突然ですが、あなたは日本酒のことを何と言いますか?
え?と思うかもしれませんが、おそらくほとんどの方は「日本酒」と言うのではないでしょうか。
ラベルを見ると、日本酒ではなく「清酒」と書いていることも少なくないですが、口語として清酒と呼ぶ方は少数派かと思います。
どことなく「清酒」の方が正式名称っぽい感じがありますが、どちらの呼び方が正しいのか、はたまた何か違いでもあるのか、など疑問に思った方も少なくないでしょう。
そこで当記事ではこの疑問にお答えしていきます。
清酒と日本酒は同じ意味!酒税法上は清酒で、一般的には日本酒?
日本酒と清酒という二つの呼び方ですが、実はどちらも全く同じ意味で使われています。
「米と米麹を原料とし、モロミを搾ったアルコール22度未満のお酒」を、日本酒または清酒と呼びます。
日本における酒の定義などを決めている酒税法によれば、上記の条件を満たしたお酒を「清酒」と定義しています。
しかし、一般的にはそう呼ばれることは少なく、日本酒と呼ばれることの方が圧倒的に多いのが現状です。
どちらが正式名称?
一般的には日本酒だったとしても、正式名称は清酒なのでしょうか?
酒税法上、つまり法律上は「清酒」なので、それをベースに考えると正式名称は「清酒」なのかもしれません。
しかし、ラベルには「日本酒」と書かれることも多く、造り手も日本酒と言い、唎酒師の教科書やその他書籍などでも日本酒の方を採用していることから、日本酒もまた正式名称であり、どちらが正解・不正解というものではありません。
例えばワインを見てみても、酒税上は「果実酒」にあたりますが、一般的にはワインと呼ばれています。(この場合ワインと呼ぶ方が正しいと思いますが)
そもそも清酒は、なぜそう名付けられたのか?
ではなぜ酒税法では、わざわざ清酒と呼んでいるのでしょうか?はたまたその語源は何なのでしょうか?
日本酒は長い歴史を持ち、奈良時代には本格的に製造が始まっていたとされています。
しかし、長い間モロミを搾る技術が発達せず、出来上がる酒は米粒も残った状態でかなり濁っていたとされています。(いわゆるどぶろく)
それが、江戸時代に上槽(モロミを搾って液体を取り出す作業)の技術が発達すると、濁りのないお酒が登場し始めます。
その澄んだ見た目から「清酒(または澄み酒)」と呼ぶようになり、今に至ったとされています。
清酒⇔濁酒
ちなみに、先ほど日本酒または清酒の定義を「米と米麹を原料とし、“モロミを搾った”アルコール22度未満のお酒」と説明しましたが、モロミがしっかり絞られたお酒が「清酒」であり「日本酒」です。
逆に搾っていないお酒、つまりどぶろくなどは清酒には含まれず、その濁った見た目から「濁酒」と呼びます。
これは酒税法でもしっかりと分けられており、どぶろくのラベルを見ると「濁酒」または「その他醸造酒」と記されています。
日本酒=清酒なので、どぶろくは厳密には日本酒には含まれないということになります。
ちなみに「にごり酒」と呼ばれるものは(荒くですが)モロミを搾っているため、濁酒ではなく清酒にあたります。
まとめ
ここまでをまとめると、日本酒=清酒であり、全く同じお酒を指します。
酒税法上は清酒だとしても、どちらが正式名称というものではなく、強いていうならどちらも正しいといったところです。
ちなみに、文字で見るならまだしも、口語として清酒と言っても「え?」と反応されることが多いです。
やはり一般に広く浸透している「日本酒」と呼ぶ方が、何かと便利かもしれません。
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