テーマは“最愛のジン” 〜 ディスティレリ・ド・パリ「semis」発売記念SP対談

テーマは“息子の誕生” 〜 ディスティレリ・ド・パリ「semis」発売記念SP対談

突然ですが、あなたはもし自分に子供が生まれたら、もしくはそれと同じような人生の一大イベントがあったとき、何をしたいですか?

人それぞれ答えは異なるとは思いますが、子供への思いを一つの形にするべくオリジナルのジンをつくりたいと願い、それを実現させた夫婦がいます。
東京・中目黒のジン&トニック専門店として人気を集める「Antonic」のオーナー、武田夫妻です。
しかも、単なる記念品というだけでなく、それを手がけるのは、大人気クラフトジン「ディスティレリ・ド・パリ」の造り手として知られるフランスの天才蒸溜家、ニコラ・ジュレスさん。
「DISTILLERIE DE PARIS GIN semis(ディスティレリ・ド・パリ ジン スミ)」として商品化され、8月21日(月)に発売されます。

今回LiquorPageでは、その発売を記念して行われた、蒸溜家のニコラさんとブランドアンバサダー兼通訳の河野さん、そして武田夫妻によるスペシャル対談の様子をご紹介。
なぜ息子の誕生記念にジンを手がけることなり、そしてどのような思いが込められているのでしょうか?

溢れる思いが伝わり、天才蒸留家ニコラ・ジュレスの完全オリジナルレシピの実現へ

右からAntonicの武田夫妻、ディスティレリ・ド・パリのニコラさん、ブランドアンバサダーの河野さん

右からAntonicの武田夫妻、ディスティレリ・ド・パリのニコラさん、ブランドアンバサダーの河野さん

Antonicの武田さん

武田さん

私は、以前からプロフェッショナルへの尊敬が強かったこともあり、職人の仕事である酒造りに自分が携わることはないと思っていました。
ただ、息子が生まれたことで考えが変わりまして…初めて自分自身よりとんでもなく大切なものが生まれ、感情が抑えられなくなり、この愛しい気持ちをなんらかの形にしたい、と強く思うようになったんです。それで考えてみると、私たちならジンが一番相応しいと思ったんです。でもそれをやるからには、最高のジンにしたいし、お願いするなら、つくるジンや考え方なども含めて一番のファンだったニコラさんが良いと思いました。
もちろん無理は承知でしたが、Antonicは日本のジンシーンをリードしていく存在であると自負しながら、企画書というラブレターを送りました。
正直なところ、最初に企画書を目にしたときはどう感じましたか?

ニコラ・ジュレさん

ニコラさん

抑えきれない思いから何かが始まるっていうのは、素敵なことだと思いましたし、それは一番好きだと思ったところでした。
Antonic自体もまだ若いプロジェクトですし、お子さんもまだ生まれたばかり…何もかもが新しく、これから始まるという感覚や感情を表現するというのが、とても面白いと思えました。

Antonicの武田さん

武田さん

最初に私がこの案を言い始めたとき、妻は驚いてました。“この人は何を言ってるんだろう”みたいに思われてましたし、私自身、実現は難しいと思う部分はもちろんありました。それでも熱意がありましたし、伝えてみようと思ったんです。

ニコラ・ジュレさん

ニコラさん

強い思いがあることは伝わってきましたし、だからこそ自分にとってもビジョンが見えてきました。
もちろん、難しいチャレンジではありましたが、武田さんの熱意や感情に触れたときから、私の方でもすでにクリエーションが始まっていたんです。

熱意だけではなく、かなり細かく書き記した企画書を、輸入元であるモトックス社をとおしてニコラさんに送ったのだそう

熱意だけではなく、かなり細かく書き記した企画書を、輸入元であるモトックス社をとおしてニコラさんに送ったのだそう

“苗、新芽、若葉”のキーワードから導き出したのは、生命のエネルギーを感じさせるグリーンなジン

現在日本で展開されているディスティレリ・ド・パリのジン、左から「バッチ1」「ベル・エール」「トニック」

現在日本で展開されているディスティレリ・ド・パリのジン、左から「バッチ1」「ベル・エール」「トニック」、今回発売する「semis」もニコラさんの新たなオリジナルレシピでつくられた作品である

Antonicの武田さん

武田さん

今回、私は一つも素材を選んでいません。ストーリーとテーマ、そして熱意を伝えて“苗、新芽、若葉”といった抽象的なテーマを共有しただけでした。
なぜならニコラさんのクリエイティブを信頼していますし、ニコラの作品でもあって欲しいと思い、感性やインスピレーションを尊重し、具現化は全てニコラさんに委ねました。
でもこのジンの中に私たちの要素が何も入ってないわけではないし、むしろすごくたくさんのものを入れてもらったと思っています。

ニコラ・ジュレさん

ニコラさん

熱意や感情などもジンに詰め込むというのは難しいテーマでしたし、これまでの蒸溜で若い芽を使ったことがなく、初めての挑戦でした。
知り合いの農家や花屋さんに通って、私自身も初めて扱う植物の新芽を集めてまわるなど、色々と探りながら試行錯誤していったのですが、通常とは違う予期しないことも起こりました。
それでも、クリエイターとしてはすごい刺激的でしたし、面白い挑戦だったと思っています。

Antonicの武田さん

武田さん

ニコラさんは、私達の想像の域を超えたアイディアを持ってきてくださりました。
何にも染まらない赤ちゃんのイメージから、普段扱っているものではない、よりクリアな“水”に初めて変更してくださったり、貯蔵の際にも普段のステンレスのかめではなく、陶磁器のかめを初めて導入していたり…また、使用するジュニパーベリーにおいても、息子の生まれ年である2021年収穫のものにこだわってくださったり…
そのアイディアの一つひとつが泣くほど嬉しかったです。
ジンとしての仕上がりについても教えていただいても良いですか?

