ジンの基礎講座〜ボタニカルの抽出・蒸留方法とは?

ジンのボタニカルの抽出・蒸留方法

今や新聞・テレビなど一般メディアでも取り上げられるようになった、今大注目のジン。
しかし、これまであまりスポットが当たることがなかったせいか、ジンがどういったお酒なのか等の基礎知識はあまり知られていません。

ジンとは、ベースのスピリッツにハーブや果皮、スパイスなどのいわゆる「ボタニカル」の風味を加えた蒸留酒。
要するにジンとは、ボタニカルの蒸留酒で、このボタニカルこそがジン最大の特徴とも言えます。

本記事では、ジンの基礎知識講座として、ジンのボタニカルの風味は一体どのように加えられているのかを解説していきます。
それでは見ていきましょう。

ジンのボタニカル抽出方法は主に3つ

ジンはボタニカルの蒸留酒と説明しましたが、通常ボタニカルは1種だけでなく数種使用します。
まずジュニパーベリーは必須
そもそもジンは、定義上「ジュニパーベリーの香りづけがされたお酒」となっているため、どのジン銘柄にも必ず使用しなければいけません。
このジュニパーベリーに加えて、通常は4〜10種程度ボタニカルが使用され、もちろんレシピは各銘柄異なります。

そしてこれらのボタニカルの活かし方、つまりは抽出方法は主に3つの方法があります。

  1. ベースのスピリッツにボタニカルそのものを漬け込むだけ(蒸留はしない)
  2. バスケット法にて抽出(蒸留する)
  3. 浸漬法にて抽出する(蒸留する)

このように3つの方法があるのですが、2と3の蒸留させる方法が主流で、ほとんどの有名銘柄でどちらかの方法を採用しています。
次項で2と3それぞれの方法を詳しく見ていきましょう。
(1については文字どおり漬け込むだけなので、詳しい解説は省略します)

バスタブジン?
1の蒸留せずに漬け込む方法は、昔はバスタブを利用して漬け込まれていたため「バスタブジン」などとも呼ばれます。(正式名はコンパウンド・ジン)
クラフトジンの有名銘柄でそのままの名がついた銘柄があるのですが、もちろん蒸留せずに漬け込むだけで造られています。

ジンの蒸留方法 〜 バスケット法

まずは2の「バスケット法」から見ていきましょう。

バスケット法を表した図

バスケット法とは、蒸留の際にボタニカルが入った「バスケット」を蒸気が通ることで風味づけがされる、という製法。

その仕組みについて詳しく見ていくと、まず、蒸留器(主にポットスチル)の上部のラインアーム部分に、ジンバスケットと呼ばれる箱のようなものを取り付け、その中にボタニカルを詰め込みます。
この状態で蒸留を行うことで、アルコールの蒸気が必ずジンバスケット内を通過します。
蒸気が通過する際に、ジンバスケット内に入ったボタニカルの風味が付加され、ボタニカルのスピリッツが出来上がるのです。

この製法では主に、ボタニカルの香りが重点的に加えられ、全体的なフレーバーは軽やかなものになります。

一般的に掃除などの手入れが楽な方法ではありますが、採用している銘柄は浸漬法に比べ少ないのが現状です。

バスケット法で主な造られるジン銘柄

  • ボンベイサファイア
  • スターオブボンベイ
  • ザ・ボタニスト
  • バルメナック・カルーンジンなど…

ジンの蒸留方法 〜 浸漬法

次に3の「浸漬法(しんせき)」について。

浸漬法を表した図

浸漬法とは、ボタニカルをベーススピリッツに直接漬け込み、それを蒸留することで風味を得る、という製法です。

こちらはよりシンプルな製法で、まず、蒸留器(主にポットスチル)にベーススピリッツとボタニカルを投入し、そのままの状態で数日程度漬け込み(浸漬)ます。
浸漬が終えたら、ボタニカルが入ったそのままの状態で蒸留することで、ボタニカルの風味が付いたスピリッツが出来上がる、といった仕組みです。

この製法では「バスケット法」より直接的にボタニカルを加えるため、全体的なフレーバーはしっかりしたものになり、ボタニカルの香りが香ばしくなります。

こちらは手入れにやや手間がかかる方法で、ボタニカルが蒸留器内に焦げ付きやすく、掃除が容易ではありません。
しかしながらジンの王道の製法とされ、多くのジン銘柄ではこの「浸漬法」を採用しています。

