それが好まれている理由について興味が湧き、よりバーテンダーとしてのめり込んでいくようになりました。

LiquorPageの質問

2. 中国でのバーシーンのトレンドを教えてください。

ALLEN FANGさん

ALLENさん

上海などの都市部を中心に、近年は昼からオープンするバーが増えています。
私のお店では11時から営業してランチメニュー、ブランチメニューを展開していますし、そのまま夜まで営業しているお店も少なくありません。
そうした場では、ジン&トニックやエスプレッソマティーニなどのアルコールも飲まれており、若い世代はもちろん、カジュアルなミーティングをしながら1〜2杯飲んで仕事に戻るというビジネスマンも少なくありません。
また、日本のオーセンティックバーのようなクラシックなバーを、上海ではジャパニーズスタイルバーと呼んでいるのですが、そうしたバーも人気で、35〜50歳ぐらいのやや上の世代から人気を集めています。
一方で、アメリカンスタイルのバーも人気なのですが、こちらは若い世代が中心という特徴があります。

LiquorPageの質問

3. どのようなジンが人気の傾向にありますか?

ALLEN FANGさん

ALLENさん

クラフト系などジン全般が人気ですが、ボトルがユニークなものは人気がある印象です。もちろんボンベイ・サファイアは幅広く人気を集めています。
最近ではフラワー系のボタニカルを使ったジンが女性の間で支持されていますね。

LiquorPageの質問

4. それらはどのように飲まれていますか?人気のジンカクテルなどを教えてください。

ALLEN FANGさん

ALLENさん

ジン&トニックはもちろん人気です。ただ、最近はカロリーを気にする方が多いので、ソニックスタイルやジンリッキーなどローシュガーカクテルが人気を集めてきています。
ドライマティーニも上海では人気がありますが、特にジャパニーズスタイルバーで人気がありますね。

LiquorPageの質問

5. 中国のバーシーンは今後どうなっていくと思いますか?

ALLEN FANGさん

ALLENさん

今後、RTD(栓を開けてすぐ飲めるカクテル)やタップカクテル(完成した状態でタップから注がれるカクテル)が人気になると思います。
一方で演出性やテクニックが求められるカクテルもさらに人気になっていくと思っていまして、たとえば材料を透明化(クラリファイド)したカクテルなど、見た目と味わいにギャップがあるカクテルなどは人気を集めていくと思います。
それに必要なスキルやアイディアが求められるようになっていく中で、自分でオリジナルカクテルのメニューやレシピを考案できる人は、今後さらに必要とされていくと思います。

LiquorPageの質問

6. 新しいカクテルを考案する際のインスピレーションの源は何ですか?

ALLEN FANGさん

ALLENさん

他のお店のレシピの研究などはもちろんですけど、日々の食事からインスピレーションを得ることも多いです。たとえば「この料理に合うカクテルは何だろう?」と考えながら食事したりなど…
そのほかにもスーパーなどでの買い物の際に、新しい調味料や素材を見つけて試してみたり、何気ない日常からインスピレーションを得ていることが多いですね。

LiquorPageの質問

7. ボンベイ・サファイアの印象はどうですか?また、一番好きなボンベイ・サファイアで作るカクテルは何ですか?

ALLEN FANGさん

ALLENさん

やはりヴェイパー・インフュージョン製法を経ることで味わいが洗練されクリアなこと、また、ペッパーの風味が効いていることも個人的に良いと思っているポイントです。
カクテルの中ではコープス・リバイバーNo.2(ジン、コアントロー、アブサンなどで作るカクテル)が好きですね。「ボンベイ・サファイア」のクリアな味わいとペッパーな風味が活きますし、ベースに一番適していると思います。

