焼酎造りには、「白麹、黄麹、黒麹」の3つのいずれかの麹菌が使用され、使用する麹菌の種類によって出来上がる芋焼酎の味の傾向が分かれます。
なかでも黄麹は、元々は日本酒に用いられている麹で、使用している銘柄こそ少ないのですが、黒麹や白麹に比べ、芋臭さが抑えられたフルーティーで華やかな香りで、とてもすっきりした味わいになる傾向があります。
飲みやすい銘柄が多いため黄麹の芋焼酎は、女性や焼酎ビギナーの方からも人気があります。
本記事では、黄麹を使用した芋焼酎の中から、筆者が特にオススメする銘柄を4つに厳選しご紹介。
今回ピックアップした黄麹芋焼酎は、いずれも「飲みやすい」と定評があり、ビギナーの方にもオススメです。
⇒芋焼酎の黒麹・黄麹・白麹…それぞれの特徴や違いを簡単解説
紹介欄の見方
焼酎紹介欄では、産地の他に、芋の種類と蒸留方法を記載しています。
詳しくは下記をご参考ください。
芋焼酎では、多くの銘柄で黄金千貫(コガネセンガン)を使用している。 他にも、やや淡麗でフルーティーなジョイホワイトや、甘みが強い紫芋が使用されることも。
【蒸留方法について】
芋焼酎の蒸留方法は、常圧蒸留か減圧蒸留かに分かれる(ともに単式蒸留)
常圧蒸留では、原料の風味が残るしっかりした味わいになり、減圧蒸留ではクリアでスッキリした味わいになる傾向がある。
黒麹の芋焼酎では多くが常圧蒸留を採用。
富乃宝山
産地:鹿児島
芋の種類:黄金千貫
蒸留方法:常圧
富乃宝山は、人気銘柄である吉兆宝山や白天宝山を手がける「西酒造」の黄麹銘柄で、おそらく同蔵元が手がける焼酎の中でも最も有名な銘柄でしょう。
芋は黄金千貫を使用し、常圧蒸留という、一般的な芋焼酎の造りながらも、味わいは一般的なそれとは異なります。
フルーティーで華やかな香りで、良い意味で芋っぽさが抑えられており、スッキリ飲みやすいのが富乃宝山の特徴。
数ある黄麹の芋焼酎の中でも、特に有名かつ人気の銘柄で、飲みやすさも相まって、女性からも高い支持を得ています。
魔王
産地:鹿児島
芋の種類:黄金千貫
蒸留方法:減圧
魔王といえば、森伊蔵と村尾とともに「3M」と呼ばれ、芋焼酎の中でも群を抜く知名度と人気を誇る銘柄。
魔王は実は、麹を非公表としているため、書籍等を見ても白麹とする記述や黄麹とする記述が見られ、はっきりはしていないのですが、香りや味わいの特徴から黄麹の特徴が強く見られます。
魔王の特徴は何と言ってもその華やかな香り。
よくある芋臭さを全く感じず、フルーティーな白ワインのようなエレガントな香りは唯一無二です。
さらに、減圧蒸留を採用しているため、軽快でスッキリしており飲みやすい味わいとなっています。
ただし、今でも入手困難でプレミア価格での流通がほとんどとなっているため、飲食店で飲む方が良いかもしれません。
海
産地:鹿児島
芋の種類:ベニオトメ
蒸留方法:減圧
海も黄麹焼酎の人気銘柄。「くじら」で有名な大海酒造の黄麹銘柄です。
こちらの銘柄は、芋の香りが苦手な方向けに開発されており、そのため芋はベニオトメを使用し、低温発酵、減圧蒸留という一般的な焼酎とは異なる造りとなっています。
海の特徴は、何と言ってもその飲みやすさ。
軽快でフルーティーな香り、淡麗でクセのない味わい、全体的にボトルデザインからも感じる「爽やか」なテイストとなっており、良くも悪くも芋っぽさを感じない銘柄です。
飲食店で勤めていた経験上、根っからの芋焼酎好きの方より、女性や焼酎ビギナーの方から特に好評の銘柄と言えます。
萬膳庵(まんぜんあん)
産地:鹿児島
芋の種類:黄金千貫
蒸留方法:常圧
萬膳酒造が造る萬膳庵は、大人気銘柄である「萬膳」の黄麹版で、ともに高い人気を誇ります。
甕壺仕込み、木桶蒸留など昔ながらの製法によって、手間暇かけて造られており、萬膳、萬膳庵ともに逸品。 黄麹を使用する萬膳庵は、萬膳よりスッキリしており、華やかで甘い香り、優しい口当たりが特徴。とはいえ今回ご紹介する4銘柄の中では、比較的芋の風味はしっかり感じる方です。
希少な銘柄のためプレミア価格で出回ることがほとんどの銘柄でしたが、近年は落ち着いてきています。
まとめ
以上が、筆者がオススメする黄麹の芋焼酎4銘柄です。 気になる銘柄は見つかりましたでしょうか?
黄麹の芋焼酎は、黒麹や白麹に比べ、芋っぽさが抑えられたフルーティーで華やかな香りで、とてもすっきりした味わいが特徴であり魅力でもあります。
とはいえ各銘柄にしっかり個性があり、同じ味の銘柄はひとつとしてありません。
ぜひ色々な黄麹芋焼酎を味わい、自分好みの銘柄を探してみてください。
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【参考文献】
焼酎手帳|東京書籍 監修・SSI
焼酎ぴあ|ぴあMOOK