簡単解説!バーボンウイスキーのシングルバレルの意味とは?

シングルバレルとは?

バーボンウイスキーを見ていると、たまに銘柄名の後に「シングルバレル」とついたものを見かけますよね?
なんだかちょっと良さそうだけど…何が違うのだろうか?と疑問に思った方もいると思います。

実はシングルバレルでは味や作り方が、通常のウイスキーとは少し異なります

本記事ではその違い理由と、シングルバレルについての基礎知識をわかりやすくシンプルに解説していきます。
後半では、いくつか銘柄もご紹介しますのでお楽しみに。

シングルバレルとは一つの樽からできたウイスキー

シングルバレルとは、一つの樽からボトル詰めされたウイスキーのことを言います。
バレルとは、樽の一種のことを言いますので、直訳すると「単一の樽」になり言葉の意味のままのウイスキーということですね。

シングルバレルとは、主にバーボンなどアメリカンウイスキーに使われる呼び方で、他の呼び方では「シングルカスク」と呼ばれることもあります。
こちらは主にスコットランド(スコッチ)などで用いられます。

シングルバレルと通常シリーズの違いを簡単に説明すると…

通常シリーズ:同じ味に調整されたウイスキー
シングルバレル:調整がされない個性的なウイスキー

です。

この違いの理由をご説明しましょう。

ウイスキーのボトル詰めの秘密

熟成庫に積み上げられた樽

ウイスキーは「発酵→蒸留→樽熟成→ボトル詰め」という工程で作られます。
通常ウイスキーでは、ボトル詰めの際に一つの樽からボトル詰めするのではなく、複数の樽の原酒を混ぜてからボトル詰めします。(ウイスキー用語でヴァッティング)

なぜ複数の樽の原酒をヴァッティングする(混ぜる)必要があるのか?

それは味の均一化、つまりいつも同じ味にするためです。

実はウイスキーは、たとえ同じ蒸留所で同じ作り方で作られたものでも、樽ごとに味が微妙に違うのですね。
熟成の進み方が、樽ごとに微妙に違うからです。
例えばその違いは、熟成させる際の樽の置き場所などによっても生じます。

つまり、樽一つ一つがそれぞれ個性を持ってしまっているわけです。

同じ商品なのに味が違っていたら、ファンがつきにくくなってしまいますよね?
それを避けるために、通常のウイスキーでは複数の樽の原酒をヴァッティングさせているということです。

シングルバレルが意味するものは?

前述したヴァッティングをあえて行わず、一つの樽からボトル詰めを行うのがシングルバレルです。

ヴァッティング(複数樽の原酒をブレンド)を、あえて行わない理由は何か?
それは、樽一つ一つの個性を活かすことにあります。

そう聞くとハズレもあるんじゃ?と思うかもしれませんが、その心配はありません。
シングルバレルは、熟成のピークに達した上質の樽だけを厳選しボトル詰めされます。

つまり、シングルバレルを簡単に表すなら「上質+個性」のウイスキーといった感じでしょうか。

いつも同じ味の通常シリーズとは違い、よりその銘柄の個性が出たウイスキーとも言えますね。
さらに、違った樽からとれたボトルなら味も微妙に違いますから、その味の違いも楽しめますね。

ちなみに、アメリカンウイスキーの樽は容量が約200Lですので、ひと樽あたりだいたい260本程度しかとれないことになります。
ケースに換算すると約21ケースですから、同じ樽からとれたシングルバレルに出会うことはそうないかもしれませんね。

代表的なシングルバレル・バーボン

せっかくですので日本でも有名なシングルバレルのバーボンをご紹介しましょう。

ブラントン

球体型のボトルが有名なブラントン。
この銘柄は全てのシリーズがシングルバレルで作られるTHEシングルバレル・バーボンとも言える銘柄です。
IWSC(インターナショナル・ワイン&スピリッツチャレンジ)という世界的なお酒の品評会で、2015年に部門最高賞を受賞している銘柄でもあります。

フォアローゼス・シングルバレル

キリンが販売し、日本でも有名な銘柄であるフォアローゼス。
バーボンの中では比較的穏やかな味わいで、初心者の方でも飲みやすい銘柄です。
フォアローゼスのシングルバレルは、ラベルに使用した樽の番号が記載してあります。

ノブクリーク・シングルバレル

クラフトバーボンとしてブッカーズと並んで人気のノブクリーク。
コクのある甘みと香ばしいさを感じるバーボンらしい銘柄です。
シングルバレルではボトル詰めの際、度数調整を最低限しか行わないため60度と高いのですが、そのぶん樽本来の味を楽しめます。

ジャックダニエル・シングルバレル

世界一売れているアメリカンウイスキーであるジャックダニエル。
実はバーボンではないのですが、シングルバレルも有名ですのでご紹介です。
なめらかな甘みが人気のジャックダニエルですが、シングルバレルではコク深さも加わり、より贅沢な味わいになります。

ジャックダニエルについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
ジャックダニエルを飲む前に知っておきたい基本のこと

まとめ

シングルバレルについてお分かりいただけたでしょうか?

