ジャパニーズウイスキーの特徴、そして強みとは?

ジャパニーズウイスキーの特徴と強み

ジャパニーズウイスキー、つまり日本のウイスキーが世界から賞賛されているということをご存知の方は多いでしょう。
歴史が浅い日本のウイスキー造りですが、世界五大ウイスキーにも数えられ、ウイスキー生産国としての地位を確立しています。

しかしながら、なぜそこまでに至ったのか、はたまたジャパニーズウイスキーはどのような特徴・強みがあるのかご存知ない方も多いでしょう。
前回こちらの記事【ジャパニーズウイスキーの定義とは?他国との違いを検証】では日本のウイスキーの定義について解説しました。
今回の記事では日本のウイスキーについてざっくりと理解できるよう、その特徴と強みについて詳しく解説していきます。

スコッチウイスキーに似ているとされる日本のウイスキーですが、知れば知るほどそこにはしっかり日本独自の特徴が現れています。
それでは見ていきましょう。

ジャパニーズウイスキーの概略・特徴

日本のウイスキーの特徴をざっくりと表すと「スコッチウイスキーを手本としつつ、独自の進化・発展を遂げた穏やかで繊細な味わいのウイスキー」といったところ。

これだけではあまりにも知識として心許ないので、以下で要点を挙げていきます。

  • スコッチをモデルに始まり他国と比べ歴史は浅い
  • ブレンデッド、ブレンデッドモルト、シングルモルトなどを主に生産
  • 蒸留所の数が少なく、巨大なメーカーが手がけることが多い
  • 原酒の販売はされず、自社でブレンド・瓶詰めまで行う
  • スモーキーでないわけではない

それぞれ詳しく見ていきましょう。

白州蒸留所の熟成庫

日本ではウイスキーの蒸留や熟成、そしてブレンドから瓶詰めまで一貫して自社で行う

スコッチをモデルに始まり歴史は浅い

日本のウイスキー造りがスコットランドを手本に始まったことはよく知られた話。
ドラマ「マッサン」でも、日本のウイスキーの父である竹鶴政孝がスコットランドでウイスキー造りを学んでいる姿が描かれています。

また、他の世界五大ウイスキーの国と比べると、日本のウイスキー造りはまだ100年も経っておらず歴史が比較的浅いのが特徴です。(国産初のウイスキーは1929年に発売されたサントリーウイスキー白札)

ブレンデッド、ブレンデッドモルト、シングルモルトなどを主に生産

日本のウイスキー造りはスコットランドウイスキー(スコッチ)を手本とすることから始まっているため、造るウイスキーの種類もスコットランドと似ています。

主にブレンデッド(角や富士山麓など)、ブレンデッドモルト(竹鶴など)、そして当然ながらその原酒ともなるモルトウイスキーとグレーンウイスキーも手がけています。

これらウイスキー各種の違いについてはこちらの記事で解説しています。
シングルモルト、バーボン、ライなど…ウイスキー9種類を比較

蒸留所の数が少ないが巨大なメーカーが手がけることが多い

スコットランドを手本としながらも、当国と比べると蒸留所の数は圧倒的に少ないのが特徴です。
これは日本の場合、そもそもひとつひとつの蒸留所が巨大で、なおかつ大きな企業が手がけているケースが多いためで、小規模蒸留所も多いスコットランドとは体制が少し異なります。

原酒の販売はされず、自社でブレンド・瓶詰めまで行う

日本では発酵・蒸留や熟成、ブレンド、瓶詰めといったウイスキーの製造工程を自社で一貫して行うのが一般的です。
実はスコットランドでは分業化されている部分もあり、そのためブレンドと瓶詰めだけ行う業者がいたり、原酒を別のメーカーに販売しブレンデッドウイスキーの原酒として使用してもらったりなど、構造が複雑です。
日本ではブレンデッドの原酒も自社で造り、その他ほとんどの工程が自社で完結しています。

スモーキーでないわけではない

日本のウイスキーはスコットランドのウイスキーとは異なり、ピートは使用せずスモーキーフレーバーは抑えられている(日本人の味覚に合わせている)とされていますが、必ずしもそうではありません。
ピートを使用するスモーキーな銘柄もあり、例えば余市やイチローズモルト(一部銘柄)ではピートを比較的多く使用しています。
また白州でもピートを使用しており、かすかにスモーキーフレーバーが与えられています。
いずれにせよ世界各国のウイスキーに比べ、繊細で複雑な香り・味わいのウイスキーが多い傾向にあります。

ピートについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
ウイスキーでよく聞く「ピート」の正体とは?意味と役割を解説

