ワンランク上のテキーラの選び方【産地編】

テキーラ選びのポイント

多くの方はテキーラをチョイスする際、どういった銘柄・ブランドなのか…テキーラを少し知っている方なら、レポサドやアネホといった熟成期間などを基準にして選ぶことでしょう。
もちろんそれで全く問題ないのですが、ちょっと選ぶポイントを加えるだけで、より自分が望むテキーラを選べるようになるかもしれません。

ちょっとしたプレミアムテキーラブームによって、日本で飲めるテキーラの数も増えてきています。
その中でより自分が望む味わいのテキーラを選ぶために、本記事では、もう一つ加えると良いであろうポイントについてお送りしていきます。

テキーラも産地で味わいが変わる

より自分が求めるテキーラを選ぶためのポイント、それは産地をチェックすること
ワインや日本酒など他の多くのお酒と同じように、テキーラも産地によって味わいに違いが生まれます。

テキーラの産地ってメキシコだけじゃないの?と思う方もいるでしょう。
たしかにテキーラの生産が許されているのはメキシコだけ。しかもテキーラ5州と呼ばれる地域だけです。
しかしその中でも、さらに産地は分けられます。

バジェス産か、ロスアルトス産か

実は、生産が許されるテキーラ5州の中でも、ほとんどのテキーラ蒸留所(生産メーカー)は、ハリスコ州に集中しています。
ハリスコ州以外の蒸留所は確認できるだけでも4ヶ所のみで、それ以外の150ヶ所あまりはハリスコ州にあります。(※テキーラ大鑑より)

その主要産地であるハリスコ州のテキーラでも、大きく分けて西のバジェス地方と東のロスアルトス地方の2つ産地があるのです。
このバジェス産か、ロスアルトス産かによってテキーラの味わいが変わる傾向がある、というわけです。

バジェス産=スパイシー、ロスアルトス産=甘め

テキーラの原料・アガベの畑

産地によって原料のアガベの質は変わる

By Wikipedia – Own work, CC BY-SA 3.0, Link

ざっくり言うと、バジェス産のテキーラはスパイシーでちょっぴりビターな味わいになる傾向があります。
一方でロスアルトス産のテキーラは、甘めでスムースな味わいになる傾向があります。

これはテキーラの原料であるアガベの質の違いによるもの。
高地であるロスアルトス地方では、糖分の高いアガベが採れるのです。だからテキーラにも甘みが出やすくなるのですね。
(同地方産のアガベを使用するテキーラがほとんど)

他にもバジェス産とロスアルトス産とでは、ちょっとした製法の違いや熟成に使用する樽の違いなどもありますが、原料のアガベそのものの味が違うため、テキーラの味も違ってくるのです。

つまり、甘めのテキーラが飲みたいという方は、ロスアルトス産のテキーラを…
スパイシーでよりクラシックなテキーラが飲みたいという方は、バジェス産のテキーラをチョイスすると良い、ということですね。

しかし、あくまでこれは傾向ですので、迷った際の味わいのヒント、目安程度にとどめておくのが良いでしょう。

バジェス産のテキーラ銘柄

バジェス産のテキーラとロスアルトス産のテキーラの傾向の違いがわかったところで、どの銘柄がバジェス産で、どれがロスアルトス産か知っておきたいところ。
ここではバジェス産の主要なテキーラ銘柄をいくつかご紹介します。

クエルボ

最も有名なテキーラの一つ、クエルボはバジェス産の代表銘柄。
基本的にはスパイシーでクラシックな味わいのテキーラですが、写真で使用している上級シリーズ「1800」は、一部ロスアルトス産のアガベも使用しているので、両者の特徴がミックスした複雑な味わいとなっています。

ドンフラノ

高級なプレミアムテキーラとして知られるドンフラノは、しっかりした味わいでワインで言うならフルボディ。
写真のストロングシルバーは、アルコール度数50%と少し高めなだけあって、よりフルボディでスパイシーなバジェス産らしい味わいです。

オレンダイン

バジェス地方らしい伝統製法にこだわったオレンダインは、スパイシーでアガベの香りがしっかりしたものとなっています。ちなみに写真のオリーダスシリーズは100%アガベのプレミアムテキーラ。
さらに上級シリーズとして「グランオレンダイン」があります。

