サントリーのクラフトジン「ROKU(ロク)」を徹底解説!

サントリー・ROKU GIN

2017年は「ジンの年」と言われるなど、ジン界隈の動きが盛んとなっています。
クラフトジンなるジンが日本でも流行しつつあり、それだけでなく日本のメーカーが手がける「ジャパニーズクラフトジン」が注目を浴びています。

6月末にはニッカウイスキーから「カフェジン」が発売されるなど続々新銘柄がリリースされている状況です。
そんな中、本日7月4日ついにサントリーからもクラフトジンにあたる銘柄「ROKU(ロク)」がリリースされました。
今や世界的な規模、知名度を誇る酒類メーカーが手がけるジンとあって、国内外で話題となることは間違いありません。

本記事ではこのサントリー・ROKU(ロク)について、メーカーによるセミナーの内容を元に詳しく解説。
この銘柄は一体どのような特徴を持つクラフトジンなのでしょうか?

まずはジャパニーズクラフトジンについてざっくり説明

ROKU(ロク)の特徴を知るうえで、まずはクラフトジン、そしてジャパニーズクラフトジンについてざっくりとでも理解していた方が良いでしょう。
もう知っているという方は飛ばしてお読みください。

ジンは簡単にいうとボタニカル(ハーブやスパイス、果皮など)のお酒。ベースとなるスピリッツにボタニカルを数種加え蒸留させてできています。
そしてクラフトジンとは、そのジンの製法や原料、ボタニカルにとりわけこだわった個性的なジン
こだわりが詰まったジンだけに少量生産で価格もややプレミアムなジンとなります。

日本のお茶などもボタニカルとして使用される

ジャパニーズクラフトジンではお茶なども使用される

ではジャパニーズクラフトジンはどういった特徴をもっているのか?
簡単に言えば「日本でしか作れないクラフトジン」とも言えます。
日本の高い技術力を活かしたユニークな製法、そして日本ならではボタニカルをふんだんに使用するなど「日本らしさ」を追求したジンなのです。
例えばボタニカルに茶葉やゆず、山椒などを積極的に使用し、今回ご紹介するRokuでは「桜の花」など、海外産のジンではありえないボタニカルも使用しています。

このように日本人の嗜好にも合ったジン、それがジャパニーズクラフトジンなのです。

クラフトジンについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
日本でも流行必至!クラフトジンとはどんなジンなのか?

サントリー・ROKU(ロク)の基本情報

それではROKU(ロク)の銘柄紹介に移ります。

ROKUは、世界的なウイスキーメーカーでもあるサントリーの技術、こだわりが詰まったジャパニーズクラフトジン。
様々な特徴をもつこの銘柄を一言で表すのは難しいのですが、サントリーの言葉を借りれば「日本ならではの六つの素材を使用したジャパニーズクラフトジン」とあります。
そのとおりボタニカルとして、桜やお茶、山椒にゆずなど日本独自のものを使用しているのが大きな特徴です。
他にも、これらボタニカルは別々に蒸留され、その蒸留方法、その後のブレンドなどサントリーだからこそできる製法を用いるなど、こだわりが詰まっています。(詳しくは後述します)
そうして出来上がったジンは、サントリーのウイスキーにも通づるバランスに優れた複雑なものとなっており、甘みから始まり辛みでしめるという、ある意味ではジンとしてベストな型となっています。

下記ではROKUの特徴について、3つにまとめ詳しく解説していきます。

特徴①:旬に収穫したボタニカル

ROKUでは、桜の花、桜の葉、煎茶、玉露、山椒、そしてゆずと、日本ならではのボタニカルを6つ使用しています。
これについては他のジャパニーズクラフトジンでもよく用いる手法なのですが、ROKUではそれらボタニカルを旬の時期に収穫する、というこだわりもプラスされています。
野菜に例えるなら、旬の時期に収穫したトマトとそうでないトマトでは味がまるで違います。
これと同じようにボタニカル各種も、旬かそうでないかでポテンシャルがまるで違ってくるのです。

特徴②:ボタニカルに桜の花・葉を使用

ROKUでは桜の花と葉が使用されている

ROKUでは桜の花と葉が使用されている

前述のようにROKUでは、桜の花と葉をボタニカルとして使用しているのですが、これは他のジャパニーズクラフトジンでは使用されておらず、ROKUならではの特徴と言ってよいでしょう。
筆者が受けたセミナーにて、この桜を使用した原酒をいただいたのですが、桜の香りが強烈でやや甘みのある桜餅のような味わいでした。(ちょっと甘いズブロッカのよう)
これは完成品であるROKUにも如実に表れていて、香りや口に含んだ瞬間の独特の甘みはきっとこれによるものだと思います。
しかし、強烈だった桜の香りがしっかり「バランス」の中に収まっている点では、やはりさすがのブレンドだなと感じます。

