日本でも確実にブームが押し寄せているクラフトジン。
これまでジンといえばジントニックやマティーニなどカクテルで使用され、銘柄など気にせず飲むことが多かったお酒。
一方ブームになっているクラフトジンは、あえて銘柄を指定してカクテルにしたり、割らずにロックやストレートで飲んだりなど「銘柄の個性」を楽しめるのが特徴です。
そのためクラフトジンを楽しむためには、最低限いくつかの銘柄を知っておくと良いでしょう。
そこで本記事では、これからクラフトジンの世界に一歩足を踏み入れたいという方のために、とりあえず飲んでおきたい王道クラフトジン銘柄8つをご紹介していきます。
そもそもクラフトジンとは?
まずは「そもそもクラフトジンとはどういったジンなのか?」について少しだけ触れたいと思います。
まずそもそもジンとは、ベースとなるスピリッツ(度数の高いお酒)に、ハーブや果皮などのボタニカルを加え蒸留させた、アルコール度数40〜47%前後のお酒。
ものすごく簡単にいうと、ジンはボタニカルのお酒ということですね。
ジュニパーベリー(必須)、コリアンダーシード、アンジェリカ、生姜、シナモン、シトラス系の果皮など、だいたい5〜10種ほど
※それぞれの特徴についてはこちらで解説しています。
⇒【ジンによく使用されるボタニカル20種の特徴まとめ】
そしてクラフトジンとは、簡単にいうと「主に少量生産で製法や素材に徹底的にこだわったプレミアムなジン」です。
明確な定義はないのですが、これまでのジンでは一般的ではなかったボタニカルや、その土地特有の素材を使用したりなど、銘柄ごとに個性があるのが特徴。
また、小規模な生産者が多いのも特徴です。
手間暇かけて作られるため値段は普通のジンより高めですが、そのぶん味わいもプレミアム。
それぞれの銘柄で味わいが大きく異なり、また普通のジンに比べてトゲがなく味わい深いため、ロックやストレートでも楽しめるのもクラフトジンの醍醐味です。
※プレミアムジンというワードもよく目にしますが、基本的にクラフトジンと同じ意味ととらえて問題ないです。
⇒【日本でも流行必至!「クラフトジン」の特徴と銘柄まとめ】
クラフトジンの王道&定番8銘柄
それではいよいよ銘柄紹介に移りたいと思います。
一体どんな銘柄がクラフトジンにあたるのか?ということで、まずは覚えておきたい王道の銘柄を8つご紹介します。
それぞれクラフトジンの中では有名かつ人気の銘柄なので、とりあえずこれらの銘柄から飲み始めると良いでしょう。
※番号が振ってありますがランキングでありませんので並び順は関係ありません。
1. ヘンドリックス
ヘンドリックスは、今のクラフトジン・プレミアムジンブームの先駆け的な存在。
ウイスキーの本場スコットランド発で、有名なシングルモルト・グレンフィデックなどを手がけるウィリアムグラント&サンズ社が手がけています。
独自の製法を用いるだけでなく、ヘンドリックスはなんといっても薔薇の花びらとキュウリのエキスを使用するのが特徴のジンです。
もちろんこれらは一般的なジンでは使用されないもので、これを使用することにより華やかで凛としたフローラルな、唯一無二の香りとなっています。
ヘンドリックスを使用したカクテルには、しばしばキュウリが添えられるのも特徴です。
薔薇の花のエキス、キュウリのエキス、カモミールなど計11種
【味わい】
花のような華やかでフローラルな香り、程よい甘みがありながらもとてもスッキリした、どこか涼しげな味わいです。
※ヘンドリックスについて詳しくはこちらでご紹介しています。
⇒ヘンドリックス…クラフトジンのパイオニア的銘柄を徹底解剖
2. 季の美
季の美は名前のとおり、日本産のクラフトジンで、2016年に操業スタートした日本初のジン専門の蒸留所「京都蒸留所」が手がける京都らしさ溢れるジンです。
ジンのベースとなるスピリッツには、通常ではありえないお米100%のスピリッツを使用し、さらにボタニカルには京都産のお茶(玉露)やゆず、山椒にヒノキなど日本特有のものをふんだんに使用。
