ビール、発泡酒、第3のビールってそもそも何が違うの?

ビール、発泡酒、第3のビール

ビール系飲料には「ビール」と「発泡酒」それに「第3のビール」なるものがあるのは、ご存知の方も多いと思います。

「ビールはおいしい、けど高い」
「発泡酒はおいしくない、けど安い」
なんて言われたりもしますよね。

味が違うのは飲んでいてわかるのですが、それ以外にどんな違いがあるのでしょうか?
さらには値段に大きな違いがあるのはなぜでしょうか?

本記事では、これらの疑問を解き明かすべく、ビールと発泡酒、さらには第3のビールの違いについて、お酒初心者の方でも分かりやすいよう解説していきます。

そもそも原料が違う

ビール、発泡酒と第3のビールの違いで、まず第一に挙げられるのが、使用が認められる原料の違いです。

実は「ビール」「発泡酒」「第3のビール」などの呼び方は、そう名乗るための基準が定められています。
基準は、使用が認められる原料によって決まっていて、ビールを名乗るなら〜を〜割以上、などと決まっているのです。

以下で詳しくみていきましょう。

ビールの原料

  • 麦芽を2/3以上(67%以上)使用
  • ホップ
  • トウモロコシ
  • 米…など

発泡酒の原料

  • 麦芽を使用していればOK(割合の指定はなし)
  • ホップ
  • トウモロコシ、米などの穀物

第3のビールの原料

第3のビールと言っても、細かくは、【その他醸造酒(発泡性)】と【リキュール(発泡性)】の2種に分かれます。

その他醸造酒(発泡性)の原料

  • 糖類
  • 麦以外の穀物(大豆やえんどう豆など)
  • ホップ…他

リキュール(発泡性)の原料

  • 発泡酒
  • 蒸留酒(スピリッツ)

リキュール(発泡性)の場合、発泡酒と他のお酒を混ぜて作られています。
発泡酒として作られたお酒に、なんらかの蒸留酒を加え味や度数を調整しているのですね。

この第3のビールは、そもそも麦芽を原料として使用していないので分類上はビールではありません
ビールに似せて作っている、別のお酒といった感じでしょうか。

なお、現在第3のビールとして販売されている商品のほとんどは「リキュール(発泡性)」に該当するものです。

【その他醸造酒かリキュールなのか見分ける方法】
ビールのラベル(表面)の下の方に、どのビール系飲料なのか必ず記載してあります。
ビールなら「ビール」、第3のビールのリキュールなら「リキュール(発泡性)」というように、それぞれ記載されています。

全然値段が違うのはなぜか?

たくさん並べられた缶ビール

ビールと発泡酒、第3のビールは値段が全然違いますよね?
これはコスト面での違いももちろんありますが、それぞれにかけられている税金(酒税)が違うという点が大きいです。

全てのお酒には酒税と呼ばれる税金が課せられています。
この酒税は販売メーカーの売り上げになるわけではなく、税金なので当然国に納めるものです。
なので販売メーカーは酒税の分を商品価格に上乗せし販売するのですね。

ビール、発泡酒、第3のビールでは、この酒税がそれぞれ違うので、商品価格に差が出るのです。

それぞれの酒税について見ていきましょう。

ビールの酒税

77円
(350mlあたり)

発泡酒の酒税

47円
(350mlあたり)

第3のビールの酒税

28円
(350mlあたり、その他醸造酒、リキュールどちらも同一額)

これを見て分かるとおり、ビールだけやたらと高い酒税がかけられています。
というよりは元々はビール系飲料は本記事でいう「ビール」しかなかったのですが、税金が割高だったため、少しでも酒税を抑えるための抜け道として発泡酒が生まれ、さらに酒税を抑えるために第3のビールが生まれたのですね。

ビールと第3のビールの酒税では約50円もの開きがありますから、販売価格に大きな違いが生まれるわけです。
このことを考えると各ビールの価格差は、製造コストというよりは、酒税によるものが大きいということになりますね。

ちなみに、最近酒税法の改正が決まり、ビール系飲料の酒税が統一されることが決まりました。
10年かけて段階的に酒税を調整していって、2026年までにビール系飲料全ての酒税が54円に統一されます。
ビールは減税となり、発泡酒と第3のビールは増税になります。
これにより、ビールの販売価格は30円程度値下がりするようです。
(第3のビールという定義も無くなるそうです)
参考記事:12/9日本経済新聞「酒税 ゆがみ是正」

「ビール」だけがおいしいわけじゃない

よく発泡酒などはビールの低級品などと捉えられがちですが、必ずしもビールの方がおいしいわけではありません。
中には発泡酒の方が、ライトで飲みやすいと感じる方もいます。

結局、味覚は人それぞれ違うので、一概にビールの方がおいしいとは言えない、ということですね。

それに海外の有名ビールなどのなかには、日本では発泡酒に分類される銘柄もあります。
例えば、近頃人気のヴェデットやブルームーンなどのホワイトエールと呼ばれるジャンルでは、日本の「ビール」には使用が認められていないハーブ類を使用しているので「発泡酒」に分類されます。

このように発泡酒にもおいしいものがあるのです。

まとめ

いかがだったでしょうか?
ビールは、原料の違いだけではなく、酒税の違いによって価格差が生まれていたのですね。

それではこの辺で。
以上、「ビールに発泡酒、それに第3のビールってそもそも何が違うの?」でした。

著者:小針 真悟

[LiquorPage運営責任者] お酒の現場を7年経験したのちに独立。お酒の魅力を多くの人に知ってもらうべく、2016年11月に「LiquorPage」の運営を開始。 洋酒から和酒まで幅広い知見をベースに、様々な酒類専門メディアの執筆・編集のほか、酒類イベントの企画運営やWEB制作、プロモーション業にも携わる。写真撮影も行うなど、お酒を通じた様々な制作業を一人でこなす。(ただの酒好き)

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