名酒「南部美人」によるクラフトジン&ウォッカが発売!酒米をベースに岩手の素材を活用

名酒「南部美人」によるクラフトジン&ウォッカが発売!酒米をベースに岩手の素材を活用

名実ともにトップクラスの“日本酒”の造り手による、“クラフトジン”と“クラフトウォッカ”と聞くと、どんなものなのか気になりませんか?

「南部美人」といえば、全国的な知名度と人気を誇る岩手の名酒であり、日本酒の世界一を決めるIWC(インターナショナルワインチャレンジ)2017のSAKE部門でチャンピオンに輝くなど、世界にもその名が知られています。
その「南部美人」がジンとウォッカの製造計画を発表したのは昨年秋のこと。日本酒の名門による新たな挑戦は大きなニュースとなりましたが、この度ついに製品が完成。
初回限定版となる「南部美人 クラフトジン ザ・ファーストロット」と「南部美人 クラフトウォッカ ザ・ファーストロット」が8/18より販売がスタートしています。
今回はこれらの銘柄について、先日行われた造り手によるオンライン会見をもとに、特徴などをご紹介します。

商品協力:南部美人

コロナ禍で余った酒米をベースに活用したジンとウォッカ

「南部美人」は岩手県二戸市で明治35年より日本酒造りを行ってきた日本でも有数の知名度誇る酒蔵。
そんな造り手がなぜジンとウォッカを手がけることになったのでしょうか?

世界一に輝いた「南部美人 特別純米」

世界一に輝いた「南部美人 特別純米」


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きっかけは、新型コロナウイルスの感染拡大問題によって、社会情勢が大きく変わったことにありました。
元々「南部美人」では、コロナ禍に際して消毒用アルコールの製造を始めており、今後もずっと造り続けるために必要な免許である“スピリッツ製造免許”を取得していました。
一方で日本酒といえば、酒米(酒用のお米)を原料に造られるお酒ですが、コロナ禍で日本酒の販売量が激減したために酒米が余ってしまいました。
その酒米を廃棄するのではなく、新たなお酒の原料として活用したいと考え、“スピリッツ製造免許”で造ることができるお酒として行き着いたのが、ジンとウォッカのプロジェクトだったのです。

ジンは、ベースとなるスピリッツ(高アルコールのお酒)にジュニパーベリーの他、様々なボタニカルを加えて蒸溜することで香り付けされたお酒。
一方でウォッカは、穀物などが原料のスピリッツを白樺(しらかば)の炭でろ過したお酒。
「南部美人」のジンとウォッカは、どちらも酒米を原料とした自社のライススピリッツをベースとして活用。
「ジンもウォッカも全て岩手の酒米からできています。酒米は酒になって本望です。日本酒ではありませんが姿を変えて皆様のもとに届くことを酒米も喜んでいると思います」と、造り手の社長である久慈浩介は語ります。

株式会社南部美人の社長・久慈浩介さん

株式会社南部美人の社長・久慈浩介さん

そうして昨年10月にクラフトジンとクラフトウォッカの製造計画を発表すると、同社の敷地内に蒸溜所を新設。
世界最高峰と名高いアーノルド・ホルスタイン社の最新型蒸溜器を含む2基の蒸溜器を導入し、新たなお酒への挑戦が始まりました。

地元が誇る「浄法寺漆」を活用したクラフトジン

「南部美人」のクラフトジンとウォッカの特徴となる酒米のスピリッツは、日本酒と同じように発酵させ、搾ったものを蒸溜しアルコール度数が高められたライススピリッツ。いわば日本酒「南部美人」のスピリッツをベースとして活用しています。

完成した「南部美人」のクラフトジンとウォッカ

完成した「南部美人」のクラフトジンとウォッカ

前述したようにジンは、様々なボタニカルを蒸溜し香り付けされるお酒ですが、近年は日本でも多くのクラフトジンが造られるようになっており、その大きな特徴として、産地の名産品をボタニカルとして取り入れられていることが挙げられます。
「南部美人」のクラフトジンでは、地元・二戸の名産であり、ユネスコの無形文化遺産登録や日本遺産登録もされた「浄法寺漆(じょうぼうじうるし)」をボタニカルのキーとして使用。漆を使ったジンは日本初であり、極めてユニークだと言えます。
漆はそのまま使うのではなく、香りをよくするため、そして殺菌のために火であぶった状態のものが使用されます。