さらに、通常のジンでは全てのボタニカルをまとめて蒸留するのですが、この季の美ではボタニカルを6つのカテゴリーに分け別々に蒸留、それを最後にブレンドさせるという非常に手間のかかる製法で作られています。
日本の技術と素材を最大限活かしたジンは、2016年9月の発売直後から国内外で話題を呼び、すでにジャパニーズクラフトジンの定番となりつつあります。
お茶(玉露)、ゆず、山椒、笹の葉、生姜、ヒノキなど計11種
【味わい】
各ボタニカルの特徴がよく表れ、香りはゆずが強いながらも茶や山椒などもしっかり感じます。味わいはほのかに甘みの効いた優しい口当たりで、和のエッセンスを感じるものとなっています。
※日本のジンのセミナーを受け、それを元にした記事もぜひご覧ください。
⇒ジャパニーズ・クラフトジンが今アツい!話題の4銘柄をご紹介
3. コーヴァル
コーヴァルはアメリカ・シカゴにある、クラフトウイスキーという分野でも注目集める「コーヴァル蒸留所」が手がけるジンです。
このジンの特徴は、使用する素材全てがオーガニックであること。しかもただオーガニックというだけでなく、「コーシャ」という今アメリカのセレブ達の間で人気を集める、オーガニックよりも厳しいとされる食品認定を受けています。
そうして作られる自然派なジンは、とてもソフトでまろやかな口当たりとなっており、また一見するとアロマディフューザーのようなとてもおしゃれなボトルは、ついついSNSでシェアしたくなります。
なおコーヴァルには、通常のドライジンだけでなく、樽で熟成させたやや色づいたバレルドジンもあり、ご自宅用でしたらこれらを2タイプをセットにしたギフトセットがおすすめです。(1本の容量200mlとちょうどよく、飲み比べもできるので)
アンジェリカルード、ローズヒップなど
【味わい】
香りや味わいにトゲがなくとてもソフトで飲みやすい。華やかでフルーティーな香り、そして優しい甘みを感じる味わいとなっています。
※蒸留所主催のセミナーを受け、それを元にした記事もぜひご覧ください。
⇒オーガニックでおしゃれなクラフトジン「コーヴァル」の魅力に迫る
4. ザ・ボタニスト
ボタニストは、ウイスキーの名産地・スコットランドのアイラ島で作られるジンで、手がけるのはこれまた有名なウイスキー蒸留所「ブルイックラディ蒸留所」です。
アイラ島のジンであることにこだわり、22種ものアイラ島産のボタニカルの使用し、ジンに使用される一般的なボタニカル9種と合わせて計31種ものボタニカルによって作られています。
上記3銘柄が華やかなタイプなのに対し、ボタニストはどちらというと芳醇でよりしっかりしたタイプとなっており、さらに使用するボタニカルが多いだけあってより複雑さを増しています。
まるで香水のような高級感のあるボトルに詰められたおしゃれなクラフトジンは、ジンファンのみならずウイスキーファンも味わっておきたい銘柄です。
アイラ島のヒース、アップルミント、レモンバームなど22種、他ジュニパーベリーやレモンピールなど一般的なボタニカル9種
【味わい】
香りや味わいにトゲがなくとてもソフトで飲みやすい。華やかでフルーティーな香り、そして優しい甘みを感じる味わいとなっています。
※全てのボタニカルはこちらからご覧になれます。
⇒ボタニスト・日本版ブランドサイト
5. モンキー47
その名のとおりモンキーが描かれたラベルが特徴的なモンキージンは、ドイツのブラックフォレストという森が生い茂る自然豊かな土地にある小さな蒸留所で作られています。
このジンの最大の特徴は、47種というジンでは類を見ない多さボタニカルを使用していること。そしてそのボタニカルの多くはブラックフォレスト産で独特のものを使用しています。
これにより圧倒的に複雑で華やかな香りとなり、まるで香水のようなリッチな香りの唯一無二のジンとなっています。
日本でも人気の銘柄で、クラフトジン・プレミアムジンの特集ではしばしば取り上げられいる、間違いなく王道の銘柄です。
エルダーベリー、ブラックベリー、カモミール、ジャスミン、ローズヒップ、オレンジピールなど計47種
