日本酒の精米歩合とはどんな意味?【初心者向け】

精米歩合とは?

日本酒の説明などでよく見かける「精米歩合」というワード。
いかにも専門用語で、お酒初心者の方にとってはイマイチ分かりにくいですよね。

実はこの精米歩合は、日本酒の味を決める大事な指標で、理解しておくと日本酒を選ぶ際に大いに役に立ちます。

そこで本記事では、精米歩合が一体日本酒の何を表すのか、分かりやすく説明していきます。

精米歩合とは米の磨き具合を表す

まず先に結論から…
精米歩合とは、日本酒に使う米の磨き具合(削り具合)を表します。

日本酒が米から作られている、ということをご存知の方は多いと思います。

実は日本酒に使う米は、米粒の周り(表面)の部分を磨き落としてから使用されています。
この米を磨くことを精米と言い、精米の割合を%で表したものが精米歩合というわけです。

例えば、精米歩合が60%と表記されていたら、
40%は磨き落とされている、ということです。

例えば精米歩合が60%なら…

精米歩合20%の日本酒もありますから、その場合、なんと80%も磨き落としています。

このように精米歩合は、数値が低ければ低いほど、より磨かれているということになります。

ちなみに、私たちが普段食べている食用米も精米されています。
食用米の精米歩合は、だいたい90%前後と日本酒のそれよりは高めです。

精米されていない、つまり精米歩合100%の米は「玄米」と言います。

なぜわざわざ精米するのか?

まず第一に、精米しない玄米の状態は、雑味が多く、甘みも少ないため日本酒作りに向かないんですね。

米粒の外側部分は、たんぱく質や脂質が多く含まれていて、これらは雑味の元になるとされています。
対して中心部分はデンプンが多く含まれていて、デンプンは糖分の元となる日本酒造りには欠かせない成分です。
(ご飯が噛むほど甘くなるのはこのデンプンによるもの)

米は中心にデンプンが多く含まれている

つまり分かりやすくいうと、日本酒造りに重要なのは、米の中心部分ということです。
精米によって、雑味の元となる外側部分を磨き落とすことで、クリアで飲みやすい味わいの日本酒を作っているのですね。

基本的には、精米歩合が低くなればなるほど(磨けば磨くほど)、甘みが増し、よりクリアな味わいに、
香りはフルーティーになっていきます。

精米歩合が低い=高級酒と捉えて良い

当然ながら、磨けば磨くほど手間やコストがかかります。
それだけでなく、米粒が割れてしまうリスクが高まるので、高度な技術も要します。

なので、精米歩合が低くなれば低くなるほど、日本酒の値段は高くなる傾向があります。
つまり精米歩合が低い=高級酒、というわけです。

一般的には、精米歩合が50%以下なら、それはもう高級酒と呼べます。
50%以下の場合、原料が米のみなら「純米大吟醸
米以外も使用していれば「大吟醸」というグレードの日本酒になります。
この辺りのグレードになると、ボトルやラベルデザインなど明らかに高級品になります。

〇〇吟醸など、日本酒のグレードについてはこちらの記事に書いてます。
ぜひご参考ください。

提供する側も経験してきた筆者の感覚では、よく流通している日本酒の精米歩合は、70〜60%程度のものが多いでしょうか。
ただ最近では、精米歩合が低い日本酒が増えてきていますね。

日本酒初心者には精米歩合が低めの銘柄がおすすめ

前述のように、精米歩合が低い日本酒ほど、甘くクリアになります。
なので、まだ日本酒慣れしていない初心者の方には、精米歩合が低い日本酒が飲みやすくておすすめです。

基本的には60%以下のものがおすすめで、さらにいうと50%以下の高級酒ぜひおすすめしたいです。
50%以下ともなると、日本酒初心者の方だけでなく、苦手な方でも「おいしい」と感じれる銘柄が多くなります。
(値段が高いので当たり前と言えば当たり前ですが…)

というのも実は筆者は、お酒全般が好きながらも7年ほど前までは日本酒だけ苦手だったのです。で、ある時知人から「大七・箕輪門」という精米歩合50%の日本酒をいただき、それがきっかけとなり日本酒が好きになりました。
飲んでみるとフルーティーで飲みやすく、それまでの日本酒のイメージとは良い意味で違ったんですね。
それから日本酒が飲めるようになり、だんだん味にも慣れていくことで、精米歩合が高めの日本酒も飲めるようになっていきました。