以上が日本のウイスキーの概略であり独自の特徴。
次項では、”ジャパニーズウイスキー”が世界で高評価を得ている理由、つまり日本のウイスキーの強みについて解説していきます。

ジャパニーズウイスキーの強み〜世界で賞賛されるワケ

前述のように、スコッチを手本としながらも独自の発展を遂げた日本のウイスキーですが、実はその独自の特徴は”強み”の部分と深く関係しています。

以下で要点を挙げていきます。

  • 大手が手がけることが多いため品質が安定する
  • 自社で様々な原酒を造り分けるノウハウがある
  • 複雑で繊細な味わいのウイスキーを造る技術
  • ウイスキー造りに適した気候・環境

それぞれ詳しく見ていきましょう。

白州蒸留所のポットスチル

形状の異なる蒸留器によって、多種多様な原酒の製造を可能としている

大手が手がけることが多いため品質が安定する

日本では大きな資本を持つ企業が蒸留所を所有し、ウイスキー造りを手がけていることが多いため、当然品質は安定しやすくなります。
単なるウイスキー造りだけでなく末端の研究にも十分な資金を投じることができるので、蒸留器などの重要設備はもとより科学的知識も充実し、結果として安定した品質のウイスキー造りを可能としています。

自社で様々な原酒を造り分けるノウハウがある

前述のように日本では、原酒造りから瓶詰めまでウイスキーの製造工程を一貫して自社で行います。
他国のように原酒の一部を他社ら調達といったようなことが少ないため、結果として各工程に関する経験値が蓄積され、高い技術力を要するに至っています。
特に様々なタイプの原酒を造り分けるノウハウは素晴らしく、これがあることによって、日本のウイスキーはエレガントで繊細なものに仕上げることができています。

日本独自のミズナラ樽
日本では原酒の熟成にミズナラの木材でできた樽を使用することがあります。
これは世界的に見てとても珍しく、独特の香木のような爽やかな香りを生むとされ、ジャパニーズウイスキーの奥行きのある複雑な香りに大きく影響しています。

複雑で繊細な味わいのウイスキーを造る技術

いくら多種多様な原酒を造り分ける技術があっても、それを製品化させる、つまりはブレンドさせる技術がなくては意味がありません。
しかし、日本の各メーカーには世界的に有名なブレンダー(ブレンドを担当する人)がおり、さらに日本人の繊細な味覚を考慮した上でブレンドされているため、複雑で繊細な味わいのウイスキーを世に送り出すことを可能としています。

原酒のブレンド
ウイスキーは、シングルモルトであろうがブレンデッドウイスキーであろうが、特殊なケースをのぞいて複数の樽の原酒を混ぜて(ブレンドして)製品化します。
理由は、樽ごとに仕上がりが微妙に異なるため、(質がバラバラになるのを防ぎ)完成品の品質の一定に保つためです。

ウイスキー造りに適した気候・環境

実は日本の各蒸留所が位置する地域は、その多くが冷涼で湿潤な気候となっており、本場スコットランドに似た気候となっています。
つまりウイスキー造りに適した気候・環境なのです。
これにより、ウイスキー工程の大部分を占める熟成はゆっくり穏やかに進み、素晴らしい品質の原酒を造ることができています。

まとめ

ここまで、ジャパニーズウイスキーの特徴、そして強みについて解説してきました。

最後にざっくりとまとめると…

  • 日本のウイスキー造りはスコッチを見本に発足したものの独自に進化していった
  • 巨大なメーカーが瓶詰めまで一貫して行うため各工程において高い技術力を擁している
  • 多様な原酒を造り分けることで繊細かつ複雑な味わいのウイスキー造りを可能にしている

細部の技術にまで徹底してこだわる姿勢は、いかにも日本的といったところ。
これら複数の特徴・強みが重なり合った結果、世界的に評価が高いウイスキーへとなっているのです。
(これまで受賞した世界的な賞は数多く、挙げるとキリがありません)

ジャパニーズウイスキーについて知ったことで、今後は味わい方が変わることでしょう。
世界のウイスキーも良いですが、まずはぜひ日本のウイスキーの魅力を感じてみてください。
それではこの辺で。

【参考文献】
ウイスキーコニサー資格試験教本|ウイスキー文化研究所
改訂世界ウイスキー大図鑑|柴田書店 監修・チャールズ・マクリーン

小針 真悟
著者:小針 真悟

[LiquorPage運営責任者] お酒の現場を7年経験したのちに独立。お酒の魅力を多くの人に知ってもらうべく、2016年11月に「LiquorPage」の運営を開始。 洋酒から和酒まで幅広い知見をベースに、ジン専門書籍やテキーラメディアなど外部酒類メディアの執筆協力の他、イベントの企画運営にも携わる。(ただの酒好き)

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