「シングルモルト」と聞いて、あなたはまず何をイメージしますか?
きっと、多くの方がジャパニーズウイスキーやスコッチをイメージしたのではないでしょうか?
しかし、今やシングルモルトは世界中で造られており、バーボンウイスキーの産地として知られるアメリカも例外ではありません。
今回ご紹介する「ウエストランド」は、アメリカ産のシングルモルトとして最も有名なブランドの一つで、日本でも感度が高い層の方を中心に少しずつ知名度が上がってきています。
今回は同ブランドより、8/1に新商品が発売されたことに伴い、BEEP(東京・中目黒)にて、若手バーテンダー向けに開催されたセミナー・ワークセッションを取材。
その様子をご紹介しながら、そもそも「ウエストランド」がどのようなウイスキーなのか、そして新商品である「アメリカン・シングルモルト」「ソラム 1」「ギャリアナ 7」についてご紹介します。
「ウエストランド」とは?
アメリカ産のウイスキーと聞いて、あなたはまず何をイメージしますか?
セミナー・ワークセッションに参加した多くのバーテンダーは「とうもろこし」と回答しました。
そう、アメリカのウイスキーといえば、とうもろこしを原料に造られるバーボンウイスキーが有名なんです。
しかし実は、様々なタイプのウイスキーが造られており、単一の蒸溜所で造られた大麦麦芽(モルト)100%のウイスキー、いわゆるシングルモルトも近年は盛んに造られています。
2016年ごろには10ヶ所ほどしかいなかった造り手も今や170ヶ所に増えており、そのパイオニアとして業界を牽引したのが「ウエストランド」です。
同蒸溜所は、2010年に、アメリカ北西部のワシントン州シアトルで創業。
かねてお酒造りに興味があったというマット・ホフマンさんが、なんと21歳という若さで立ち上げました。
アメリカの大半のウイスキー蒸溜所が、バーボンやライウイスキーなどの様々なタイプのウイスキーを手がける中「ウエストランド」は、今でも珍しいシングルモルトのみを造ることにこだわる蒸溜所です。
シングルモルトといえば、参加したバーテンダーの多くが「ルール」や「多様性」をイメージしていたとおり、そう名乗るための厳密なルールが存在します。
しかし、アメリカにおいては、スコットランドにおけるシングルモルトのルールに比べて自由度が高いそうで、スコッチでは使用されない新樽を使用したり、多様性に富んでいるのだそうです。
「ウエストランド」も例外ではなく、ユニークな新樽を使用したり、ベルギービール用の酵母を使ってみたり、スコッチではあまり使われない最新型の蒸溜器を使って蒸溜してみたり…より自由で革新的なウイスキー造りをしています。
ワシントン州は大麦の産地
ウエストランドの蒸溜所があるワシントン州シアトルといえば、大都市でありながら自然も豊かであり、今では世界に名だたるテック企業らの拠点としても知られています。
また、クラフトビールやコーヒーのサードウェーブなど、新しい文化の発信地でもあり、ある意味では世界の流行の中心と言うこともできます。
そんなワシントン州ですが、実は、シングルモルトの原料となる大麦の生産も盛んに行われており、それゆえに「ウエストランド」でも、同州産の大麦が使用されています。
また、1年中気候が安定しているワシントン州は、スコットランドの気候に近く、樽での熟成などの観点からもシングルモルトの生産に適しているのだそうです。
複雑なレシピで造られる定番商品とテロワールに特化した限定シリーズ
現在生産されている「ウエストランド」は、クラフトビールでよく使われるローステッド(焙煎)モルトやピーテッドモルト(泥炭で燻したモルト)など、タイプの異なる複数のモルトを用いた複雑なレシピで造られています。
また、前述したとおり、ベルギービール用の酵母を使ってモルトを発酵させています。
樽での熟成には、スコッチではまず使われないであろう、ダイナミックに熟成が進むとされるオークの新樽も活用されるのですが「ウエストランド」では力強い原酒を造っているため、新樽の個性に負けないのだそう。
そうした複雑かつユニークな方法で造られたのが、今回発売された定番商品「ウエストランド アメリカン・シングルモルト」です。
5種類のモルトと、5種類以上の樽を用いて造られており、最低でも3年3ヶ月以上は熟成された原酒がボトリングされています。
