クラフトジンを筆頭に、最近流行しつつあるジン。
これまではカクテル用などで主にバーで消費されることが多かったお酒ですが、流行の波を受けて個人で消費されることも多くなってきました。
ジンはボタニカル(ハーブ・スパイス、果皮など)を使用するお酒、という情報を目にした方もいることでしょう。
本記事ではこのボタニカルについて深掘りし、主にどのようなボタニカルを使用しているのか?そしてそれらの特徴は?をまとめながら解説していきます。
ジンについて少しだけおさらい
念のため、ジンの基本情報についても触れておきましょう。
ジンは、ボタニカルを最大の特徴とする蒸留酒(スピリッツとも。蒸留技術を用いる度数が高いお酒)です。
ジンはベースとなるスピリッツ(ベーススピリッツ)にボタニカルを加え、蒸留させてできあがります。
ベーススピリッツの原料はトウモロコシなどの穀物や廃糖蜜などが一般的ですが、クラフトジンではお米やリンゴなどを原料とすることもあります。
そのベーススピリッツにジュニパーベリーを筆頭に各種ボタニカルを加え蒸留させるのですが、この時使用されるのはだいたい5〜10種程度とされます。
メーカーや作り手によって使用するボタニカルやレシピが異なるため、それが明確な個性となり、各銘柄違った風味となっています。
これが、ボタニカルがジン最大の特徴といわれる所以です。
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ジンに使用されるボタニカルまとめ
それでは各種ボタニカルについてみていきましょう。
ここではジンでよく使用される代表的なボタニカル10種を、それぞれの特徴とともに解説していきます。
1. ジュニパーベリー
ジュニパーベリーはジンには必要不可欠なボタニカル。これなしではジンにはなりません。
ジュニパーベリーは、西洋ねずと呼ばれる針葉樹から採れる実のことで、その名にベリーとついていますが、一般的なベリー系フルーツような甘酸っぱさはありません。
その風味はしばしば「ウッディ」と表現され、ほんのりビターでハーバルな香りが特徴的です。
一度味わってみると分かりますが、まさにジンそのものの味がします。
⇒ジンの原料?ジュニパーベリーってどんなもの?
2. コリアンダー・シード
コリアンダーとはいわゆるパクチーの英語名。しかし、ジンで使用されるのはシードと呼ばれる種の部分です。
葉の部分の野生的な香味とは異なり、穏やかでほのかな甘みと若干のスパイシーさがあります。
使用されることがとても多いボタニカルです。
3. アンジェリカ・ルートorシード
アンジェリカはハーブティーなどにもよく用いられるボタニカルで、特徴的な花を咲かす植物です。
ルートの使用が一般的とされていますが、ビーフィーターやROKU(サントリー)などシードも使用する銘柄もあります。
香りが強くムスクのような甘い香りで、シードはスパイシーさをより感じます。
香草系のリキュールでもよく使用されています。
4. オリス・ルート
アヤメと呼ばれる綺麗な花を咲かす植物のボタニカルで、イリスとも呼ばれます。
ジンに使用されるのはルート(根)の部分で、スミレのような甘くフローラルな香りが強いのが特徴です。
5. リコリス
リコリスはヒガンバナ系の別名でもありますが、ジンで使用されるのはこれとは全く別物。使用されるのはルート部分です。
このボタニカルの特徴は甘みが強いことです。森のような爽やかな香りがありつつもやはり甘みが際立っています。
単体で使用するとクセが強いですが、うまくブレンドすることで力を発揮するようです。
6. カルダモン・シード
カルダモンはスパイスとして一般的で、カレーなどにも使用されることからご存知の方多いかと思います。
清涼感のある爽やかな香りと甘くエキゾチックな香りが特徴的で、とても香り高いボタニカルです。
7. レモンピール
ジンではハーブ・スパイス系のボタニカルだけでなく、フルーツの皮などもボタニカルとして使用します。
最も代表的なのがレモンピールで、多くのジンに使用されています。
レモン特有のフレッシュ感のある香りが特徴的で、ジンにシトラスフレーバーをもたらす重要なボタニカルです。
8. オレンジピール
オレンジピールは、レモンピールよりも甘くフルーティーな香りが特徴的で、レモンピールほどではありませんが、こちらもよく使用されます。
9. ジンジャー(生姜)
日本の食卓でもおなじみの生姜も、ジンではよく使用されるボタニカルです。
ジャパニーズジンでは生姜と表記され、海外のジンではジンジャーと表記されます。
ジンに特有のピリピリ感のあるスパイシーなフレーバーをもたらします。
10. シナモン
洋菓子やハーブティーそれに漢方など様々な用途で活躍するシナモンも、ジンではよく使用されます。
よく見るスティック状のシナモンは、シナモンの樹皮を剥がし乾燥させたもので、別名・桂皮とも呼ばれます。
独特の甘いフレーバーとかすかな辛味がジンに奥行きをもたらします。
クラフトジンなどで稀に使用される特徴的なボタニカル
せっかくですので、クラフトジンなど個性を全面に押し出したジンで、ごく稀に使用されるボタニカルも少しご紹介しましょう。
クラフトジンは個性が命といっても過言ではないので、あまり一般的ではないボタニカルもふんだんに使用されます。
お茶
ジャパニーズクラフトジンにおいては、季の美やROKU、和美人など多くの銘柄で使用されている「和」を象徴するボタニカル。もちろん海外産のジンではほぼ使用されないと言っていいでしょう。
お茶特有のまろやかな甘みとビターな風味が、ジンに和のフレーバーをもたらします。
ゆず
ゆずもお茶同様、ジャパニーズクラフトジンで多く使用される日本特有のボタニカルです。
レモンやオレンジとは違ったシトラスフレーバーで、独特の甘みを伴った爽やかな風味がジンに和のフレーバーをもたらします。
⇒ジャパニーズ・クラフトジンが今アツい!話題の4銘柄をご紹介
各種ベリー
クロウベリーと呼ばれるベリーがアンガヴァという銘柄で使用され、ブラックベリーが定番クラフトジン・モンキー47で使用されています。
どちらもベリー系の甘酸っぱさが特徴です。
クバベリー(クベブベリー)がボンベイサファイアで使用されていることで有名ですが、こちらはベリーと名につきますが、胡椒のようなスパイシーなフレーバーが特徴です。
他ジンで使用されるボタニカル
- カモミール
- ミント
- キャラウェイ
- ナツメグ
- ジャスミン
- ローズヒップ
- ラベンダーなど…
まとめ
ジンに使用されるボタニカルについて、ここまで簡単にですが解説してきました。
記事上部で紹介したものは特に、いずれも代表的なものなので、ざっくりとは把握できたと言えるでしょう。
最後おさらいすると、下記がジンでよく使用されるボタニカルです。
- ジュニパーベリー(必須)
- コリアンダー・シード(★)
- アンジェリカ・ルートorシード(★)
- オリス・ルート
- リコリス
- カルダモン・シード
- レモンピール(★)
- オレンジピール
- ジンジャー
- シナモン
★がついたボタニカルが特によく使用されるものです。
興味がわいた方は色々なジンを飲んでみることはもちろんですが、これらボタニカルそのものの風味を一度体験してみることもおすすめします。
これらはハーブティーやスパイスとしても利用されるものですので、Amazonなどでも購入できますし、特徴をつかんでおくとジンをより味わうことができます。
ぜひ試してみてください。
それではこの辺で。
以上「ジンによく使用されるボタニカルまとめ」でした。
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参考文献:Liqul No.7|酒育の会