【味わい】
まるで香水のような華やかなフローラルでフルーティーな香り。甘く飲みやすい口当たりながらも芳醇で飲みごたえがあります。
※公式サイトに詳しいボタニカル情報が記載されています。
⇒モンキー47・公式ブランドサイト
6. No.3
No.3は、ジンの本場イギリス・ロンドンで作られるクラシックスタイルのクラフトジン銘柄。
さらに手がけるのは英国最古のワイン商であり、世界で最も有名なワイン商・ベリーブラザーズ&ラッド社(通称ベリーズ、BB&R)で、ワインで鍛え抜かれた鼻と舌によって生み出されています。
よりクラシックなロンドン・ドライジンらしく、使用するのはオーソドックスなジンのボタニカル6種だけ。
あえてボタニカルを増やさずに、よりジンらしいジンとして質を追求したプレミアムなドライジンとなっています。
ジュニパーベリー、オレンジピール、グレープフルーツピール、アンジェリカルート、コリアンダーシード、カルダモンポッズ
【味わい】
よりしっかりしたフルボディタイプで、ジュニパーベリーのハーバルな香りとドライで少し苦味の効いた、8銘柄の中では最もジンらしい味わい。
7. ボビーズ
ボビーズはこれまたジンの本場であり発祥の地でもあるオランダ発のクラフトジン銘柄です。
とてもモダンなデザインのボトルに目がいきがちですが、製法や素材にもとてもこだわっている銘柄でもあります。
ベースとなるスピリッツにはライ麦100%のスピリッツを使用し、さらにレシピ発案者である通称ボビーがインドネシア出身ということもあり、同国由来のレモングラスなどのボタニカルを多く使用しています。また、これらのボタニカルは季の美と同様に別々に蒸留されのちにブレンドされます。
オランダの伝統と技術、インドネシアのボタニカルが融合したモダンなクラフトジン銘柄です。
レモングラス、クローブ、シナモン、フェンネル、キュベブペッパー(インドネシア原産の胡椒)など
【味わい】
シトラス系の爽やかな香りとエキゾチックな甘い香りが特徴的で、味わいはシトラスの甘さにスパイシーさが効いています。
8. シップスミス
白鳥が描かれた特徴的なラベルのシップスミスは、ジンの本場ロンドンのクラフト蒸留所が手がける銘柄。
ハイブリットスチルという先進的ながらも小型の蒸留器によってごく少量ずつ作られ、とりわけ品質にこだわったプレミアムなジンです。
ボタニカルは一般的なジンに使用されるものを中心に10種使用し、NO.3同様に伝統的なロンドン・ドライジンらしく、とりわけドライなジンです。
筆者がこれまで飲んだジンの中では最も辛口なジンで、カクテル用としても重宝しそうな銘柄です。
コリアンダーシード、アンジェリカルート、レモンピール、シナモンなど一般的なジンのボタニカル10種
【味わい】
ロンドンドライジンらしいハーバルな香り、キリッとしたドライな味わいながらも、トゲがないためじっくり味わえるものとなっています。
まとめ
以上の8つがクラフトジンの王道かつ人気の銘柄となります。
気になる銘柄は見つかりましたでしょうか?
ざっくりとまとめると…
ジンにすでに飲み慣れている方にオススメなのが…ボタニスト、NO.3、シップスミス
とにかく一度は味わってほしいのが…季の美、モンキー、ボビーズ
といったところです。
ここでご紹介した銘柄はクラフトジンらしく、それぞれに説明可能な個性があり、別々の特徴を持っています。
クラフトジンを覚えたい、魅力を知りたいという方は、まずこの8銘柄は味わっておくと良いでしょう。
もちろん他にも数え切れないぐらいのクラフトジン銘柄はありますので、それはまた後ほどご紹介していこうと思います。
それではこの辺で。
以上、「クラフトジン入門・とりあえず飲んでおきたいおすすめ8銘柄」でした。
⇒ウイスキー蒸留所が手がけるクラフトジンまとめ【全8銘柄】
⇒超個性的!ちょっと変わったおすすめクラフトジン8選
⇒ジャパニーズ・クラフトジンが今アツい!話題の4銘柄をご紹介
Amazonのジンストアはこちら。
⇒Amazonのジンストア