個人的な経験も踏まえて、みなさんもぜひ精米歩合の低い日本酒から飲んでみてください。

まとめ

精米歩合についてお分かりいただけたでしょうか?
ざっくりまとめると、原料の米を磨くことで日本酒の質を上げているということですね。

精米歩合によって、日本酒の味わいは大きく変わりますので、ぜひチェックしてから飲んでみてください。
違いがわかることで日本酒がだんだん楽しくなっていきますよ。

最後に補足…
精米歩合は「磨き」というワードで代用することもあります。
例えば有名な獺祭の「磨き二割三分」など。この場合は精米歩合23%ということです。
また、磨きを省略して単純に「○割○分」で表すこともあります。

それではこの辺で。
以上、「日本酒の精米歩合とはどんな意味?」でした。

著者:小針 真悟

[LiquorPage運営責任者] お酒の現場を7年経験したのちに独立。お酒の魅力を多くの人に知ってもらうべく、2016年11月に「LiquorPage」の運営を開始。 洋酒から和酒まで幅広い知見をベースに、様々な酒類専門メディアの執筆・編集のほか、酒類イベントの企画運営やWEB制作、プロモーション業にも携わる。写真撮影も行うなど、お酒を通じた様々な制作業を一人でこなす。(ただの酒好き)

関連記事

  1. 日本酒版パーカーポイント あのパーカーポイントが日本酒に!90点以上78銘柄を発表
  2. 酒米を比較 山田錦に五百万石…日本酒に使われる主な酒米をざっくり説明
  3. 日本酒の酒蔵見学に行くなら要チェック!国税庁の酒蔵マップがかなり便利 日本酒の酒蔵見学に行くなら要チェック!国税庁の酒蔵マップがかなり…
  4. 「日本酒は太らない」は本当? 日本酒は高カロリーだけど太らない、は本当?他のお酒と比較
  5. 日本酒・居酒屋より家がおすすめ? 日本酒はお店で飲むより家で飲む方が良いと思う理由
  6. 超高級日本酒の世界 知られざる超高級日本酒の世界〜普通の日本酒と何が違うのか?
  7. 日本酒・水がとても重要 日本酒の最も重要な原料は実は米ではなく水?
  8. 生酒とは? 簡単解説!日本酒の「生酒」とは?普通の日本酒と何が違うのか?

おすすめ記事

広島市・ベネチア市 友好協力記念!「SAKURAO GIN」と「MARTINI」を使ったカクテルプロモーションを開催! 広島市・ベネチア市 友好協力記念!「SAKURAO GIN」と「MARTINI」を使ったカクテルプロモーションを開催!

水の都として世界的に知られるイタリアのベネチア市、そして中国地方最大の都市・広島市が友好協力関係にあ…

日本一のバーテンダーと行くロンドン・バー巡り - 旅でかきたてられた創造力とは?その集大成カクテルもご紹介 日本一のバーテンダーと行くロンドン・バー巡り – 旅でかきたてられた創造力とは?その集大成カクテルもご紹介

新たな発見や想像しえないインスピレーションを得られるのは、旅の大きな醍醐味の一つ。日本一のバーテ…

日本一のバーテンダーと行く『ボンベイ・サファイア蒸溜所』後編 - こだわりの蒸溜法と最先端のサスティナビリティとは? 日本一のバーテンダーと行く『ボンベイ・サファイア蒸溜所』後編 – こだわりの蒸溜法と最先端のサスティナビリティとは?

『ボンベイ・サファイア プレミアクリュ』のカクテルコンペティションで日本一に輝いた加藤晋悟さん(TH…

人気の記事

  1. あのパーカーポイントが日本酒に!90点以上78銘柄を発表 日本酒版パーカーポイント
  2. ジャパニーズ・クラフトジンが今アツい!話題の4銘柄をご紹介 ジャパニーズ・クラフトジン
  3. 日本でも流行必至!「クラフトジン」の特徴と銘柄まとめ クラフトジンとは?
  4. ウイスキー世界売り上げランキングTOP20 世界ウイスキー売上ランキング
  5. 世界一売れているビールは?2015年世界シェアTOP10を発表! 世界一のビールは?

新着記事

関連記事

PAGE TOP