ジンカクテル日本一のバーテンダー・杉浦聡氏に聞く「ジンの魅力」とは

日本一に輝いたバーテンダーに聞く「ジンの魅力」

流行りのお酒とも言われるジン。
ウイスキーでもワインでもなく、あまり多く語られることのないお酒・ジンのもつ魅力は何なのか?

今回は、昨年末に行われた世界最大規模のジンブランド「ビーフィーター」のカクテルコンペで日本一に輝いた「杉浦聡氏」に、ジンの魅力について聞いてみました。

ジンカクテルで日本一の称号を得たバーテンダーということで、ジンについて深い思い入れがあるようです。

本記事では、日本一に輝いたカクテルについてもレポートしながらジンについてのインタビューをご紹介していきます。

最大規模のカクテルコンペ「Beefeater MIXLDN 2017」で日本一に輝いた杉浦聡氏

カクテルを作る杉浦氏。

カクテルを作る杉浦氏。

杉浦聡氏は現在、中目黒の高架下にあるお店「Pavilion」で勤務するバーテンダー。
フレアバーテンディングやミクソロジーカクテルなどを得意としており、カクテルコンペにも多数出場するなど活動的で、バー界隈では有名な若手バーテンダーの一人です。

先日行われた「Beefeater MIXLDN 2017」では、杉浦氏の地元・名古屋を表現したカクテル「ゴールデングランパス」を作成し、見事日本一に輝きました。

今回話を聞くにあたって、まずは受賞カクテルをいただきました。

日本一のカクテル「ゴールデングランパス」を味わう

ゴールデングランパス@Pavilion 1380円

ゴールデングランパス@Pavilion 1380円

日本一に輝いたカクテル「ゴールデングランパス」は、人気のジンであるビーフィーター24をベースに、ソーテルヌワイン(甘口白ワイン)や小豆とみつ豆のパンチ、さらには八丁味噌のビターズなど特徴的な材料を使用して作るカクテル。

名古屋出身の杉浦氏が作るカクテルらしく、グラスの両脇にはシャチホコが飾られ、金箔が使用されるなど、豪勢な見た目。
味わいは、見た目のイメージとは異なり決して大味ではなく、みずみずしくフルーティーな甘みも感じ、複雑かつコク深い味わいとなっています。

杉浦氏曰く「味噌ビターズの味はそれほどしませんが、これがないとゴールデングランパスのこの味わいには仕上がりません」といいます。
確かに味噌を感じるわけではありませんが、独特のコクやまとまりのある味わいは、味噌ビターズによるものなのかもしれません。

いずれにせよ、日本一にふさわしい、洗練された味わいのジンカクテルです。

【インタビュー】杉浦氏が語るジンの魅力

実は杉浦氏は、今回のビーフィーターだけでなく、人気のクラフトジン「ザ・ボタニスト」のカクテルコンペでも入賞しており、ジンカクテルを得意としているようです。

そんな杉浦氏にジンの魅力について聞いてみました。

ジンカクテルを得意とする杉浦氏にジンについて聞いてみた。

ジンカクテルを得意とする杉浦氏にジンについて聞いてみた。

【Q. 杉浦さんが思うジンの魅力って何ですか?】

バーテンダーとしてお酒を作ることが多い中で、ジンについては、多様性の凄さ、振れ幅の凄さが魅力だと思っています。
例えば「ビーフィーター24」は全部で12種類のボタニカルが入っていて、ビーフィーターの通常のボタニカルに加えて、中国の緑茶、日本の煎茶、そしてグレープフルーツが使用されています。僕はビーフィーター24を使用してジントニックを作るとき、あえてレモンを使用するのですが、レモンを加えることでなぜかグレープフルーツの風味が引き立つんです。
こういった意外な変化はジンならではだし、その可能性もすごいなと…
ラムやテキーラ、ウイスキーももちろんリスペクトしています。これらも魅力的で複雑な香りやフレーバーを感じますが、良し悪しはさておきどうしてもそのお酒の枠に収まってしまいがちですし、お酒が飲み慣れていない方にはわかりにくいかもしれません。
けれどジンは、ビギナーの方でも突出してわかりやすい(ボタニカル由来の)フレーバーを感じることができます。

そういったわかりやすさがあるものの、多様性は本当にすごいものがあります。
ボタニストやビーフィーターのカクテルコンペに応募・出場しているのも、ジンのそういったところが面白いと思うからです。

【Q. 杉浦さん自身プライベートでジンは飲みますか?】

もちろん飲みますよ!
特に、代表的なジンカクテル「ギムレット」にはいろんな意味でお世話になりました。
実は僕は、以前働いていたお店のオーナーに「お前は味覚が良くない」と言われていたんです(笑)
当時はどのお店に行っても必ずギムレットを飲むようにしていて、同じカクテルとはいえお店によって味が違うんですよ。
重ねることで舌は磨かれましたし、ギムレットは指針になったカクテルでもあります。
そういった意味ではジンに助けられたというか…

