酒税法の改正される見通しとなり、これによってビールの値段が変わるのはご存知でしょうか?
まだ先に話ですが、ビール類の全ての酒税が統一されることによって「発泡酒」や「第3のビール」は値上げになり、逆に「ビール」は値下げになります。
この酒税法改正によって値段に影響が及ぶのはビールだけではありません。
実は缶チューハイも含まれるのです。
本記事では酒税法改正によって缶チューハイの値段が今後どうなっていくのか、わかりやすく解説していきます。
参考記事:酒税 ゆがみ是正|日本経済新聞
そもそも酒税法とは?
酒税法とは、お酒にかかる税金を定めた税法のことです。
タバコなどと同様に、嗜好品であるお酒には消費税とは別の税金がかかっています。
この酒税は、お酒の販売金額にあらかじめ組み込まれていて、私たちがお酒を購入した際に販売金額のうち酒税分が国に納められます。
極端にいうと、お酒の売上はメーカーや販売店だけでなく、国の売上にもなるということですね。
酒税法では、ビールやワイン、日本酒、ウイスキーなど各カテゴリーごとに税率を分けています。
例えば「ビール」の場合、酒税は1リットル当たり220円です。
350mlのビールであれば酒税は約77円ですので、この77円が税金として国に納められます。
ただしビールカテゴリー(正式名:発泡性酒類)の場合、さらに細分化されていて「ビール」だけでなく「発泡酒」「その他発泡性酒類(第3のビール)」に分けそれぞれ税率を分けています。
今回の酒税法改正は、このビールカテゴリー(発泡性酒類)の税率を統一させる、というものです。
⇒ビール、発泡酒、第3のビールってそもそも何が違うの?
⇒国税庁:酒税率一覧表
缶チューハイはビールのカテゴリーに含まれる
実は缶チューハイは、酒税法上、ビールカテゴリー(発泡性酒類)の「その他発泡性酒類(第3のビール)」に分類されます。
つまり今回の酒税法改正に含まれているわけですね。
この改正によって缶チューハイの値段が上がるとみられているのです。
酒税法改正で缶チューハイの値段は今後どう変わる?
今回の酒税法改正は、缶チューハイも含まれるビールカテゴリー(発泡性酒類)の税率を段階的に調整し2026年に税率を統一させる、というものです。
ビール:77円
発泡酒:47円
その他発泡性酒類:27円
↓
2026年に統一され、3ジャンル全て約55円に。
このようにビールは安くなり、発泡酒とその他発泡性酒類(第3のビールや缶チューハイ)は高くなります。
缶チューハイの酒税が350ml当たり27円→55円に上がるので、これが販売価格に反映されれば28円程度値上がりすることになります。
統一化は2026年とまだ9年先の話ですが、段階的に税率の調整を行われていくので、その間にも缶チューハイは値上げされるものとされます。
段階的な値上げをイメージ
段階的な税率の調整の、まず1段階目は2020年に行われます。
この時缶チューハイの酒税は28円→約38円になります。
そして2段階目は2023年に行われます。
この時缶チューハイの酒税は約38円→約47円になります。
そして2026年に約47円→約55円になります。
これは例えば…
単純に酒税アップの分が値上げされるとして、1本120円のチューハイがどのように値上がりしていくか考えると…
2023年:130円→139円
2026年:139円→148円
となります。
このように最終的には、現在のチューハイの値段から20%程度値上がりすることになります。
ここまでのまとめ
安さが魅力でもある缶チューハイの値上げは、普段飲まれている方にとっては良いお知らせではありません。
統一化までは9年あり、値上げペースもゆっくりなのは救いかもしれませんね。
しかし一方でビールは値下がりしますので、酒税法改正自体は一長一短といったところです。
何れにしてもまだ先の話なので、今から変に意識する必要はないでしょう。
以上、「缶チューハイも値上げ?酒税法改正で今後値段が変わる」でした。
【5月24日追記】 スーパーでは今年6月からビール類が値上がり?
本記事では主に酒税法の税率改正について、それが今後缶チューハイにどのように影響がおよぶのか、を長いスパンで見ていきましたが、実はスーパーなどでは早くも今年2017年の6月からビール類が値上げになるという話が出ています。(参考記事⇒スーパーがビールの駆け込み特需を煽るワケ:東洋経済オンライン)
実はこれも酒税法に関わっていて、6月にスーパーなどで行われる値上げは、本記事で記したような税率の改正ではなく、「酒類の公正な取引に関する基準」によるもの。
簡単にいうと、スーパーなど量販店に対して「過度な安売りはダメですよ」というものです。
スーパーなど量販店は、これまで大手ビールメーカーや卸業者から「リベート」と呼ばれる「もっとたくさん売ってくださいね」というような、いわゆる販売奨励金を受け取っていました。
スーパーなどにとってはビール類は集客の目玉。とにかく安くてナンボですから、それを元手に時には原価割れするような安値でビール類を売ることができたのですね。
コンビニなどよりスーパーの方がビールが安いのは、これも理由の一つです。
値上げするのはスーパーだけ?
今回の「酒類の公正な取引に関する基準」はこのリベート(販売奨励金)への取り締まりの強化。
違反の罰則もありますから、これによってスーパーなどでは、値上げせざる得なくなるのです。
どれくらいの値上げになるかはまだ明かされていないのですが、各スーパーが駆け込み需要を煽っている点などを踏まえると値上げはほぼ確実な模様。
今回の規制は「スーパーのビール類はこれまでが過度に安すぎた。それを適正かつ健全な価格で販売しましょう」というものですので、経済的な面から見れば良い規制なのでしょう。
ですが消費者にとっては値上げは単に負担でしかありません。
ただし今回の規制の影響がおよぶのは、リベートの恩恵を授かっているスーパーなどの量販店だけとされています。
ビールそのものの定価を上げるというものではありませんし、普段コンビニやAmazonなどでビール類を買っている方は今のところ影響はそうないと見られます。
ビールへの影響は大きいが、缶チューハイは…
今回の規制の影響は、ビールや第3のビールなどのビール系飲料が大きく受け、缶チューハイなどが受ける影響は小さいと見られています。
つまり缶チューハイは値上げ幅が小さい、もしくは値上げをしないということです。
理由は単純に、リベートはメーカーの看板商品であるビール系飲料に多く支給され、缶チューハイはそれほどでもなかったから。
それもあってかビール大手は、ここ最近、ビール類ではなく缶チューハイの新商品を続々リリースしています。(参考記事⇒夏へ缶チューハイ増産 キリンなど、ビール類安売り規制受け:日本経済新聞)
本記事をご覧になっている缶チューハイ愛好家の方には、今回の値上げの影響はあまりないかもしれませんね。
そして繰り返しになりますが、今回の規制の影響を受けるのはスーパーなどの量販店で、そもそもコンビニやAmazonなどでは、影響は今のところほとんどないと見られます。
特に、これまでスーパーなどでケース買いしていた方はAmazonなどネット通販を利用すると良いかもしれません。スーパー並みに安く、家まで運ぶ必要がないですからね。
それでは追記分長くなりましたが、以上です。