特徴③:ボタニカル別に蒸留、そしてブレンド

3つめの特徴はボタニカル別に蒸留している点なのですが、これも最近のクラフトジンでは少しずつ見られるようになってきた製法です。
しかしROKUにおいては、この際異なるタイプ蒸留器を4器も使用し、ボタニカルの特徴によって使い分けているのです。
蒸留器には大きく分けて常圧蒸留と減圧蒸留といったタイプがあり、常圧蒸留なら濃厚でリッチな味わいの原酒が、減圧蒸留ではライトで華やかな香りの原酒が、といったように出来上がる原酒の特性が異なります。(焼酎好きの方はよくご存知かもしれませんね)
これらを使い分けることでボタニカルの特徴をうまく引き出しているのですね。

その原酒たちは最後ブレンドされるのですが、作り分けているぶん様々なタイプの原酒があるわけです。
これをバランスよくまとめることができているのは、長年ウイスキー造りで培われたサントリーのブレンド技術が活かされているのでしょう。

減圧蒸留と常圧蒸留についてはこちらの記事で解説しています。
焼酎でよく見る「減圧蒸留」と「常圧蒸留」の違いって何?
【蒸留所は?】
ウイスキー好きの方なら特に、どこ(蒸留所)で作られているかも気になるかもしれません。
当銘柄は大阪にある「リキュール工房」という場所で作られているそうです。

使用されているボタニカル・全14種

日本ならではのボタニカル
桜の花、桜の葉、煎茶、玉露、山椒、ゆず
ジンの基本的なボタニカル
ジュニパーベリー、コリアンダーシード、アンジェリカルート、アンジェリカシード、カルダモンシード、シナモン、オレンジピール、レモンピール

香り・味わい

香り
特徴的な桜の香り、ゆずのフレッシュな香り、複雑ながらも和のボタニカルが活きており、感じることができる。
味わい
甘みから辛みに味わいが変化していく。初めは桜や茶まろやかな甘みを感じることができ、その後に山椒のピリッとしたフレーバーが締める。

※筆者の主観的な感想です。

おすすめの飲み方

トワイスアップ、ロック(お好みで木の芽など入れるといいかもしれません)、ジントニックやマティーニなど各種カクテル。

サントリー・ROKU(ロク)をまとめると…

ユニークでこだわりが詰まった製法、日本ならではボタニカル、それら含め全14種と多めボタニカルによってROKUはとても複雑なクラフトジンなっています。
「バランスが良くスムースで飲みやすい、しかししっかり個性が出た味わい深いジン」そんなところでしょうか。

クラフトジンのなかでは、和の風味はあるにしてもそれほど主張が強いわけではありません。
これによりストレートやトワイスアップなどウイスキーのような楽しみ方も、そしてカクテルなど多くの飲み方で楽しむことができます。
(ちなみに筆者イチオシはトワイスアップ、加水するごとに風味が変わり面白いです)

ここまで製法や原料にこだわり、それをしっかり実行させるだけの技術力と施設があるのは、サントリーだからこそと言えます。
比較的小さな生産者が多いクラフトジンのなかで、ここまで多くのことができているのはROKUの強みであることは間違いありませんね。

最後に

ジャパニーズクラフトジン4銘柄

上段左からサントリーROKU、カフェジン、下段左から和美人、季の美

本記事ではサントリー・ROKU(ロク)のみのご紹介でしたが、京都蒸留所の「季の美」や本坊酒造の「和美人」そして数日前にリリースされた「カフェジン」など、他にもジャパニーズクラフトジンは続々登場しています。

ROKUもおすすめですが、ぜひこれらのクラフトジンも試してみてください。
いずれも日本のクラフトマンシップが反映された素晴らしいジンです。

季の美、和美人、カフェジンについてはこちらで解説しています。
ジャパニーズ・クラフトジンが今アツい!話題の4銘柄をご紹介
他のクラフトジン銘柄はこちらでご紹介しています。
クラフトジン入門・とりあえず飲んでおきたい王道8銘柄
超個性的!ちょっと変わったおすすめクラフトジン8選

今年は「ジンの年」今後もジャパニーズクラフトジンは盛り上がっていくことでしょう。

それではこの辺で。
以上「サントリーのクラフトジン「ROKU(ロク)」を徹底解説」でした。

著者:小針 真悟

[LiquorPage運営責任者] お酒の現場を7年経験したのちに独立。お酒の魅力を多くの人に知ってもらうべく、2016年11月に「LiquorPage」の運営を開始。 洋酒から和酒まで幅広い知見をベースに、様々な酒類専門メディアの執筆・編集のほか、酒類イベントの企画運営やWEB制作、プロモーション業にも携わる。写真撮影も行うなど、お酒を通じた様々な制作業を一人でこなす。(ただの酒好き)

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