欧州ワインの関税撤廃決定!いつから安くなる?どれぐらい安くなる?

欧州ワイン・関税撤廃が決定

フランス、イタリア、ドイツなど欧州産ワインの関税撤廃が決まり、今後安くなることが決まりました。
これは日本とEU(ヨーロッパ連合)による「日欧EPA(経済連携協定)」によるもので、先日正式に合意が発表されました。

この「欧州ワイン安くなる」ということについては、こちらの記事→【関税撤廃でフランスやイタリアなど欧州ワインが安くなる?】で解説しているのですが、記事執筆時点ではまだ正式決定しておらず、不明な点などありました。
今回、正式に合意が発表されたことによって「いつから安くなる?」「どれぐらい安くなる?」など、分かってきましたので改めて解説していきます。

なぜフランス、イタリアなど欧州ワインが安くなるのか?

フランス、イタリアなど欧州ワインが安くなるのは、前述のように日欧EPAによるものです。
詳しくみていきましょう。

まず日欧EPAとは、日本とヨーロッパ(EU)による「お互いの経済の発展のために、(主に貿易面で)やりやすい環境を整えましょう」というもの。
自動車や食品などの輸入・輸出にかかる関税を撤廃もしくは引き下げるというものです。
数年前話題になったTPPと同じようなもので、TPPの日本&ヨーロッパ(EU)版といったところです。

そもそも関税が撤廃とは?

ご存知の方も多いと思いますが、ワインに関わらず外国製品の輸入には、基本的に関税という名の税金がかかります。
当然、ワインなどの品物が日本の市場に出回るときには、値段に関税分が上乗せされています。
だから現地で同じものを購入するより、値段が割高になっているのです。
例えばブランド品などが、免税店で通常の値段より安く売られているのは、この関税がかかっていないからです。

この関税が撤廃、つまりゼロになることで、フランス、イタリア、スペイン、ドイツなど名だたる有名ワインがこれまでより安く飲めるようになるのです。

フランス・ボルドーのワイン

いつから安くなるのか?

実際に欧州ワインの関税が撤廃されるのは、もう少し先の話です。
というのも関税撤廃は日欧EPAによるものなので、この協定が正式にスタート(発効)しない限り安くはなりません。

今回発表されたのは「大枠合意」で、これから各政府間で決めきれていない細かな点を詰めていき、その後「協定署名→国会での承認→発効」というプロセスを辿ります。
今回の発表では「2019年中の発効を目指す」とあります。
「そんなに先の話?」と思ってしまうかもしれませんが、この日欧EPAはワインのみならず各産業を巻き込むかなり大掛かりな協定なので、発効までに時間がかかるのは仕方ありません。

つまり実際に安くなるのは2年後あたり、2019年中ということになります。

【2019年2/1追記】
2019年2/1に日欧EPAが発効!以降ワインの関税が撤廃されます。

なおAmazonでは、「日欧EPA発効記念企画のEUワインセール」が行われています。
セール会場はこちら!

いくらぐらい安くなるのか?

いつ頃から安くなるか、分かったところで気になるのが、「いくら安くのか?」でしょう。
かなり安くなることを期待している方もいるかもしれませんが、実は関税撤廃による値下げは限定的です。
というのも、そもそも欧州ワインにそれほど関税がかかっていなかったからです。

現在欧州ワインの輸入にかかる関税は【リッターあたり125円、もしくは15%】
このどちらか安い方が関税として課されています。
125円以上の関税は課せられることはないということですね。
とうことは当然、それ以上安くなることはありません。

ワインのボトルは750mlは通常サイズですから、これで計算すると一本あたり「約93円」です。
つまり、約93円以上は安くならないということです。
当然、1万円のワインでも600円のワインでも値下げ幅は同じく93円です。

低価格帯のワインに恩恵が

値下げ幅が93円と聞くと「それだけ?」と思ってしまうかもしれません。
たしかに高級ワインや中価格帯のワインにはあまり恩恵は及びませんが、低価格帯のワインでは恩恵は大きいです。
例えばこれまで600円だったワインなら、507円に値下がりし15%前後安くなりますから、これは大きいですね。

こういったワインこそ日頃日常的に楽しむことが多いですから、決して恩恵が小さいわけではありません。

ワインのお供、チーズも安くなる

カマンベールチーズ

実は今回の日欧EPAでは欧州産のチーズの関税も下げられ、今後値段が安くなります。
チーズといえばワインのお供の定番ですから、これも嬉しいニュースでしょう。

とはいえ全てのチーズが安くなるわけではなく、カマンベールやモッツァレラなソフト系のチーズに限られるようです。
関税も即時撤廃ではなく、輸入枠を設けたうえで、徐々に引き下げ、16年目に撤廃となります。

チーズなどの乳製品の場合、日本の酪農家との兼ね合いもあるので、さすがに全撤廃とはいかなかったようですね。

まとめ

今回のフランス、イタリアなど欧州ワインの関税撤廃は、一般消費者というより、大量に仕入れるメーカーや業者にはかなりインパクトあるニュースかもしれません。
とはいえ安くなることは安くなるので、嬉しいニュースではありますね。

最後にざっくりまとめると…

  • 日欧EPAが合意し、欧州ワインの関税撤廃が決定
  • 安くなるのは2年後の2019年頃
  • 値下げ幅は最大で93円
  • 低価格帯のワインがより恩恵が及ぶ
  • チーズの値下げされる

ちなみに今回のEPAでは、日本酒の輸出にかかる関税も即時撤廃されます。
これは、日本酒が世界でさらに評価されるためのチャンスかもしれませんね。

それではこの辺で。
以上「欧州ワインの関税撤廃決定!いつから安くなる?どれぐらい安くなる?」でした。

【参考文献】
日本経済新聞|7月7日朝刊・1面、3面

著者:小針 真悟

[LiquorPage運営責任者] お酒の現場を7年経験したのちに独立。お酒の魅力を多くの人に知ってもらうべく、2016年11月に「LiquorPage」の運営を開始。 洋酒から和酒まで幅広い知見をベースに、ジン専門書籍やテキーラメディアなど外部酒類メディアの執筆協力の他、イベントの企画運営にも携わる。(ただの酒好き)

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