ニコラ・ジュレさん

ニコラさん

若々しいグリーンのニュアンスや柔らかく繊細なニュアンスはもちろんですが、それだけでなく、生き生きとした生命のエネルギーも同時に表現したいと思いました。
グリーンノートとそれを取り巻く柔らかさが統合したときに、弾けるような命のエネルギーをもたらすようにつくっていきました。

ニコラ・ジュレさん

ニコラさん

グリーンのニュアンスは、ワインでいうタンニンと同じ仕事をしています。ワインはタンニンがあるから食事とのバランスが取れるし、骨格をつくってくれます。今回のジンの場合は、グリーンノートが核になっています。それが核にあることで、甘さを包み込んだり相殺してくれるたり、バランスを整えてくれるんです。
例えば、フルーツを多用したカクテルに使うのであれば、そのフルーツを骨格として支えてくれます。
そもそもこのジンには瑞々しいニュアンスもあるので、フルーツと相性が良いと思います。カクテルはもちろん、フルーツを食べながら一緒に楽しむのも良いですね。

生命のエネルギーを感じさせるジンを思い描いたことから、ジュニパーベリーの漬け込みは行わず(一般的には漬け込みされる)、ボタニカルにはグリーンピースや小麦の“新芽”を用いることにしたのだと話すニコラさん

生命のエネルギーを感じさせるジンを思い描いたことから、ジュニパーベリーの漬け込みは行わず(一般的には漬け込みされる)、ボタニカルにはグリーンピースや小麦の“新芽”を用いることにしたのだと話すニコラさん

“最愛のジン”を見つけてほしいという思い

商品名の「semis」はフランス語で「苗」を意味する言葉、武田さんたちの息子の名前「苗」にちなんでいる

商品名の「semis」はフランス語で「苗」を意味する言葉、武田さんたちの息子の名前「苗」にちなんでいる

Antonicの武田さん

武田さん

私たちは日々たくさんのジンを扱い、それを飲むお客様と接してきた中で、“最高のジン”って難しいなと思っていました。好みがそれぞれ違いますし…だからこそ“最愛のジン”で良いんじゃないかと思うようになりました。
香りや味であれ、ストーリーであれ、最愛である理由は何でもよくて…それは、初めて飲んだものだったり、大切な人からいただいたものだったり、いろいろ飲み比べた上で一番好きだと感じたものだったり…それぞれに“最愛のジン”があったらいいなと思っています。
今回のジンは、私たちにとっての最愛をニコラさんに形にしてもらったものであり、最も思いが込められたジンが出来上がったと思っています。

ニコラ・ジュレさん

ニコラさん

最高の音楽が人それぞれ違うように、ジンもそれぞれの思いやストーリーがあると思います。Antonicのような場所が、そうした思いを繋ぐ場所になるのだと思います。
今回のジンは、武田さんたちの思いが宿ったものであって、私にとっては新しい取り組みだったというストーリーがあります。
それを飲み手の方たちが知ることで、他のジンを見る視点も変わっていくでしょう。
Antonicは、ジンはそうした楽しみ方もできるのだと知れる場所にもなると思います。
今回のプロジェクトは、私にとってとても光栄なものとなりました。それを武田さんが受け止めてくれたことに感謝しています。

Antonicの武田さん

武田さん

ジンは本当に自由なお酒で、今回のように思いや熱意を素材につくることもできます。
それを色々な人に伝えたいですし、このジンをきっかけにジンを飲み始めるが増えてほしいと思いますね。

ジンの紹介

DISTILLERIE DE PARIS GIN semis(ディスティレリ・ド・パリ ジン スミ)

DISTILLERIE DE PARIS GIN semis(ディスティレリ・ド・パリ ジン スミ)

ボタニカル:ジュニパーベリー、グリーンピースの新芽、小麦の新芽、ナナミントの新芽、バーベナの新芽、発芽小麦など
容量:500ml
度数:43%
価格:8300円(税抜)
発売:8月21日(月)より
輸入・販売元:株式会社モトックス
購入方法:
① 武蔵屋オンラインショップにて
※8月1日予約受付開始、8月21日〜発売
https://store.musashiya-net.co.jp/

②Antonic 店頭にて 8月21日〜発売
https://www.instagram.com/antonic.gin/
※最新情報はInstagramにて告知
店舗所在地:〒153-0043 東京都目黒区東山1-9-13(中目黒駅 徒歩9分)

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著者:小針 真悟

[LiquorPage運営責任者] お酒の現場を7年経験したのちに独立。お酒の魅力を多くの人に知ってもらうべく、2016年11月に「LiquorPage」の運営を開始。 洋酒から和酒まで幅広い知見をベースに、様々な酒類専門メディアの執筆・編集のほか、酒類イベントの企画運営やWEB制作、プロモーション業にも携わる。写真撮影も行うなど、お酒を通じた様々な制作業を一人でこなす。(ただの酒好き)

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