ハイボールが定番の飲み方となっている昨今、自宅でも美味しいハイボールを飲みたいという方は多いはず…
そうした願いに応えるべく、今回は、日本に10人しかいないウイスキーの最難関資格“マスターオブウイスキー”の取得者であり、ウイスキー業界のトップバーテンダーである静谷和典さん(新宿ウイスキーサロン/東京・新宿)に、美味しいハイボールを味わえるウイスキー10銘柄を教えていただきました!
それらの銘柄は、なるべくカジュアルに楽しんでもらえるように、概ね4,000円以下で購入できるウイスキーに限定。
それに加え、5大ウイスキー(スコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダ、日本)が全て網羅されているため、バラエティが豊かになっています。
気になるウイスキーを見つけたら、是非ハイボールにして味わってみてください!
【静谷和典さん】
– BAR LIVET / 新宿ウイスキーサロン オーナーバーテンダー –
マスターオブウイスキー取得 / ウイスキー検定3階級全国1位 / ウイスキーフェスティバルin長和 ブラインドテイスティング大会2年連続優勝 / バーテンダーチームWhisktail.tokyo代表 / 雑誌 Whisky Galore公式テイスター / Bols Around The World 2019 カクテルコンペティションJAPAN Winner / THE GLEN LIVET ベストアンバサダー / 東京ウイスキー&スピリッツコンペティション2019年&2020年&2021年審査員
1. グレンモーレンジィ オリジナル / スコットランド
まず最初にピックアップいただいたのは、スコットランド・ハイランド地方を代表するシングルモルトであり、日本でもファンが多い「グレンモーレンジィ」。
ラグジュアリーブランドで有名なLVMH社が所有するブランドで、エレガントなボトルのデザインからはその一端が感じられます。
近年はオレンジピールを加えたソーダ割り、通称「オレンジハイボール」などが人気を集めています。
地元スコットランドでは1番人気とされるシングルモルトです。
スコットランドの蒸溜所の中でもっとも背の高い5.14mもの高さのネックをもつT字シェイプ型のポットスチル(元はジンの蒸溜に使われていたものだそう)で蒸溜されており、華やかでフルーティーな味わいがなんとも印象的です。
基本的にどのウイスキーでも、ハイボールにすると各香りの要素が清涼感として引き立っていき、食中酒としても使いやすくなるのですが、グレンモーレンジィのハイボールは、シトラスやミント、柑橘系の爽やかな香りやフルーティーさを堪能することができます。
オレンジソースのポークソテーやオランジェットと合わせるのがオススメです。
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2. ザ・グレンリベット 12年 / スコットランド
スコッチの一大産地であるスペイサイドを代表するシングルモルト「ザ・グレンリベット」。
1824年、密造が盛んだった時代の中で、政府公認第1号の蒸溜所として誕生したザ・グレンリベット蒸溜所で造られるウイスキーです。
シングルモルトとしては、世界で1-2番目に売れているブランドであり、日本でも多く流通しています。
特に「12年」は、シングルモルトの中ではとりわけリーズナブルな価格であることも、気兼ねなくハイボールで楽しめる理由です。
ザ・グレンリベットは、19世紀半ばには“モルトウイスキーの代名詞”とまでいわれ、その名声にあやかろうと勝手にグレンリベットと名乗る蒸溜所が1870年代には18にものぼったといいます。
バランスがよくスムーズな飲み口が特徴のウイスキーで、フルーティーな香り、バニラやハチミツのような甘さと芳醇な風味や味わいも印象的です。
元々深みとしてあった部分が爽やかさを帯びていくのがハイボールの特徴ではありますが、ザ・グレンリベットのハイボールは、清涼度ランキングNO.1と言っても過言ではありません。
というのもウイスキーが苦手な方でも、このハイボールを飲むと「あ、ウイスキーいけるかも」という方が少なくないんです。
バーニャカウダや洋梨のタルトと合わせてみるのもオススメですよ。
3. ザ シングルトン ダフタウン 12年 / スコットランド
名産地スペイサイドの中心部、たくさんの造り手が集まる地域にあるダフタウン蒸溜所で造られる「ザ シングルトン ダフタウン 12年」。
人気のブレンデッドウイスキー「ベル」の軸となる原酒としても重宝されており、その王道をいくスタイルは、やはりハイボールで飲むにもぴったりな銘柄であるようです。
ダフタウン蒸溜所では原酒の98%がブレンド用としての出荷されており、そのシングルモルトはあまり味わえません。
