バーボンウイスキーといえば、スコッチなどと並ぶ世界的に人気のウイスキー。
バーボンウイスキーとは、アメリカで造られるウイスキー(アメリカンウイスキー)の一種なのですが、実は法定義が厳しく定められています。
スコッチや日本のウイスキーとはまた違った味わいで人気のバーボンですが、その違いを生んでいるのは、バーボン独特の定義に則って造られているからとも言えるでしょう。
本記事ではバーボンウイスキーの定義をご紹介しながら、スコッチや日本のウイスキーとの違いについて解説していきます。
本記事ではバーボンの基礎知識がざっくりわかるだけでなく、バーボン独自の魅力についてもお分かりいただけるでしょう。
バーボンウイスキーの定義とは
アメリカで造られるウイスキーの総称がアメリカンウイスキー。バーボンウイスキーはその一種。
ということは、バーボンであるためにはまずアメリカンウイスキーの定義を満たす必要があります。
アメリカンウイスキーの定義
- 穀物類を原料とする
- アルコール度数95%以下で蒸留する
- オーク樽で熟成させる(コーンウイスキーは除く)
- アルコール度数40%以上で瓶詰めする
これらを満たし、次にご紹介するバーボンウイスキーの定義を満たしたものがそう名乗ることができます。
バーボンウイスキーの定義
- 原料にトウモロコシを51%以上使用(原料比の半分以上)
- アルコール度数80%以下で蒸留する
- 内側を焦がしたオーク樽の新樽で熟成させる
- 樽詰めの際のアルコール度数は62.5%以下にする
- ストレートバーボンと名乗るには2年以上熟成させる
- 瓶詰めの際、水以外を加えずに度数40%以上で瓶詰め(ストレートバーボンのみ対象)
このようにかなり細かく法定義されています。
度数や熟成年数に決まりがあるのは多くに国のウイスキーと同じですが、原料のトウモロコシや、新樽のみ使用という決まりはバーボンならではものです。
これらが「バーボンらしさ」に強い影響を与えています。
以下では、これら定義の各項目をもう少し詳しくみていきます。
実際「コーヴァル」など、ケンタッキー州以外で造られているバーボンは多々あります。
しかし現状は、約95%近くがケンタッキー州で造られており、ケンタッキー州が主産地であることは間違いありません。
トウモロコシが主原料なのはバーボンならでは特徴
バーボンは原材料比の51%以上、つまり半分以上トウモロコシを使用しなければなりません。
これはバーボンならでは規定で、スコッチや日本のウイスキーとの違いを生む要素の一つです。
スコッチや日本のモルトウイスキーは、大麦麦芽(モルト)のみしか使用が許されていません。
ブレンデッドウイスキーに使用されるグレーンウイスキーには、トウモロコシも一部使用されますが、比率は定められていません。
これによってモルトなどとは違う、独特の甘みを持った原酒が出来上がります。
ちなみにバーボンでは、トウモロコシの他には、ライ麦や小麦、大麦麦芽を混ぜて使います。
トウモロコシ51%以上という規定ではあるものの、多くのバーボンではトウモロコシは70%前後と、多くの量を使用しています。
よく出てくる用語ですので覚えておくと良いでしょう。
連続式蒸留を採用も度数規定により原料の風味は残る
バーボンでは蒸留に、連続式蒸留機を用いることが一般的。(一部単式蒸留の銘柄もあり)
一般的に連続式蒸留によって得られる原酒は、90%を超える高アルコール度数になるため、原料の風味が残りづらくニュートラルな風味になりがちです。
しかしバーボンでは、蒸留の際のアルコール度数は80%以下と定められています。
80%以下とは言いつつも、実際には70%前後で蒸留するところがほとんど。
これによって、連続式蒸留を用いながらも、原料の風味はしっかり残り、バーボンらしいパワフルな風味の原酒を造ることができているのです。
スコッチなどのモルトウイスキーなどと比べると、こちらは単式蒸留という製法の違いはあるにしても、蒸留でできる原酒の度数はだいたい70%前後ですから、そう大きくは違いはないということになります。
内側を焦がした新樽での熟成がバーボンをバーボンたるものにしている
By Bbadgett – Own work, CC BY-SA 3.0, Link
「内側を焦がしたオーク樽の新樽で熟成させる」という規定は、中古の樽を使用するのが一般的なウイスキー造りにおいては、かなり厳しいようにも思えます。
しかしこの独自の規定によって、バーボン特有の力強いフレーバーが生まれています。
新樽を用いるということは、当然樽の木材の成分は有り余っているので、これらがウイスキーの原酒に溶け出しやすくなります。
さらに、内側を焦がすのも重要なポイントで、必ずバーナーで焦がさなければなりません。(焦がす工程を「チャー」という)
焦がすことによって、さらに樽の成分が溶け出しやすくなり、これによりバーボンらしいバニラの香味や香ばしくスパイシーなフレーバーが生まれているのです。
これらを言い換えるなら、内側を焦がした新樽を使用することで早く熟成するということ。
熟成環境の違いもあるにしても、バーボンの熟成年数がスコッチなどと比べ短いのは、このような新樽を用いることによって熟成が早く進むからなのです。(熟成年数の割に色が濃いのも同様の理由)
スコッチの定番商品が10年もしくは12年であるのに対し、バーボンはほとんどが8年未満であることを見れば、熟成スピードの違いがわかります。
バーボンに使用後の樽の行く先
実は他国のウイスキーや他の蒸留酒では、一度なんらかのお酒で使用した中古の樽を使用することが多いです。
例えば、多くのスコッチやロスアルトス地方のテキーラでは、バーボンに使用した樽で熟成させています。
新樽しか使用できないバーボンですが、使用後の樽は、他のお酒によってうまく再利用されているのです。
バーボン造りにおいて、もし新樽以外も使用OKにしようものなら、多くのお酒生産者が困るかもしれません。
バーボンに熟成年数の規定はないが、ほぼ3年以上熟成させている
「バーボン」と名乗るだけなら、熟成年数の決まりはなく、極端に言えば一日熟成させただけでもバーボンと名乗ることができます。
「ストレートバーボン」と名乗るには2年以上の熟成が必要ですが、実際のところ、それを上回る3年以上熟成させる銘柄がほとんど。
これはなぜかというと、3年以上熟成させれば、熟成年数をラベルに表記する必要がないからです。
逆に3年未満ならラベルに「2年」など短いにもかかわらず、熟成年数と表記しなければなりません。
これではイメージがあまり良くないので、大半のバーボンは3年以上熟成させているのです。
これはスコッチなどと比べ熟成年数が短いため、どうしても見劣りしているように思われてしまうからとされています。
まとめ
ここまで、バーボンウイスキーの定義と他のウイスキーとの違いや、独自の魅力について解説してきました。
最後に、バーボンの定義をまとめると…
熟成には内側を焦がした新樽を使用したウイスキー。
かなり厳しい規定ですが、これら独自の規定によって、バーボン特有の力強い味わいが生まれていたのですね。
やはりバーボンは、他のウイスキーとは明らかに違う、その香りや味わいに魅力があります。
そうした味わいも含めて、バーボンは法定義のうえに成り立っていたのですね。
魅力がわかったところで、ぜひ色々なバーボンを味わってみてください。
それではこの辺で。
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