簡単にまとめるとシングルバレルとは、
「ヴァティングを行わず、一つの樽からボトル詰めされたウイスキー」で、
「上質な味わいと微妙な個性の違いを楽しむもの」ということです。

ご興味抱かれた方はぜひ、シングルバレルのウイスキーを飲んでみてください。

ちなみに初めての銘柄の場合、いきなりシングルバレルから飲まずに、まずは通常シリーズを飲むことをオススメします。
ブラントンなどの場合は例外ですね。(シングルバレルしかありませんからね)

それではこの辺で。
以上、「簡単解説!バーボンウイスキーのシングルバレルの意味とは?」でした。

こちらではバーボンの熟成スピードやラベルの年数表記について解説しています。
早く熟成する?バーボンの熟成年数と年数表記の謎を簡単解説
著者:小針 真悟

[LiquorPage運営責任者] お酒の現場を7年経験したのちに独立。お酒の魅力を多くの人に知ってもらうべく、2016年11月に「LiquorPage」の運営を開始。 洋酒から和酒まで幅広い知見をベースに、様々な酒類専門メディアの執筆・編集のほか、酒類イベントの企画運営やWEB制作、プロモーション業にも携わる。写真撮影も行うなど、お酒を通じた様々な制作業を一人でこなす。(ただの酒好き)

関連記事

  1. 大人気ウイスキー「マッカラン」の限定シリーズ「クラシックカット」がついに日本上陸! 大人気ウイスキー「マッカラン」の限定シリーズ「クラシックカット」…
  2. アラン島で造られる唯一のウイスキー「アラン・モルト」その魅力に迫る アラン島唯一の蒸留所が手がけるウイスキー「アラン・モルト」その魅…
  3. 私のウイスキーのツマミ 私の家飲みウイスキーのツマミ 〜 5つに厳選してご紹介
  4. 熱狂的ファンを持つスモーキーウイスキー「アードベッグ」の特徴を簡単にご紹介! 熱狂的ファンを持つスモーキーウイスキー「アードベッグ」の特徴を簡…
  5. 世界一売れているバーボンは?バーボン世界売上ランキングTOP5【2020版】 世界一売れているバーボンは?バーボン世界売上ランキングTOP5【…
  6. オークションで「サントリー・山崎50年」が約3,250万円で落札 オークションで「サントリー・山崎50年」が約3,250万円で落札…
  7. ハイボールをより美味しく楽しめるようになる本!?「ウイスキー ハイボール大全」が発売 ハイボールをより美味しく楽しめるようになる本!?「ウイスキー ハ…
  8. サントリーから新ウイスキーブランド「碧Ao」が発売!5大産地の原酒をブレンド サントリーから新ウイスキーブランド「碧Ao」が発売!5大産地の原…

おすすめ記事

広島市・ベネチア市 友好協力記念!「SAKURAO GIN」と「MARTINI」を使ったカクテルプロモーションを開催! 広島市・ベネチア市 友好協力記念!「SAKURAO GIN」と「MARTINI」を使ったカクテルプロモーションを開催!

水の都として世界的に知られるイタリアのベネチア市、そして中国地方最大の都市・広島市が友好協力関係にあ…

日本一のバーテンダーと行くロンドン・バー巡り - 旅でかきたてられた創造力とは?その集大成カクテルもご紹介 日本一のバーテンダーと行くロンドン・バー巡り – 旅でかきたてられた創造力とは?その集大成カクテルもご紹介

新たな発見や想像しえないインスピレーションを得られるのは、旅の大きな醍醐味の一つ。日本一のバーテ…

日本一のバーテンダーと行く『ボンベイ・サファイア蒸溜所』後編 - こだわりの蒸溜法と最先端のサスティナビリティとは? 日本一のバーテンダーと行く『ボンベイ・サファイア蒸溜所』後編 – こだわりの蒸溜法と最先端のサスティナビリティとは?

『ボンベイ・サファイア プレミアクリュ』のカクテルコンペティションで日本一に輝いた加藤晋悟さん(TH…

人気の記事

  1. あのパーカーポイントが日本酒に!90点以上78銘柄を発表 日本酒版パーカーポイント
  2. ジャパニーズ・クラフトジンが今アツい!話題の4銘柄をご紹介 ジャパニーズ・クラフトジン
  3. 日本でも流行必至!「クラフトジン」の特徴と銘柄まとめ クラフトジンとは?
  4. ウイスキー世界売り上げランキングTOP20 世界ウイスキー売上ランキング
  5. 世界一売れているビールは?2015年世界シェアTOP10を発表! 世界一のビールは?

新着記事

関連記事

PAGE TOP