シングルトンは、現行品としては同蒸溜所唯一のオフィシャルボトルシリーズです。
スペイサイドの隠れた名酒であり、その味わいはスムースでクリーミーかつエステリー。ウイスキー初心者の方にもオススメできますね。
スペイサイドらしい華やかなフルーティーさやフローラルさはもちろんあるんですけど、クリーミーテイストもあるため、ソーダ割りにすると少し滑らかな感じになるのが特徴です。
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4. アランモルト 10年 / スコットランド
タイプ:シングルモルト
ハイボールに合うとして続いてオススメいただいたのは、スコットランド・アラン島の北部、ロックランザ村の自然の中に佇む蒸溜所で造られる「アランモルト 10年」。
1995年の創業以降、年を追うごとに進化を続けており、近年ボトルデザインがフルリニューアルされたことでも話題に。日本でもウイスキーラバーの間で人気が急上昇している銘柄です。
昨今人気を集めるクラフトウイスキーの先駆けとも言われています。
スコッチの中では歴史の浅い蒸溜所ですが、リッチな味わいは世界中のウイスキーファンを唸らせ、現在高い評価を受けている人気のシリーズです。
樽由来のバニラ香に、モルティー(芳醇な穀物感)さや青りんご、メロンのようなさわやかなフルーツの香りが特徴で、ハイボールにするとシトラス系のフルーツのようなフレッシュな味わいと、かすかにスパイシーな味わいも楽しめます。
前述した3銘柄と比較すると清涼感は劣りますが、そのぶんボディを厚めにしたリッチな味わいを堪能できますよ。
カルボナーラやマンゴーのタルトと合わせるのがオススメです。
5. モンキーショルダー / スコットランド
「モンキーショルダー」は、上記4銘柄とは異なるブレンデッドモルトウイスキーであり、異なる3つの蒸溜所のモルトウイスキーをブレンドして造られる銘柄です。
特にバーでは人気のブランドで、世界の有名バー100店を対象に調査した2020年のスコッチの売れ筋ランキングでは2位にランクイン。
カクテルベースとして使いやすいスコッチとして、バーテンダーから厚い支持を得ています。
モンキーショルダーは、グレンフィディック蒸溜所、バルヴェニー蒸溜所、キニンヴィ蒸溜所の3つのモルト原酒のみで構成されるブレンデッドモルトウイスキーです。
スペイサイド特有の柑橘系の要素や林檎のような華やかなフレーバーに加えて、独特のモルティーさがあります。
3種類の原酒が使われていることから、一般的なシングルモルトに比べて多層的な味わいが特徴で、ハイボールにしても間延びせずにマイルドに持続します。
ブレンデッドウイスキーだと軽くなりすぎてしまうこともあるんですが、モルトウイスキーだけの構成なので、ソーダ割りのほか水割りでも崩れにくいのは魅力的ですね。
6. ランベイ スモール・バッチ・ブレンド / アイルランド
タイプ:ブレンデッドウイスキー
ハイボールに合うアイリッシュウイスキーとしてオススメいただいたのは、コニャック(ブランデーの一種)の名門「カミュ」がプロデュースする「ランベイ」。
アイリッシュウイスキーの伝統である3回蒸溜で造られたモルトウイスキーとグレーンウイスキーをブレンドし、その熟成原酒をランベイ島に運んで後熟(追加熟成)させています。
その後熟の際に、カミュの熟成に用いられた樽を使用しているのが最大の特徴です。
原酒を島に運んで寝かせるという変わった製法で造られるアイリッシュウイスキーです。
爽やかな柑橘とコニャック由来のフローラルな香り、味わいはモルティーで甘味があり、余韻に黒胡椒のようなスパイスを感じます。
それから、3回蒸溜なのでスコッチほどボディが重くなくスムースですし、一方でちょっとオイリーでなめらかな色調も特徴的です。
オイリーでとろっとしたなめらかな風味はアイリッシュ全体に言えることですね。
コニャックのカミュの樽で熟成させている点でも、ウイスキー好き以外の方、ワインやブランデーなどが好きな方にもオススメできる一本です。
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7. ウッドフォードリザーブ / アメリカ
5大ウイスキーの中ではスコッチに次ぐ市場規模を誇るアメリカンウイスキー。その中でも、人気のプレミアムバーボン「ウッドフォードリザーブ」はハイボールにオススメとのこと。
毎年5月に開かれるケンタッキーダービーのオフィシャルボトルとしても有名で、ウイスキーカクテルのベースとして愛用するプロが多いのも特徴です。
バーボンでは珍しく、スコットランドのフォーサイス社製のポットスチル(単式蒸溜器、一般的なバーボンは連続式蒸溜機を使用)で3回蒸溜を行っている銘柄です。