浄法寺漆をボタニカルとして使用する

浄法寺漆をボタニカルとして使用する

また、一般的なジンは、使用するボタニカルは全てまとめてベーススピリッツに漬け込んで蒸溜しますが、「南部美人」では「浄法寺漆」だけは、その特徴を活かすために他のボタニカルとは分けて蒸溜されています。
そうしてできたそれぞれの原酒をブレンドすることでジンが完成しているのです。

久慈市の白樺でろ過したクラフトウォッカ

ウォッカも、ジンと同じライススピリッツがベースとして活用されているのですが、白樺の炭でろ過しなければウォッカと名乗ることができません。
そのろ過こそがウォッカの重要な工程の一つであり、これによって雑味のないクリアな香りと味わいのお酒ができるのです。

「南部美人」のクラフトウォッカは、そのろ過に使う炭にもこだわり、岩手県久慈市の平庭高原の白樺を炭として加工し、使用しています。
「米由来の高濃度アルコールのうま味やまろやかさを大事にしながら、 白樺の炭によるろ過で味を純粋に研ぎすましています。とても綺麗な透明感ある味わいと、米由来のうま味が特徴になります」と、その仕上がりについて久慈社長は語ります。

平庭高原の白樺活性炭をウォッカ製造時のろ過に用いる

平庭高原の白樺の炭をろ過に用いる

初回限定で販売されるプレミアムな「ザ・ファーストロット」

今回完成したクラフトジンとクラフトウォッカは、初回限定版の「ザ・ファーストロット」として8/18から先行販売が始まっています。
双方「ヴィーガン」認証を取得しているほか、アルコール度数が60%が高いのが特徴で、その香りや味わいが凝縮されていると言って良いでしょう。
実際に「ザ・ファーストロット」は今後展開される予定の通常版より風味を強く引き出しているそうで、それゆえに200mlと1万円と、販売価格もプレミアムです。

「南部美人 クラフトジン ザ・ファーストロット」

「南部美人 クラフトジン ザ・ファーストロット」外箱もプレミアムな作りとなっている

そのジンは、雨上がりの森の中にいるようなウッディで爽やかな香りが特徴的。米由来の繊細でまろやかな口当たりで、後味にはほんのりスパイシーさも感じられる仕上がりとなっています。
一方でウォッカは、久慈社長のコメントどおり、米の繊細な甘みや旨味が活きたクリアな味わい。
どちらも造り手がオススメする飲み方はロックか水割りとのことですが、LiquorPageとしてはトニック割りもオススメです。

なお、通常版となるクラフトジンとクラフトウォッカは、次のロットから製造予定で、アルコール度数は45%前後に調整のうえ、9月中旬以降に700ml4,000円前後で発売する予定とのことです。

詳細

左から「南部美人 クラフトジン ザ・ファーストロット」、「南部美人 クラフトウォッカ ザ・ファーストロット」

左から「南部美人 クラフトジン ザ・ファーストロット」、「南部美人 クラフトウォッカ ザ・ファーストロット」

「南部美人 クラフトジン ザ・ファーストロット」
希望小売価格: 10,000円
アルコール度数: 60度
容量: 200ml
販売: 南部美人・公式オンラインストア

「南部美人 クラフトウォッカ ザ・ファーストロット」
希望小売価格: 10,000円
アルコール度数: 60度
容量: 200ml
販売: 南部美人・公式オンラインストア

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著者:小針 真悟

[LiquorPage運営責任者] お酒の現場を7年経験したのちに独立。お酒の魅力を多くの人に知ってもらうべく、2016年11月に「LiquorPage」の運営を開始。 洋酒から和酒まで幅広い知見をベースに、ジン専門書籍やテキーラメディアなど外部酒類メディアの執筆協力の他、イベントの企画運営にも携わる。(ただの酒好き)

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