クラフトジンの世界的ブームに加え、日本産の銘柄も多く登場し活況を迎えているジン業界。
しかしジンは、誰しもが一度は味わったことがあるお酒(主にジントニックなどで)でありながらも、どういったお酒なのかあまり知られていません。
そこで当記事では、そもそもどんなお酒がジンにあたるのか、どの決まりを満たしていればジンと呼べるのか、その定義について解説していきます。
定義と聞くと難しく感じるかもしれませんが、当記事ではお酒に詳しく方でもわかるように、シンプルかつ丁寧に解説していきますのでご安心をください。
まずはジンの基本的な定義をチェック
ジンについては、EU(ヨーロッパ連合)で規定が定められており、それを定義とするのが一般的です。
ではそのEUのジンの定義を見てみましょう。
- ジュニパーベリーの香りを主とする
- 瓶詰めアルコール度数は37.5%以上であること
- 3つのカテゴリーに分ける
以上がジンの基本的な定義。
これを軸に、さらに3つのカテゴリー(ジン、蒸留ジン、ロンドンジンの3つ、次の項で解説)に分けられるのですが、ざっくり言ってしまえば、「ジュニパーベリーというハーブを使っている度数が高いお酒ならジン」です。
より実態に近い説明をすると、「ジンは、主に穀物類が原料のお酒をベースに、ジュニパーベリーや他ハーブ(ボタニカル)なども加え香味づけされたお酒であり、ボタニカル由来の華やかな香りが特徴」といったところです。
和名“セイヨウネズ”の実。ベリーと名についてはいるものの甘酸っぱい果実ではなく、ヒノキ科の木の実であり、松のようなウッディ(木っぽい)な香りを放つ。
香りの良さからアロマオイルにも使われる。
別名、草根木皮。ハーブやスパイス、果皮などを言う。
ジンには主に5〜10種前後使用され、そのレシピによってジンの香りが決まる。
ジン、蒸留ジン、ロンドンジンの定義をチェック
次に、以下の3つのカテゴリーに分けられた各ジンの定義についてみていきましょう。
- ジン – Gin
- 蒸留ジン – Distilled gin
- ロンドンジン – London gin
上から順に定義は厳格になっていき、ロンドンジンの定義が一番厳格となっています。
まずは「ジン – Gin」から解説していきましょう。
ジン – Ginの定義
- 農作物由来のアルコールにジュニパーベリーの香味を与えたもの
- 天然の香料だけでなく人工香料も使用可能
もっとも範囲が広く、前述した「ジンの基本的な定義」そのものと言えます。
ジュニパーバリーなどのボタニカルの香りを抽出する際に、蒸留の仕組みを用いる必要がないため、ざっくり言えば製法は自由。
コンパウンドジン(通称バスタブジン)と呼ばれるジンはこれにあたります。
蒸留ジン – Distilled ginの定義
- 農作物由来のアルコールをベースに使用
- 蒸留によってジュニパーベリーを含むボタニカルの香味を与えたもの
- 天然もしくは人工の香料由来の香味が付いたスピリッツの添加が可能
少しややこしくも感じますが、ざっくり言ってしまえば、蒸留によってボタニカルの香味を抽出していればOK。
添加が認められており、昨今では香りをたたせるために、蒸留後にあえてボタニカルのエキスを添加するジンもあります。
ロンドンジン – London ginの定義
- 農作物由来の高品質アルコールをベースに使用
- 天然のボタニカルのみを使用し、蒸留によって香味を抽出したもの
- 蒸留液の最低アルコール度数は70%
- 瓶詰めの際、少量の糖分であれば添加が可能(着色料などは添加不可)
要するに、天然のボタニカルを使用し、添加は基本しないものがロンドンジンです。
ロンドンの名がついているものの、単に分類上の名であってロンドン産である必要はなく、産地はどこでもOKです。
そのため、この定義を満たしていれば日本産のジンであってもロンドンジンに分類されます。
ちなみにこれら3つの分類と、ジンの品質の良し悪しは関係はありません。
したがって、ロンドンジンだからといって高品質というわけではなく、コンパウンドジンや蒸留ジンでも質が高く、明確な個性が出ている銘柄も多くあります。
まとめ
最後にジンの定義について、ざっくりおさらいしておきましょう。
【ジンの定義】
- ジュニパーベリーの香りを主とした、アルコール度数が37.5%以上のお酒。
- これを軸に、ジン、蒸留ジン、ロンドンジンの3つのカテゴリーに分けられ、これらは主に蒸留や添加の有無などによって分類されている。
各ジン一見すると細かい定義づけがされているようにも見えますが、一番重要な原料についてはジュニパーベリーさえ使っていればOKで、あとは基本的に自由です。
このある意味では“ゆるい”ともとれる定義だからこそ、クラフトジンのような個性的なものが台頭するようになり、ジンの大きな魅力である多様性の豊かさが生まれていると言えるでしょう。
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