浸漬法で造られる主なジン銘柄

  • ビーフィーター各銘柄
  • タンカレー各銘柄
  • 季の美
  • サントリーRoku(六)
  • モンキー47
  • ヘンドリックスなど…

まとめ

ここまでジンの基礎知識として、ボタニカルの抽出・蒸留方法について解説してきました。

最後に記事内容をまとめると…

  • ジンのボタニカル抽出方法は主に3つあるが、そのうち2つの蒸留させる方法がほとんどのジンで採用されている。
  • バスケット法は、ボタニカルが入った「バスケット」を蒸気が通ることで風味づけがされ、ライトなジンが出来上がる。
  • 浸漬法は、直接ボタニカルを漬け込み、それを蒸留させることで風味づけされ、しっかりしたジンが出来上がる。
  • 浸漬法が王道の製法で、タンカレーや季の美、ヘンドリックスなど多くのジンで採用されている。

ジンの蒸留方法としては、バスケット法より浸漬法が王道とはされているものの、だからといって優劣がつけられるものではなくそれぞれ特徴が異なります。
とはいえ、浸漬法とバスケット法とを飲み比べてみると結構違いが分かるものです。(もちろん銘柄にもよります)
まずは双方を飲み比べてみて、ご自分の好みを判断するのも良いかもしれません。

それではこの辺で。

著者:小針 真悟

[LiquorPage運営責任者] お酒の現場を7年経験したのちに独立。お酒の魅力を多くの人に知ってもらうべく、2016年11月に「LiquorPage」の運営を開始。 洋酒から和酒まで幅広い知見をベースに、様々な酒類専門メディアの執筆・編集のほか、酒類イベントの企画運営やWEB制作、プロモーション業にも携わる。写真撮影も行うなど、お酒を通じた様々な制作業を一人でこなす。(ただの酒好き)

関連記事

  1. 割材こそが重要?ナチュラル志向の飲料ブランド「フィーバーツリー」を徹底解説 割材こそが重要?ナチュラル志向の飲料ブランド「フィーバーツリー」…
  2. ジャパニーズ・クラフトジン ジャパニーズ・クラフトジンが今アツい!話題の4銘柄をご紹介
  3. 造り手19社が集結し創り上げたジン「OSUZU GIN DistiRally NEXT 2022」を発売! 造り手19社が集結し創り上げたジン「OSUZU GIN Dis…
  4. ジャパニーズクラフトジン・AKAYANE 焼酎の名門が造るジャパニーズクラフトジン「AKAYANE」の魅力…
  5. バーヒル・ジン〜なぜハチミツ農家がクラフトジンを手がけることになったのか? バーヒル・ジン〜なぜハチミツ農家がクラフトジンを手がけることにな…
  6. 季のTEA(KI NO TEA)・特徴と魅力 季の美のお茶香る限定クラフトジン「季のTEA」の魅力に迫る
  7. 一度は飲むべき!ジンの本場イギリスの王道クラフトジン5選 一度は飲むべき!ジンの本場イギリスの王道クラフトジン5選
  8. ジン&トニックの付け合わせ、ライムはもう古い?海外では“あの”フルーツが人気! ジン&トニックの付け合わせ、ライムはもう古い?海外では…

おすすめ記事

【ブルックラディ&ザ・ボタニスト】現代バーシーンの最高峰「ZEST」によるマスタークラス&ゲストシフト - 開催レポート 【ブルックラディ&ザ・ボタニスト】現代バーシーンの最高峰「ZEST」によるマスタークラス&ゲストシフト – 開催レポート

“量よりも質”という観念を軸に、サステナブルな栽培法を取り入れ、ワイン&スピリッツ業界に革新をもたら…

日本のジンの造り手21社が集結し創り上げた『YASO GIN DistiRally NEXT 2024』を発売! 日本のジンの造り手21社が集結し創り上げた『YASO GIN DistiRally NEXT 2024』を発売!

この度、洋酒専門の酒販店・株式会社千雅とLiquorPage(当メディア)は、国産ジンが造り手が一つ…

国産ジンの造り手21社が新潟に集い、唯一無二のジンを創る「DistiRally NEXT 2024」始動! 国産ジンの造り手21社が新潟に集い、唯一無二のジンを創る「DistiRally NEXT 2024」始動!

この度、当メディア(LiquorPage)、および洋酒専門の酒販店・株式会社千雅は、国産ジンが造り手…

人気の記事

  1. あのパーカーポイントが日本酒に!90点以上78銘柄を発表 日本酒版パーカーポイント
  2. ジャパニーズ・クラフトジンが今アツい!話題の4銘柄をご紹介 ジャパニーズ・クラフトジン
  3. 日本でも流行必至!「クラフトジン」の特徴と銘柄まとめ クラフトジンとは?
  4. ウイスキー世界売り上げランキングTOP20 世界ウイスキー売上ランキング
  5. 世界一売れているビールは?2015年世界シェアTOP10を発表! 世界一のビールは?

新着記事

関連記事

PAGE TOP