LiquorPageの質問

8. SAW THIS MADE THISのイベントの中で創作したカクテル「Oriental Spring」について教えてください。

※「SAW THIS MADE THIS」は、身近に存在する創作物やアート作品などからインスピレーションを見つけ、体現するキャンペーン。イベント時は「SAW THIS(もととなった作品)」と「MADE THIS(新たな作品)」の2つをセットで展示。ALLENさんの作品であるカクテル「Oriental Spring」は、提供はもちろん、展示もされていた。

ALLEN FANGさん

ALLENさん

「Oriental Spring」は、上海のシンボルでもある上海タワーの写真を「SAW THIS」として作り上げた、中国の春をイメージしたカクテルです。SNSでインスピレーションを探している中で、上海タワーとピーチブロッサムの組み合わせが思い浮かびました。ピーチブロッサムは中国の春の花であり、写真も実際に春に撮られたものです。
カクテルには、実際にピーチを使っており、「ボンベイ・サファイア」にピーチとパッションフルーツのリキュールを合わせ、レモンの代わりにヴェルジュ(未熟ブドウのジュース)を、そしてピーチのコンブチャを加え、カーボネートしています。さらに、グラスの周りは、ピーチフレーバーのチョコレートでコーティングしてあり、飲む度にピーチが香るようにしました。
コープス・リバイバーNo.2や20thセンチュリーといったジンカクテルにも似たフレーバーがありながら、中国の春のような爽やかなカクテルに仕上がりました。

「Oriental Spring」レシピ

「Oriental Spring」

ボンベイ・サファイア – 35ml
花の蒸溜水 – 5ml
ヴェルジュ – 20ml
パッションフルーツ&ピーチリキュール – 15 ml
ピーチコンブチャ – 60 ml
「SAW THIS MADE THIS」の会場に、一つの作品として展示されていた「Oriental Spring」。もととなった左の写真を見ると、上海タワーの見た目がよく再現されていることがわかる

「SAW THIS MADE THIS」の会場に、一つの作品として展示されていた「Oriental Spring」。もととなった左の写真を見ると、上海タワーの見た目がよく再現されていることがわかる

まとめ

今回、ALLENさんの口からは語られなかったものの、上海のバーシーンが活気づいている理由について、筆者は、新しいものを積極的に試そうとする精神が若い世代の間で根強いこと、そしてそもそも現地の方たちのアルコール摂取量が日本のそれとは比較にならないほど多い…ということも挙げられると、上海のバーや街を巡る中で感じました。

イベントの中でALLENさんが創作したカクテルは、コンセプトや見た目、味わいなど誰もが楽しめるキャッチーさがありながら、飲み手にもインスピレーションを与えそうなALLENさんの創造性に富んだカクテルでした。

今回上海で取材したボンベイ・サファイアのイベントは「SAW THIS MADE THIS」。
あなたも「ボンベイ・サファイア」を飲みながら、ALLENさんのように何らかの作品から得たインスピレーション「SAW THIS」をもとに、新たな作品を「MADE THIS」してみては?

10月に日本でもボンベイ・サファイアのイベントを開催予定!

日本では「五感」をコンセプトにクリエイティビティを体現。
10月11日(金)~14日(月・祝)に開催される国内最大級のアートとカルチャーの祭典『MEET YOUR ART FESTIVAL 2024 「NEW ERA」』に、ボンベイ・サファイアのカクテルと共にアートを五感で体験できる空間「5 SENSES by ボンベイ・サファイア」が展開されます。

イベントの詳細はこちら
ボンベイ・サファイア公式サイト
著者:小針 真悟

[LiquorPage運営責任者] お酒の現場を7年経験したのちに独立。お酒の魅力を多くの人に知ってもらうべく、2016年11月に「LiquorPage」の運営を開始。 洋酒から和酒まで幅広い知見をベースに、様々な酒類専門メディアの執筆・編集のほか、酒類イベントの企画運営やWEB制作、プロモーション業にも携わる。写真撮影も行うなど、お酒を通じた様々な制作業を一人でこなす。(ただの酒好き)

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