その味わいは、ジャックさん曰く、チョコレートの香味やフルーティーな香味が特徴的だそう。
飲み方については、ジャックさんが「オンザロック」や「ブールヴァルディエ(甘苦いカクテル)」をオススメする一方で、バーテンダーからはカクテルの「マンハッタン(通常はライウイスキーを使用)」や、深煎りのコーヒーを使用した「アイリッシュコーヒー(通常はアイリッシュウイスキーを使用)」との相性が良い、との声も上がりました。
テロワールに特化した限定シリーズ「アウトポスト・レンジ」
今回、新たな定番商品のほかに、日本でも新たに販売されることが決まったのが、数量限定となる「アウトポスト・レンジ」シリーズの2本です。
これらはワシントン州でしか造れないような、テロワール(自然・地理的特性)に特化したウイスキーで、それぞれにワシントン州らしさがあるのだそうです。
まずは「ウエストランド ソラム1」
定番商品でもピーテッドモルトは使用されていますが、こちらのボトルでは、世界で初めてワシントン州で採れたピートのみ使用されているのが特徴です。
実はスコットランドと同様に、同州でもピートは採取できるのだそうです。
もちろんサスティナブルの観点から、環境に配慮しながらの採取となりますが、同州産のピートは、スコットランドのピートと土壌が違うため、ややスパイシーな香味をもたらすとジャックさんは話します。
「ウエストランド ソラム1」の仕上がりも、スモーキーさがありながらスパイシーで、シナモンはジンジャーの香りも感じられるのだとか。
なお、テロワールの観点から、ワシントン州のピートの特性については今後も研究していくとのことです。
もう一つの「ウエストランド ギャリアナ 7」は、ギャリアナオークと呼ばれる、ワシントン州近辺に自生するとても希少な原生オークの樽を使用した世界で唯一のウイスキーです。
ギャリアナオークは、数あるオークの中でも成長に時間がかかることに加え、保護対象であることから、伐採はできず自然に倒れたものしか使用できません。
それゆえにとても希少で、樽材としてはコストが高いのですが、ワシントン州のテロワールを重要視するべく、当商品ではあえてその樽が使用されています。
その味わいは、スパイシーでスモーキーな香味を与えつつも、ほかにもワシントン州の赤ワイン樽も使用していることから、フルーティーでジューシーなシェリー樽由来のウイスキーのような香味が特徴的だとジャックさんは説明します。
これらの「アウトポスト・レンジ」シリーズについて、参加したバーテンダーからは「ストーリー性があり、ワシントン州の料理と合わせてみるのも面白い」との声も上がりました。
世界で評価されるアメリカンシングルモルトのパイオニア
セミナーの最後に、参加したバーテンダーの一人であり、数々のカクテルの大会で優勝や準優勝を果たすなど若手トップバーテンダーの一人でもある小坂駿さん(Quarter Room/東京・世田谷)に「ウエストランド」のオススメの飲み方を聞いてみました。
「ハイボールがオススメです。ウエストランドの味わいの秘訣でもある、ビールなどに使用されているモルト由来の力強い味わいが、ソーダで割ることで口の中に広がるんです」と回答をいただきました。
2010年創業と、スコットランドのシングルモルト蒸溜所と比べ、まだまだ歴史が浅い「ウエストランド」
しかし、ワールドウイスキーアワードなどの世界的なアワードで部門最高賞を受賞するなど、すでに世界的に評価されています。
また、創業者のマットさんは、10ヶ所の蒸溜所とともにアメリカンシングルモルト協会を立ち上げるなど、業界の発展のためにも活動するなど、今後も楽しみなウイスキーです。
日本での知名度がそう高くはない今のうちに味わっておいては?
商品詳細
ウエストランド アメリカン・シングルモルト
■容量:700ml
■アルコール度数:46%
■希望小売価格:6,800円(税抜)
ウエストランド ソラム1
■容量:700ml
■アルコール度数:50%
■希望小売価格:19,000円(税抜)
ウエストランド ギャリアナ 7
■容量:700ml
■アルコール度数:50%
■希望小売価格:19,000円(税抜)
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