なぜボンベイ・サファイアは“ジンを知る”上で重要なブランドなのか?

なぜボンベイ・サファイアは“ジンを知る”上で重要なブランドなのか?

世界的に知られるジンの王道ブランドの中でも、輝くブルーのボトルが異彩を放つ「ボンベイ・サファイア」。

今、ジンは世界的なムーブメントの最中にあり、数あるお酒のカテゴリーの中でも最も元気なカテゴリーの一つです。
つまり、ジンは今明るい時代を迎えているわけですが、その経緯を知る上で、ボンベイ・サファイアは欠かすことができません。
実はこのブランド、ジン業界に多くの変革をもたらし、クラフトジンの台頭など今のジン人気に多大な影響を与えていたのです。

今回はその全容に迫ります。

ジンに変革をもたらした「ボンベイ・サファイア」

今でこそ世界的な人気を集めているジンですが、実は、第2次世界大戦後から1980年代ごろまで低迷期にあり「暗黒の時代」とも呼ばれる不遇のときを過ごしていました。
若者を中心に、クリアで洗練されたイメージのウォッカが大ブームとなり、その反動でジンは“時代遅れ”とのレッテルを貼られてしまっていたのです。
そんな中1987年に発売された「ボンベイ・サファイア」は、当時の常識をくつがえす3つの革新的な要素によって、のちに「GINNOVATION」とも呼ばれる変革をもたらしました。
どのような変革だったのか、それぞれ見てみましょう。

1. ボタニカルのレシピを公開した

ボンベイ・サファイアとボタニカル

ジンといえば、ジュニパーベリーの他、様々なハーブやスパイス、フルーツなどの“ボタニカル”が使用されており、それがどんなレシピかはジン選びの重要なポイントです。
しかし実は、ジン業界では長らくボタニカルのレシピは非公開が当たり前でした。そんな中ボンベイ・サファイアは全10種のボタニカルを公開し、あろうことかボトルの側面に産地情報も添えてデザインとして記しました。
それに加え、全10種という当時としてはボタニカルの数が多かったことも相まって、ジンが「ボタニカルのお酒」だということを世界に知らしめたのです。

2. 洗練されたボトルデザインを採用した

ブルーが輝くボンベイ・サファイアのボトル

ボンベイ・サファイア登場以前のジンは、ボトルは基本的に透明か濃色で、なおかつシンプルなデザインが一般的でした。
そんな中ボンベイ・サファイアは、美しく輝くブルーのボトルを採用。
時代遅れと捉えられてしまっていたジンに、洗練されたラグジュアリーなイメージをもたらしました。
今でこそクラフトジンを筆頭に、ジンのボトルデザインはスタイリッシュでファッショナブルなものが多くありますが、その火付け役となったのは実はボンベイ・サファイアだったのです。

3. 斬新な製法によってクリアな味わいを実現させた

ボンベイ・サファイアグラスのジン&トニック

昔も今も、ジンの製法は、ボタニカルをベースのスピリッツに漬け込み、それを蒸溜することで香味付けする「浸漬法(スティーピング製法)」が一般的であり主流です。
ところがボンベイ・サファイアで採用されているのは「ヴェイパー・インフュージョン製法」と呼ばれる特殊な手法。ボタニカルを漬け込むことはせず、蒸溜時の蒸気の通り道にボタニカルを置き、そこを蒸気が通ることによって香味を抽出する、言わば水蒸気蒸溜です。
ボタニカルを漬け込まないことで、余分な香味を抑え、繊細で華やかなエッセンスに重きをおいて抽出できるようになります。
開発当時ブームとなっていたウォッカに負けじと造られたこのジンは、ボタニカルの華やかな香りが引き立つ軽快でクリアな味わいを特徴とし、ジンのイメージ改善に一役買ったのです。

ジンムーブメントの土台を創り上げたボンベイ・サファイア

ボタニカルレシピの公開、繊細でクリアな味わいに洗練されたボトルデザインなど、今のジン業界では当たり前になっていることですが、実はボンベイ・サファイアが始めたことでした。
伝統的なロンドンドライジンでありながらも、革新性をまとったボンベイ・サファイアの登場によって、暗黒の時代に光が灯り、低迷していたジン業界が転換期を迎えました。
つまり、ボンベイ・サファイアは今の世界的なジン人気の土台を創り上げたブランドの一つであり、ジン業界の功労者とも言えます。
だからこそ、ジンの今を知る上で欠かすことができないブランドなのです。

クラフトジンが人気を集めている今だから、その原点でもあるボンベイ・サファイアを味わってみては?

小針 真悟
著者:小針 真悟

[LiquorPage運営責任者] お酒の現場を7年経験したのちに独立。お酒の魅力を多くの人に知ってもらうべく、2016年11月に「LiquorPage」の運営を開始。 洋酒から和酒まで幅広い知見をベースに、ジン専門書籍やテキーラメディアなど外部酒類メディアの執筆協力の他、イベントの企画運営にも携わる。(ただの酒好き)

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