いわば“スコッチに最も近いバーボンウイスキー”なので、バーボンも飲んでみたいというスコッチ好きの方たちにも、共通点があるのでオススメしやすい銘柄です。
バーボンの中には、ハイボールにするとスイスイ飲める一方でシャバシャバしてしまう銘柄もあるんですが、ウッドフォードリザーブは、絶妙なライの比率によるオイリーさやスパイシーさによって、ハイボールにしても十分に楽しめるのもポイントです。
ハイボールのみならず、あらゆるカクテルのベースとしても使いやすい万能タイプですね。
8. ブレット バーボン / アメリカ
タイプ:バーボン
今から200年前に、ケンタッキー州ルイビルのタバーン(居酒屋)店主、オーガスタス・ブレットが造り始めたバーボン「ブレット バーボン」。
1987年に復刻されて以降、特にアメリカのバーシーンで絶大な人気を集めており、前述した世界のバー100店での売れ筋ランキング2020年版のバーボン部門では、見事トップに位置しています。
6年以上の熟成と、高品質ライ麦をふんだんに使用するという独自のレシピから生まれた希少なバーボンです。
ライのスパイシーな香りや骨格を残しながらも「喉を焼かないなめらかさ」と謳われる、複層的でなめらかな味わいが特徴で、スムースさとコクがあります。
バーボンの中ではクリーンでエステリー、柔らかな印象がありますが、口に含むとしっかりとバーボンらしい味わいが持続します。
素材の風味が中盤ぐらいから込み上げてくる…力強さがあとから込み上げてくるような印象ですね。
ハイボールだけでなく、カクテルベースとしても万能で、バーボンらしさも感じられつつも飲み疲れせず、杯数も飲める銘柄です。
9. カナディアンクラブ / カナダ
ハイボールに合うカナディアンウイスキーとしてピックアップいただいたのは、日本でも有名な「カナディアンクラブ」。
今回ご紹介する銘柄の中では、ダントツでリーズナブルな銘柄であり、ビギナーの方でも気兼ねなくカジュアルに楽しめる要素を持ったウイスキーです。
“ベースウイスキー”と“フレーバリングウイスキー”を掛け合わせたブレンデッドウイスキーで、ライトな飲み口が人気です。
カナディアンウイスキーは、5大ウイスキーの中で一番ボディがライト。今回ピックアップした銘柄の中でもカナディアンクラブは一番ライトなので、特に初心者の方にはぴったりです。
スイスイ飲めるという、ハイボールが飲んだことがない方やウイスキーが初という方にも導入としてオススメできるライトさがあるんです。
とはいえ昔からのファンの方もいますし、トラディショナルなソーダ割りでもあります。
10. ニッカ セッション / 日本
タイプ:ブレンデッドモルト
最後にオススメいただいたのは、2020年に発売し話題となった国産ブレンデッドモルト「ニッカ セッション」。
北海道の余市蒸溜所と宮城峡蒸溜所のモルト原酒、そしてニッカウヰスキーの傘下であるスコットランドのベン・ネヴィス蒸溜所の原酒を用い、心地よいサウンドを展開する“セッション”を意識しながらブレンドされています。
国産ウイスキーは入手困難な銘柄も多いですが、こちらは大手銘柄の中では比較的流通が安定しており、4,000円以下で購入できます。
力強くピーティな余市の原酒、おおらかでフルーティーかつモルティーな宮城峡の原酒、そしてコクのあるベン・ネヴィスの原酒を掛け合わせた、さながら“セッション”のようなブレンデッドモルトウイスキーです。
海外の原酒を堂々と使っていると公表されて販売されたウイスキーでもあるんですけど、何せバランス感が素晴らしい。
桃やパイナップルとスモーキーなヒントが何とも噛みごたえのある味わいを形成しています。
ハイボールにしてもバランスが崩れず、余市のピーティな部分や宮城峡の華やかなフルーティーさ、ベン・ネヴィスの桃やパイナップルの缶詰の汁のようなトロピカル感が活きており、とても優秀なウイスキーだなと思います。
「新宿ウイスキーサロン」詳細
新宿ウイスキーサロンはジャパニーズクラフトディスティラリーを新宿から全世界へと発信するためにオープン。
ウイスキーはアルコール度数が高く、それだけで苦手意識を持ってしまわれがち。ハイボールの次のステップでウイスキーベースのカクテルがあったら、それがクッションとなり多くの方々にウイスキーを楽しんでもらえるはず、という想いからシグネチャーカクテルのバリエーションも多く、中でもウイスキーを使用したウイスクテイル(Whisktail)に注力しています。
住所:東京都新宿区新宿3丁目12-1 佐藤ビル 3階<< MAP >>
営業:月~金 18:00~翌2:00 / 土日 17:00~翌2:00 ※時短要請中は営業時間に変更あり
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