テキーラの原料「アガベ」とはどんなもの?【徹底解説】

アガベとは

「テキーラ」と聞いて、好意的な反応を示す人は1割にも満たないのではないか。
そういう位置付けだったテキーラも、現在はイメージを変わりつつあり、より一般層に受け入れられつつあります。

最近ではサントリーが「テキーラ!ブンブン!」というテキーラ関連のキャッチーなCMを流すなど(そのサウザクーラーについてはこちら記事で解説)、今後その流れはさらに加速していくと思われます。

しかしながらまだまだ「テキーラがどんなお酒なのか」と言った基礎知識は知られていないのが現状。
そこで本記事では、テキーラの基本中の基本、「原料であるアガベ」について、それがどのようなものなのか解説していきます。

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テキーラの原料・アガベとは多肉植物の一種である

「テキーラの原料はアガベである」
そう聞いてもピンとこない方も多いと思います。
この聞きなれないカタカナ用語は何なのかと。

このアガベとは、多肉植物の一種で見た目はアロエに似た大きな植物です。
同じ多肉植物であるサボテンがテキーラの原料だと誤解されやすいのですが、これとアガベは全くの別物。
(強いていうなら、ともに観葉植物としても人気がある)

アガベの写真。同じ多肉植物であるアロエと似ている。

アガベの写真。同じ多肉植物であるアロエと似ている。

By jay8085 | Blue Agave, Tequila, Mexico, CC BY 2.0

アガベには様々な品種があるのですが、テキーラに使用が許されているのは「アガベ・アスール・テキラーナ(英名ブルーアガベ)」という品種のみ。
メキシコでしか生産が許されないテキーラですが、実はこのブルーアガベもメキシコが主産地となっており、うまいことリンクしているといったところです。

ちなみにテキーラのラベルや関連イラストなどに、なんだか葉先がトゲトゲした緑色の植物が描かれていることがありますが、あれこそ原料であるアガベです。

テキーラに使用されるのはアガベの茎部分「ピニャ」

さてこの多肉植物であるアガベですが、テキーラに丸ごと使用するわけではありません。
原料として使用するのは茎の部分。丸く大きいことから球茎などと記されますが、アガベの葉先を切り落とし、球茎だけになった姿がパイナップルにそっくりなことから、テキーラ業界ではこれを「ピニャ(スペイン語でパイナップル)」と呼びます。
そもそもが巨大な植物であるアガベだけにこのピニャも巨大で、その重さは30〜100kgになるとされています。

このピニャを蒸すことで糖分を引き出し、それを搾汁し、発酵・蒸留を経てテキーラとなります。

ちなみにこのピニャもテキーラのラベルや関連イラストなどに描かれることが多いのですが、本当にパイナップルと似ているため、なかにはテキーラの原料はパイナップルだと思ってしまっている方もいるかもしれません。(聞いたことはないが)

ピニャの写真

ピニャの写真。パイナップルによく似ている。

アガベはシロップとしても有名

さて、このアガベですが、美意識や健康意識が高い方はすでに詳しくご存知かもしれません。
そう、少し前に整腸作用やら血糖値を上げにくいやらでブームとなった「アガベシロップ」にも、何を隠そう同じアガベが使用されているのです。

要するに、シロップにも使用されるアガベには、優しい甘みがあると言いたいわけです。
(残念ながら発酵・蒸留してしまうのでシロップ同様の効果を得ることは難しい。ちなみにシロップはテキーラカクテルにもよく使用される)

アガベは原料として使用できるようになるまでに5〜6年以上かかる

なんとなくアガベについて分かっていただけたかと思いますが、実はこのアガベ、びっくりするほど手間暇かけて育てられています。
大型の多肉植物であるアガベは、テキーラの原料として使用できるようになるまでになんと5〜6年以上もの歳月を要するのです。

多くのお酒は毎年収穫できるものを原料とするなかで(ご存知のようにお米やらブドウやらは毎年収穫できる)、これはとても際立った存在。と同時にテキーラはそれだけ貴重なお酒でもあるのです。

アガベの大きさ=テキーラの値段?

前述のように、栽培にとても手間暇がかかるアガベは、そのアガベの大きさによってテキーラの価値や値段が決まる傾向にあります。
大きさ=栽培年数であり、例えば10年以上栽培した大型のアガベを使用するテキーラは値段が高くなります。(銘柄で言うならドンフリオやパトロンなど。ちなみに大型のアガベを使用するテキーラは甘みが強くなる)
もちろん樽熟成の期間も関係あるながらも、アガベもまた、価値を決めるかなり重要な要素というわけです。

ウイスキーの価値が樽熟成によって決まるのであれば、テキーラはアガベによって決まると言っても良いでしょう。

またアガベは、テキーラの生産者が自ら栽培することも多く、ウイスキーの製造工程の大部分が樽熟成であるのに対し、テキーラはアガベ栽培が大部分となり、蒸留酒の中では極めて農業要素が強いお酒だと感じます。

アガベ100%テキーラ=プレミアムテキーラ

ここまでアガベに関する知識を書き記してきましたが、実はテキーラは必ずしもアガベだけで造られるわけではありません。
そもそも法律によって、原料比率で51%以上(要するに半分以上)使用すればOKとなっており、トウモロコシやサトウキビ由来の糖蜜などと混ぜて造られることが許されています。
こうしてアガベ以外の原料も使用したテキーラを「ミクストテキーラ」と呼びます。(ショットくださいと言って出てくるテキーラはほぼこれ)

それに対し、アガベだけで造られるテキーラをアガベ100%テキーラ(通称プレミアムテキーラ)と呼びます。
近年テキーラのイメージ向上に一役買い、人気を集めているのはこのタイプで、日本でもだんだんこのプレミアムテキーラが主流になりつつあります。

プレミアムテキーラについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
ハリウッドで大流行!プレミアムテキーラとはどんなもの?
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まとめ

以上が、アガベの基本情報についての解説。

最後にざっくりまとめると…

  • アガベは多肉植物の一種でアロエに似た姿をしている
  • テキーラに使用されるのは球茎部分の「ピニャ」
  • アガベは栽培に5〜6年以上かかり、お酒の原料で毎年収穫できないのは珍しい
  • アガベの栽培年数(大きさ)によって、テキーラの値段が決まる

このように、テキーラの原料となるアガベは、他のお酒の原料とは違う”異例”とも言える特徴を持っています。
ぜひ次回テキーラを飲まれる際は、なんとなくでもいいので「アガベ」の存在を頭の片隅にでも置いておいてほしいと思うところ。

それではこの辺で。

【参考文献】
テキーラ大鑑|廣済堂出版 著・林生馬

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小針 真悟
著者:小針 真悟

[LiquorPage代表 / CRAFTGIN.JP共同運営者 / ジンフェスティバル東京 運営事務局] 豊富な現場経験と長年のお酒愛によって、ジンを筆頭にあらゆるお酒の知識を持つ。ジン専門書籍やテキーラメディアなど外部酒類メディアの執筆・編集にも携わる。

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