毎年この時期になると、必ずニュースになる「ボジョレーヌーボー」
毎年11月の第3木曜日が解禁日とされ、今年の解禁日は11月16日となっています。
ここ日本においてはある意味、あのロマネコンティを差し置いて日本一有名なワインかもしれず、おそらく飲んだことがある方が多いでしょう。
しかし、一過性の高いワインだけにあまり知る機会がなく、そもそもボジョレーヌーボーがどういった意味を持つワインで、他のワインとは何が違うのか知らない方も多いと思います。
そこで本記事では、ボジョレーヌーボーがどのようなワインなのか、ワイン初心者の方でもわかりやすいように簡単に解説していきます。
ボジョレーヌーボーとはどんなワイン?
ボジョレーヌーボー(Beaujolais Nouveau)とは、フランス・ブルゴーニュ地方のボジョレー地区で造られる赤ワイン。
通常のワインとは異なり、その年に収穫されたブドウをごく短期間で造る「新酒」にあたるワインで、フレッシュで軽快な口当たりとフルーティーな酸味が特徴のワインです。
解禁日が毎年11月の第3木曜と決められているのですが、現地時間の0時解禁となっているため、(時差の関係で)日本では他国に比べ早く飲むことができ、しばしば「世界最速でボジョレーヌーボーが飲める」などと言われます。
通常の赤ワインの製法とは少し異なる製法で造られており、さらに使用するブドウの品種、そして熟成期間が極めて短い「新酒」という特性上、一般的な赤ワインとは少し違った味わい(かなりライトで、渋みがなく特徴的な酸味)となっており、好みは分かれがちです。
今日では、解禁日後数日間のイベント用ワインとして人気を集めています。
とりわけ日本は、ボジョレーヌーボーの最大の輸出先となっており(※)、高い人気を博しています。
ボジョレーヌーボーの言葉の意味
ボジョレーヌーボーとは、日本語に訳すと「ボジョレー(地区)の新酒」という意味。
ヌーボー(Nouveau)は英語に言うなら「New」にあたり、ワインの場合「新酒」を指します。
ボジョレー地区の新酒だから「ボジョレーヌーボー」という、かなりシンプルな由来なのです。
普通のワインと何が違う?
ボジョレーヌーボーが、普通のワインとはやや違った特性のワインであることは少しだけ触れましたが、一体どのように違うのか、以下の項目に分けて解説していきます。
- 超短期間熟成
- 独自製法
- 解禁日が決まっている
- 高級銘柄がない
- ブドウの品種
それでは、上から順に見ていきましょう。
超短期間熟成
通常赤ワインでは、数ヶ月から長いものでは2年以上、樽やタンク、瓶などで熟成させてから出荷されます。
ボジョレーヌーボーでは「新酒」という特性上、その年のワインを早く飲めることが最大のメリットであるため、熟成期間はフランスワインの中で、最も熟成期間が短いとされています。
そもそも9月ごろに収穫されたブドウが、11月中旬にはもうワインとして市場に出回っているのですから、相当スピーディーに造られていることになります。
独自製法「マセラシオン・カルボニック」
ボジョレーヌーボーは、早く造るために通常の赤ワインとは異なる製法「マセラシオン・カルボニック」という製法で造られています。
これは炭酸ガスの圧力を利用しブドウの風味や色合いを抽出するというもの。そうすることで発酵も含め早くワインを造ることができるだけでなく、色合いがはっきりしながらも赤ワイン特有の渋味がないワインとなります。
そのため、ボジョレーヌーボーは色が濃いわりには渋味が抑えられているのです。
解禁日が決まっている
ボジョレーヌーボー以外にも新酒はあるのですが、新酒と呼ばれるワインは一般的なワインと異なり、解禁日が設けられています。
各新酒で異なるのですが、だいたい11月。ボジョレーは前述のように11月の第3木曜日(2017年は11月16日)となっています。
一般的なワインには解禁日はなく、銘柄ごとに出荷日は異なります。
高級銘柄がない
ボジョレーヌーボーにも複数の生産者がおり、銘柄数も複数ありますが、いずれもフランスのワインとしては低価格帯(高いものでも3,000円程度)となっています。
「ルロワ」という、フランスワインの伝説的な生産者であり、手がけるワインのほとんどが1万円を超える生産者も、ボジョレーヌーボーを手がけていますが、その値段は約4,000〜5,000円程度となっています。(同じく新酒を表す「プリムール」の名で売られている)
そもそも短期間で生産・出荷され、(長期熟成されない)すぐに飲むことを目的としているため、値段が高くなる理由がないのです。
ブドウの品種「ガメイ」
ボジョレーヌーボーでは、そのほとんどが「ガメイ」という黒ブドウ品種が原料となります。
よく赤ワインで使われる黒ブドウ品種・カベルネ・ソーヴィニヨンなどではなく、ガメイを使用するのですが、そもそもボジョレーヌーボーの産地は、ガメイの一大産地でもあり、世界的にも珍しいガメイの栽培に適した土地とされています。
同品種は爽やかな風味と酸味が特徴であり、ボジョレーヌーボーにはこの特徴がよく表れています。
まとめ
ここまでざっくりとボジョレーヌーボーについて解説してきました。
いかにボジョレーヌーボーが、通常の赤ワインとは違う特徴・特性のワインか、お分かりいただけたかと思います。
最後に、ボジョレーヌーボーについて、ざっくりまとめると…
- ボジョレーヌーボーとはボジョレー地区の新酒の意味。
- 普通のワインとは違い、新酒であるため、その年のワインがいち早く飲める。
- マセラシオン・カルボニックと短期間熟成により早期出荷が可能。
- 基本的には1,000〜3,000円が相場。
ちなみに、より品質の高いボジョレーヌーボーをお探しなら、「ボジョレーヴィラージュ」もしくは「クリュ・ボジョレー」と名前についている銘柄がおすすめ。
規定により、名乗れるのは高水準の品質規定を満たしたものだけとなっているため、通常のボジョレーヌーボーより美味しい可能性が高いです。(クリュ・ボジョレーの方が階級は上)
ぜひとも今年もボジョレーを楽しんでください。
基本を知ったことで味わい方が変わるかもしれません。
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※参考文献
日本ソムリエ協会教本2017|飛鳥出版 著・日本ソムリエ協会