実は間違えやすい?ウイスキーの12年などの年数表記の意味

ウイスキーの12年の意味

ご存知のとおり、ウイスキーには「山崎12年」や「マッカラン18年」などのように、年数表記された銘柄がたくさんあります。
この年数表記の意味について、皆さんはご存知でしょうか?

もしかすると、この12年などの年数表記の意味を間違えて解釈しているかもしれません。

「山崎12年なら、単純に12年熟成させたウイスキーってことじゃないの?」
そう思われる方が多いかもしれませんが、実はこれは間違いです。

そこで本記事では、ウイスキーの年数表記の本当の意味を、ウイスキー初心者の方でも分かりやすいように解説していきます。

ざっくりとでも知っておきたい、ウイスキーの製造工程

年数表記の意味を理解するにはまず、ウイスキーができるまでの工程を、ざっくりと理解する必要があります。

【ウイスキーができるまで】
原料(モルト)→発酵→蒸留→樽熟成→ブレンド→瓶詰め(完成)

ウイスキーは蒸留酒(スピリッツ)に分類されるお酒。
原料のモルト(大麦麦芽)、もしくはグレーン(トウモロコシや大麦、小麦)を発酵させて、その発酵させたものを今度は蒸留させています。

蒸留させただけの段階では、実はまだ無色透明
この無色透明のお酒を、木製の樽に詰めて長期間熟成させなければなりません。

熟成に使う樽はそれほど大きいものではありません。
非常にざっくりとですが、だいたい幅1メートルぐらいの大きさの樽を用います。(容量180〜500ℓ程度)
つまり蒸留後の無色透明なウイスキーは、貯蔵タンクのような大きな樽に丸ごと詰められるわけではなく、比較的小さな樽に小分けして詰めて熟成させるわけです。
この小さな樽で長年かけて熟成を行うことで、透明なウイスキーに樽の木の成分が溶け出し、いわゆる琥珀色のウイスキーが出来上がるのです。

ウイスキーを樽に小分けして熟成させる

樽熟成後のウイスキーはブレンドされる

ただ、これで完成ではありません。
樽で熟成させたウイスキー(原酒)は、実はその樽ごとに微妙に味や特徴が異なってくるのです。(樽の木も中身のウイスキーも生き物、計算どおり均一には熟成してくれない)

当然ながら、商品化するにあたっては、ボトル毎の味を均一化させる必要があります。
そのため、あえて色々な樽の原酒をブレンドして(混ぜ合わせて)、目標とする味わいのウイスキーに仕上げて初めてボトルに詰められます。

これらの工程はシングルモルトやブレンデッド、それにバーボンやスコッチ、基本的に全てのウイスキーに共通していることです。

※樽の入ったままのウイスキーはしばしば原酒と呼ばれます。
※あえてブレンドせずに単一の樽のみで製品化させるウイスキーもあります。(シングルカスク、シングルバレルと呼びます)

12年=12年物のウイスキーだけ使っているわけではない

前置きがだいぶ長くなりましたが、いよいよ本題。ウイスキーの年数表記の意味についてです。

前述のように、ウイスキーは複数の樽の原酒をブレンドして完成します。
毎年ウイスキーは製造されていますから、当然各年の原酒が存在します。

ということは…
「12年」のウイスキーは12年物の原酒だけをブレンドして作られている?
実は違います。

実は、この原酒のブレンドはいろいろな熟成年数の原酒を混ぜて行われているのです。

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では「12年」の表記の意味は?

これは実は、各年の原酒をブレンドした中で、最も若い原酒の熟成年数を表記しているのです。
つまり「山崎12年」なら12年以上の原酒をブレンドしており、12年以上の原酒も混ざっているということ。
要するに「山崎12年」なら「山崎12年以上」ということです。

12年のウイスキーに30年超えの原酒が使われることもある

ウイスキーの年数表記の意味が、最も若い原酒の熟成年数を表しているなら、何十年もの熟成を経た原酒が入っていてもおかしくありません。
それはつまり「12年」のウイスキーに、30年物の原酒が入っていることもある、ということ。

実例をあげると、例えば「響12年」には、30年超えの原酒もごく少量ながら混ざっていたそうです。(サントリーの元チーフブレンダー・輿水精一氏の著書による。響12年は2015年で販売終了)

ここでちょっと疑問…
そもそも複数の樽の原酒をブレンドするのは分かるにしても、様々な熟成年数の原酒をブレンドする理由は?

これも味の均一化を図るため。
その年その年で、出来上がる原酒の味は微妙に異なるのです。

それに成長(熟成)の進み方も、それぞれの年の原酒で違います。
同じ親から生まれた兄弟でも、兄の12歳の時と、弟が12歳になった時での身長は異なります。
野菜に例えても、同じ肥料や水量を与えていても毎年同じように成長していくわけではありません。
それと一緒です。

「去年の山崎12年と、今年の山崎12年の味が全然違う!」
そういった事態を避けるために様々な熟成年数の原酒をブレンドしているのです。

このように複数年の原酒のブレンドすることは帳尻合わせといった側面はあるのですが、求める味のものを作るといった意味でも非常に重要な工程で、ひとつの料理を作り上げるようなもの。それぞれの原酒が欠かせない材料となるのです。

まとめ

ウイスキーの年数表記の意味、ご理解いただけたでしょうか?

実はウイスキーは、瓶詰めする前に複数の熟成年数の原酒をブレンドしていたのです。
そのなかで最も若い原酒の熟成年数がラベルに表記され、商品名となっていたわけです。

ちなみに、このブレンドのレシピを決める人(何年の原酒を、どの樽の原酒をどれくらいずつ混ぜるかを決める人)をブレンダーと呼びます。
このブレンドによってウイスキーの味が決まるため、ウイスキー界でブレンダーはかなりの重役で花形の職。
ファッション界でデザイナーが重要で、よく名前が出るのと同様に、ブレンダーも似た役柄になります。(品評会などの受賞式でステージに立つのもブレンダーであることが多い)
前述したサントリーの元チーフブレンダー・輿水精一氏は、ウイスキー界では世界的に有名な方です。

最後にちょっとした豆知識を挟んでみました。
それではこの辺で。
以上、「実は間違えやすい?ウイスキーの「12年」など年数の意味」でした。

著者:小針 真悟

[LiquorPage運営責任者] お酒の現場を7年経験したのちに独立。お酒の魅力を多くの人に知ってもらうべく、2016年11月に「LiquorPage」の運営を開始。 洋酒から和酒まで幅広い知見をベースに、ジン専門書籍やテキーラメディアなど外部酒類メディアの執筆協力の他、イベントの企画運営にも携わる。(ただの酒好き)

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