ワインでよくみる「パーカーポイント」とは何?その意味と役割を解説

パーカーポイントとは?

お店やネットでワインを見ているとよく「パーカーポイント〇〇点獲得!」などといった記述が見られます。
なんとなく「ワインの出来をあらわしたもの」と理解できるかもしれません。
しかし、具体的にどういった意味でどういった役割があるのか、ご存知ない方も多いでしょう。

本記事ではこの「パーカーポイント」について理解していただけるよう、意味やその仕組み、ワイン業界における役割などを解説していきます。
実はパーカーポイントは、ワイン業界ではとても重要な指標であり、消費者側としてもパーカーポイントについて知っておくと、ワイン選びに役立つことでしょう。

それでは見ていきましょう。

パーカーポイントとは?

パーカーポイント(PPと略されることも)とは、世界で最も有名なワイン評論家の一人であるロバート・パーカー氏によって評価される、ワインの評価システムです。
それは100点満点で採点するという、誰が見てもわかりやすい単純明快な評価基準
ワインに詳しくない消費者にとってもわかりやすい評価基準ながらも、影響力は絶大で、ワイン業界で最も影響力をもつ指標の一つとされています。
パーカーポイントによって、ワインの人気はもちろん販売価格までも左右するほどです。

ロバート・パーカー氏について

ロバート・パーカー氏。10年以上前の写真。

ロバート・パーカー氏。10年以上前の写真。


BY winestem|Robert Parker, the Deity of the Wine World

ワイン業界の最重要人物とも言われ、絶大な影響力をもつロバート・パーカー氏。
アメリカ人である同氏は、実は元弁護士でワインに携わっていたわけでなく、いち愛好家にすぎませんでした。
しかしあまりのワイン好きが要因となり、消費者の立場からワイン情報を提供したいと考え、1978年にワイン専門誌「ザ・ワインアドヴォケイト」を創刊。

その後は、誰も良い評価を下さなかったヴィンテージに対して、パーカー氏が一人その可能性を見抜いたことや、その公平な評価システム(後述)によって高い信頼を得たとされています。

ワイン文化の発展に貢献した人物として、フランスの最高勲章にあたるレジオン・ドヌールや、メリット勲章などを受賞しています。

ワインアドヴォケイト誌について

ザ・ワインアドヴォケイト誌は、前述のようにロバート・パーカー氏が創刊したワイン専門誌であり、同氏が編集長を長年務めたニュースレター。(2012年にその座を退いている)
この誌面にパーカーポイント(PP)とパーカー氏のテイスティングコメントを掲載しています。

ワインアドヴォケイト誌は、一切広告を載せないことでも知られ、読者からの購読料だけが収入源となっています。(つまり第三者による介入がなく同氏の意思のみによって運営されている)
パーカー氏のテイスティング能力だけでなく、このような公平なシステムも信頼の源泉となり、パーカーポイントが絶大な影響力の誇る要因となっています。

パーカーポイントの仕組み

100点満点で採点するパーカーポイント(PP)は、各銘柄を熟成時、瓶詰め後、瓶熟成後といったように度重なる試飲によって採点されています。
その都度点数をつけているため、熟成の進み具合によっては最初の点数を変更することもあります。

また、当然のことながら全世界全てのワインが評価されているわけではなく、ワインアドヴォケイト誌が評価に値すると判断したワインのみを採点。
その点数は0点からではなく、評価に値すると判断された時点で50点が与えられます。

残りの50点は以下のような内訳で評価されます。

点数の内訳
色・外見:1〜5点
香り:1〜15点
味わい:1〜20点
熟成での将来性:1〜10点

またパーカーポイントは、50〜100点の間でランクが決められており、以下のようになっています。

評価ランク
100点~96点:格別
95点~90点:傑出
89点~80点:かろうじて並以上から優良
79点~70点:並
69点~60点:並以下

上記のうち、85点以上のワインが本当に良いワインとされています。

ちなみにこれらの採点は、価格や銘柄のネームバリューは全く関係がなく、安価なワインが90点以上の超高得点をつけることもあり、逆に有名で高額なワインが並の点数をつけることもあります。

パーカーポイントはワインの価格をも左右する

ワインとお金

絶大な影響力を誇ることで知られるパーカーポイント(PP)は、前述のようにワインの価格をも左右します。
当然のことながら、超高得点の点数がついたワインは価格が上昇します。
そして特に嗜好性が高い高級ワインなどでは、逆に低い点数がついたヴィンテージ(年)は、価格が安くなる傾向があります。

例えば5大シャトーの一角として知られるシャトー・ラトゥール。
パーカーポイントが「92点」だった2007年ヴィンテージの全世界の平均価格は約57,000円
それに対し、パーカーポイントで「100満点」をつけた2009年ヴィンテージでは、平均価格が約180,000円(※)。
たった2年違いの同じワインにも関わらず、なんと3倍もの開きがあるのです。

もちろんそれだけ出来の良い年だったということですから、値段が高くなるのは当然のこととも言えますし、これだけでは必ずしもパーカーポイントが値段の主因とは言えないかもしれません。
しかし実際、ボルドーのシャトーなどでは、パーカーポイントが発表されるのを待ってから売り出し価格を決めるといった動きがあるなど、パーカーポイントがワインの価格を左右していることは間違いありません

また、例えそれまで無名だったワインでも、パーカーポイントで高得点をつけたことによって価格が上昇するといったケースも少なくありません。

※平均価格はWine-Searcherを参照

実は「日本酒版パーカーポイント」もある

ここまではワインにおけるパーカーポイントについて解説してきましたが、実は日本酒にもパーカーポイントが導入されています。
昨年2016年に始まったばかりで、ワインと違ってヴィンテージ(年)による出来の違いが少ない日本酒だけに毎年採点されるかは不明ですが、採点結果を発表後、国内外で話題となっています。

ちなみにテイスティングはロバート・パーカー氏ではなく、ザ・ワインアドヴォケイト誌の評論家のなかでも、特に日本酒に造詣が深いとされるマーティン・ハオ氏によるもの。
発表されたのは90点以上をつけた78銘柄となっています。

詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
あのパーカーポイントが日本酒に!90点以上78銘柄を発表

最後に〜 パーカーポイントでワインを選ぶべき?

ワインの価格をも左右するパーカーポイント(PP)は、ワイン業界では無視することができない重要な指標です。
パーカーポイントで高得点をつけたワインの質が良いのは言うまでもないでしょう。
しかし、いくら正確で重要な指標だからといって、全ての人にとってそれが当てはまるわけではありません。
結局のところ人それぞれ味覚は異なるからです。

とはいえ特にワイン初心者の方にとっては、ワイン選びにパーカーポイントを参考にするのは有効な手段とは言えますし、何かと役立つ指標ではあります。
絶対的な基準とはせずに、迷った際に参考にする程度が良いかもしれませんね。

それではこの辺で。
以上、「ワインでよくみる「パーカーポイント」とは何?その意味と役割を解説」でした。

【参考文献】
eRobertParker Online Japan(日本語版サイト)
日本ソムリエ協会教本2017|飛鳥出版 著・日本ソムリエ協会

著者:小針 真悟

[LiquorPage運営責任者] お酒の現場を7年経験したのちに独立。お酒の魅力を多くの人に知ってもらうべく、2016年11月に「LiquorPage」の運営を開始。 洋酒から和酒まで幅広い知見をベースに、様々な酒類専門メディアの執筆・編集のほか、酒類イベントの企画運営やWEB制作、プロモーション業にも携わる。写真撮影も行うなど、お酒を通じた様々な制作業を一人でこなす。(ただの酒好き)

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