日本酒といえば、低温から高温まで幅広い温度で楽しめる世界的にも珍しいお酒。
シーンに合わせて、温度を変えて飲むのは日本酒の醍醐味であったりします。
さて、そんな日本酒ですが、温めた日本酒を指す言葉として「熱燗」以外にも「ぬる燗」などがあることをご存知の方は多いと思います。
これらについて、なんとなく熱ければ熱燗、ぬるければぬる燗と覚えてはいないでしょうか?
実はこうした日本酒の温度帯を指す用語には、しっかり基準が定められています。
本記事では、日本酒の温度を表す用語について、具体的な温度やその特徴をわかりやすく解説していきます。
日本酒をより楽しむ上で役立つ知識ですので、ぜひ理解しておきましょう。
熱燗・ぬる燗の基準を覚えておいた方が良い理由
熱ければ熱燗、ぬるければぬる燗という、大まかな捉え方でももちろん問題ではありません。
しかし「ぬるければぬる燗」ではなんとも曖昧なうえ、人それぞれ「ぬるめ」の捉え方も違いますよね?
それでは困ることもあるので、温度別でしっかり定められて、ぬる燗なら何度と基準があるわけです。
これらの知識は、日本酒を扱うプロなら知っているのですが、一般の方にはそう知られていないのが現状です。
しかし知ることで、日本酒の嗜み方、楽しみ方は広がります。
しかも実は、熱燗、ぬる燗だけでなく、他にもたくさん温度を表す用語があります。
温かい日本酒を指す用語だけでも、とびきり燗、上燗、人肌燗など、たくさんの基準・用語があるのです。
知っておくと具体的なイメージを持ってオーダーできるようになります。
それでは詳しく見ていきましょう。
熱燗・ぬる燗・とびきり燗、その他、温度別の日本酒の呼び方
温度が高い順から解説していきます。
とびきり燗
【温度:ほぼ55℃】
最もアツアツなとびきり燗では、味わいが大きく変化し基本的に辛口になります。
大まかには本醸造、普通酒などがおすすめです。
コーヒーのようにアツアツの熱燗を希望される方もいますが、アルコールが飛んでしまい、味わいのバランスが大きく崩れてしまいます。
一般論としてはおすすめできません。
(アルコールは78℃を超えると蒸発してしまいます)
熱燗(あつかん)
【温度:ほぼ50℃】
日本酒に理解があるお店ではこの温度で提供されています。
香り・味ともにシャープになります。
傾向としては本醸造、普通酒、純米酒がおすすめです。
上燗(じょうかん)
【温度:ほぼ45℃】
軽く湯気が出る程度の温度です。
香り・味が引き締まり、ふくらみが出ます。
純米酒がおすすめです。
ぬる燗
【温度:ほぼ40℃】
徳利を持っても「熱い」とは感じません。
ふくらみが生まれ、特に純米酒におすすめです。
人肌燗(ひとはだかん)
【温度:ほぼ35℃】
文字通り、人の体温と同じくらいです。
米本来の旨味を感じやすくなります。
日向燗(ひなたかん)
【温度:ほぼ30℃】
温かくも冷たくも感じません。
一般的にはなめらかな味になります。
常温(じょうおん)
【温度:ほぼ20℃】
香り・味ともにやわらかくなります。
古酒や熟成タイプの日本酒は冷やしすぎない方がおすすめです。
涼冷え(すずびえ)
【温度:ほぼ15℃】
冷蔵庫から出して15〜20分程度経った頃です。
華やかな香りを感じやすく、純米大吟醸や大吟醸などにおすすめです。
花冷え(はなびえ)
【温度:ほぼ10℃】
冷蔵庫から出して数分程度たった頃です。
香り・味が小さくなり、爽やかになります。
雪冷え(ゆきびえ)
【温度:ほぼ5℃】
冷蔵庫の冷蔵室と同程度の温度です。
香り・味ともに閉じた印象になります。
まとめ
以上が日本酒の温度を表す用語です。
数の多さに驚いたのではないでしょうか?
もちろん日本酒を提供するプロでもない限り、これらを暗記する必要はありません。
とはいえなんとなくは理解しておくと、日本酒の嗜み方、楽しみがより広がりますよ。
温度計さえあれば、熱湯と徳利を使って自宅でも簡単にできるので、ぜひ試して見てください。
それではこの辺で。
以上、「あなたは説明できる?「熱燗・ぬる燗・とびきり燗」の違い」でした。
参考文献:日本酒の教科書・新星出版社 著・木村克己
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