エラドゥーラ

日本でもとても有名なエラドゥーラもバジェス産。もちろん兄弟ブランドであるエルヒマドールもバジェス産です。
同蒸留所は、自社栽培のアガベ、そして100%アガベにこだわり、手間暇かけて作られたテキーラは、アガベの香りが強いながらも旨味が強く、バジェス産の中では比較的穏やかなタイプとなっています。

他のバジェス産銘柄

  • サウザ
  • カサノブレ
  • アラクラン
  • アガバレス

など…

ロスアルトス産のテキーラ銘柄

ここではロスアルトス産の主要なテキーラ銘柄をいくつかご紹介します。
ロスアルトス産のテキーラには有名プレミアムテキーラがたくさんあります。

ドンフリオ

高級プレミアムテキーラの代名詞とも言えるドンフリオは、ロスアルトス地方を代表するテキーラ銘柄。
10年以上栽培させたアガベだけを使用するこの銘柄は、ロスアルトス産の中でもとりわけスムースな味わいで、甘く穏やかで飲みやすいのが特徴。
上級シリーズのドンフリオ1942は一度は味わっておきたいテキーラです。

パトロン

ドンフリオと並び、プレミアムテキーラとして日本でも有名なパトロンもロスアルトス産。
ユニークな製法で作られるこのテキーラの味わいは、しばしばハチミツに例えられ、テキーラの中でもとりわけ甘みが強く飲みやすいのが特徴。

カサドレス

鹿が描かれ、一見するとウイスキーのようなボトルのカサドレスは、プレミアムテキーラのなかでも特にコストパフォーマンスに優れた銘柄です。
まるで高級テキーラのようなリッチな甘み、味わいの深みが特徴です。

オルメカ

オルメカといえば日本でも有名なテキーラ。アガベ100%ではないミクストテキーラが有名な同銘柄ですが、今年2月にアガベ%のプレミアムテキーラシリーズ「オルメカ・アルトス」が日本に上陸しました。
こちらはよりリッチで濃厚な味わいとなっています。

他のロスアルトス産銘柄

  • エルテソロ
  • カボワボ
  • アハトロ
  • テキーラ13(13 Trece)

など…

どのテキーラがバジェス産かロスアルトス産か調べる方法

どのテキーラがどこ産かは、ネットで調べれば基本的には情報が出てきます。
通販サイトでは載っていないこともありますが、銘柄の公式ブランドサイトなら産地情報が載っていることが多いです。

しかし、産地別でカテゴリ分けされた一覧形式でチェックできるサイトは少ないため、もし色々見比べたい場合、こちらの本を用いてチェックするのもおすすめ。
この本では日本で飲める多くのテキーラが産地別でカテゴライズされ、しかも銘柄説明やちょっとしたテイスティングコメントが記載されています。
内容も難しくなく、カタログのように感覚的に見れる本なのでおすすめです。

現時点ではテキーラに関する本はまだまだ少ない中、このような本はとても貴重。しかも著者は日本テキーラ協会の会長(林生馬さん)です。

まとめ

より自分が求めるテキーラを選ぶためのポイントとして、銘柄名や熟成期間だけでなく産地もチェックすると良いということを本記事ではお送りしてきました。

最後ざっくりまとめると…

バジェス産は、スパイシーでクラシックなテキーラの味わいになることが多い。
ロスアルトス産は、甘みが強くスムースな味わいになることが多い。

繰り返しになりますが、これらはあくまで傾向ですので目安程度にしておくのが良いでしょう。
しかし、迷った際に産地別の特徴などもう一つの物差しがあるとより自分が求める、今までよりワンランク上のテキーラ選びができるようになります。

次回テキーラをお飲みになる際は、ぜひ産地もチェックしてみてください。

それではこの辺で。
以上、「ワンランク上のテキーラの選び方【産地編】」でした。

【参考文献】
テキーラ大鑑|廣済堂出版 著・林生馬

著者:小針 真悟

[LiquorPage運営責任者] お酒の現場を7年経験したのちに独立。お酒の魅力を多くの人に知ってもらうべく、2016年11月に「LiquorPage」の運営を開始。 洋酒から和酒まで幅広い知見をベースに、様々な酒類専門メディアの執筆・編集のほか、酒類イベントの企画運営やWEB制作、プロモーション業にも携わる。写真撮影も行うなど、お酒を通じた様々な制作業を一人でこなす。(ただの酒好き)

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