ギムレット以外でも、ジンはカクテルによって顔を変えるので本当に面白いと思います。

【Q. ちなみに、好きなジン銘柄はありますか?】

ビーフィーター24です!
ビーフィーターは、最初に勤めたお店で使っていたハウス・ジンでした。そういった意味ではかなり思い入れが深いジンですね。

ビーフィーター24は自身が日本一に輝いたカクテルにも使用されている。

ビーフィーター24は自身が日本一に輝いたカクテルにも使用されている。

【Q. では好きなジンのタイプで言うと…?】

僕は、一つのボタニカルが先行しているタイプより、バランスが取れているジンが好きですかね。
ジンは何種類ものボタニカルが組み合わさって一つの味になる。バランスに優れたジンはそういった技術の裏付けにも惹かれるというか…それってバーテンダーが作るカクテルも同じことだなと。

それからバランスに優れているジンは、昔から脈々と愛されているものが多く、そういったジンが好きだったりします。
愛されているのは理由があるんだなと、やっぱり感じますね。

【Q. では杉浦さんがおすすめするジンの飲み方は何でしょうか?】

先程も言ったようにジンはいろんな顔があるお酒です。
僕は「このジンならこの飲み方が美味しいですよ」って飲み方があると思っていて、ジン全体としてこの飲み方!っていうのは難しいかなとも思います。
ただ、強いていうならジントニックで飲むのが比較的わかりやすいかなとは思いますね。
いずれにせよ、お店でジンを飲む場合はぜひともバーテンダーなりスタッフに聞いてほしいです!

樽熟成のジン、キュロ・コスクエとバーモンジーのトニックで作るジントニック@Pavilion 1280円

樽熟成のジン、キュロ・コスクエとバーモンジーのトニックウォーターで作るジントニック@Pavilion 1280円

【Q. クラフトジンのブームによってジン銘柄が急激に増えています。そのなかでビギナーの方がジンを選ぶ際、何を基準にすればよいと思いますか?】

これについても基本的にお店のスタッフに聞いて欲しいですね。
ジンの(味の)タイプには大きく分けて、ハーバルなもの、スパイシーなもの、フルーティーなもの、みんなが知ってるスタンダードなものの4タイプがあると思っています。
飲みたいタイプによってどのジンを選ぶか変わってくると思いますし、僕たちはそれにお応えできますので。
例えば当店(Pavilion中目黒)ならハーバルなものならボビーズ、フルーティーなものならブドウがベースのジーヴァイン、スパイシーなものならオピーア、スタンダードなものならビーフィーター24など…
強いて言うなら、なんとなくでも良いので自分の求める味を決めておくと良いと思いますよ。

もちろんボトルデザインで選ぶのも良いと思います。

【Q. 料理は何が合うと思いますか?】

いっぱい合うと思いますよ!
ジンは振れ幅の凄さがあるお酒ですから、ジンごとに合う料理は異なってくるかもしれません。
当店だと牛肉のカルパッチョが合うと思いますし、それに合わせてビーフィーターをお出しするときは「ビーフイーター」としてお出ししたりとかしてます(笑)

【Q. ジンはあまり知られていないお酒とあって、どのようなシーンで飲むのが良いかわからない方も多いと思います。杉浦さんはその辺りどう思いますか?】

食前はもちろんですが、食後でもイケると思いますよ。
ジンは本当に多様性に長けたお酒なので、特別シーンを選ばないと思います。
いつ飲んでも良いんじゃないでしょうか。

【Q. では最後にお聞きしますが、日本でジンはもっと流行ると思いますか?】

もうひとふた回りぐらい人気が出ると思います。
それから一般の人にもより認知されると思いますね。
海外を例に挙げると…以前、シンガポールのバーにゲストバーテンダーとして行ったのですが、そこでは飲み手であるお客さんは普通にジンそのものについて知っていて…
日本でそこまいくかはわかりませんが、願望も込めてもっと伸びてほしいなと思います。
ただ、日本の大手メーカーがジン造りに参入し、ジンを強化するメーカーや飲食店が増えています。
なので現実的に見ても、もうちょっと勢いは出ると思います。

まとめ

これまでジンのカクテルコンペで結果を出すなど、日本を代表するジンの使い手の一人である杉浦氏。

そんな杉浦氏が語ったジンの魅力は「多様性と振れ幅の凄さ
確かにジン好きの筆者としても同様の魅力を感じていますし、他の多くの方も、同じくジンのもつ幅広さを魅力としてあげます。

やはりそこはジンの揺るぎない魅力なのでしょう。

ちなみに杉浦氏が勤務する東京・中目黒のPavilionは、オーセンティックなバーというより、ハイセンスなダイニングバーといった様相のお店。
女性の来店者も多く、利用しやすいお店だと感じました。

ちなみに、聞いたところによると、杉浦氏目当てのお客様も多いのだとか。
カクテルはもちろん、人柄も含めて支持されているのでしょう。

Pavilion
住所:東京都目黒区上目黒1-6-10 中目黒高架下 [map]
アクセス:中目黒駅 徒歩2分
定休日:なし
Facebook:facebook.com/pavilion2016/
著者:小針 真悟

[LiquorPage運営責任者] お酒の現場を7年経験したのちに独立。お酒の魅力を多くの人に知ってもらうべく、2016年11月に「LiquorPage」の運営を開始。 洋酒から和酒まで幅広い知見をベースに、様々な酒類専門メディアの執筆・編集のほか、酒類イベントの企画運営やWEB制作、プロモーション業にも携わる。写真撮影も行うなど、お酒を通じた様々な制作業を一人でこなす。(ただの酒好き)

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