世界のあらゆるブームを牽引する超大国アメリカ。
近年アメリカではクラフトビールやクラフトウイスキーといった「クラフトなお酒」が大流行しています。
これらのお酒は、今や日本も含め世界的なブームとなっていますが、実は発端になっているのがアメリカなのです。
本記事ではアメリカにおけるクラフトなお酒の流行状況や、そもそもなぜそういったお酒が流行しているのか、考察していきます。
アメリカは世界のクラフトビールブームを牽引している
クラフトビールといえば今や日本でもブームとなっています。
しかし、そのずっと以前よりアメリカではクラフトビールが流行しており、今のクラフトビールのブームの発端となったのはアメリカと言っても良いでしょう。
クラフトビールとは主に少量生産で強いこだわりによって造られるビールで、大手ビールとは違う個性的な味や見た目のビールが多いのが特徴。生産者は大小ありますが基本的には小規模。
大手のビールや定番ビールが大手チェーン店だとするならば、クラフトビールは個人店です。だからこそ大手にはできない個性的なビールを造れるというワケです。
アメリカでは、こういった個性的なビールが受け入れられ、普通のスーパーでも当たり前かのようにクラフトビールがたくさん売られ、しかもかなり売れているようなのです。
それは統計にも出ており、今や全米のビール売上のうちクラフトビールは22%もの割合を占めています。(Brewers Associationより)
日本でのクラフトビールの市場は(ブームとはいえ)1%にも満たないことから、この22%という数字がいかに凄いかが分かると思います。
また、そういったブームを背景に、大手ビールメーカーがクラフトブリュワリー(生産者)を買収するといった動きも見られ、マーケティング面も考慮すると今後もブームの加速度は増していきそうです。
クラフトビールブームを象徴する「IPA」はアメリカが流行らせた?
世界的なクラフトビールブームの中で、特に注目されているのが「IPA(インディア・ペールエール)」と呼ばれるホップの苦味を効かせたビールスタイル。
19世紀ごろからあるビールスタイルですが、近年注目されるキッカケをつくったのは、実はアメリカの「ストーン・ブリューイング」という有名クラフトブリュワリーです。
1997年に「ストーンIPA」という名で売り出されたIPAビールは、瞬く間にビールマニアを虜にし、IPAの認知拡大とともに近年のIPAブームの火付け役になったとされています。
実はクラフトウイスキーの世界的ブームもアメリカが発端?
アメリカといえばウイスキーも有名ですが、実は今、ウイスキーでも「クラフト」が流行しています。
こちらも、今でこそ日本でもブームとなりつつありますが、火付け役となったのはこれまたアメリカ。
アメリカでは数年前から、クラフトビールのいわばウイスキー版、クラフトバーボンやクラフトウイスキーなるものが流行しているのです。
アメリカのウイスキーの産地というとバーボンの主要産地であるケンタッキー州のイメージが強いですが、例えばシカゴやコロラド、テキサスなど様々な地域にクラフト蒸留所が誕生しています。
なかには高架下の工場を改築した蒸留所やガレージのような蒸留所もあり、「ウイスキー完全バイブル」によれば、その数はなんと全米で400以上にものぼるとされています。
また、とてもユニークな造りのウイスキーも多く、例えばキヌアやキビ(ミレット)など今までではありえない原料を使ってみたり、麦芽の乾燥に木のチップを使用してみたり、はたまた全原料オーガニックのウイスキーを造ってみたりと、かなり自由です。
自由な感性を持つアメリカ人の間で、こういった自由なウイスキーが人気を呼び、それが世界各国にも飛び火しているのです。
クラフトウイスキーブームの立役者もアメリカに
現在の世界的なクラフトウイスキーブームにおいて一役担った人物も、実はアメリカにいます。
コーヴァル蒸留所は、2008年創業と、ウイスキーが今と比べ下火だった時期にシカゴに新設されたクラフト蒸留所。
当時はアメリカでも珍しいクラフト蒸留所でしたが、生み出すウイスキーは瞬く間に高評価を得て、クラフトウイスキーにスポットが当たるようになります。
一躍有名になったコーヴァル蒸留所ですが、蒸留所長のロバート・バーネッガー氏は自ら持つを技術を出し惜しみせず、ウイスキー生産に興味を持っている者向けに数多くのワークショップを開き、クラフトウイスキーの普及に努めたとされています。
そういった教え子たちが今度は自らクラフト蒸留所を創業し、ブームを加速させていったのです。
いわばコーヴァルは「クラフトウイスキーの宣教師」といったところでしょう。
クラフトなお酒が流行しているのはアメリカの「自由の精神」が関係?
さて、ここまで記したようにクラフトなお酒が流行しているアメリカですが、そもそもなぜ、定番ではなく「普通」でもないお酒が流行しているのでしょうか?
あくまで筆者の推測ですが、この背景にはアメリカの国民性である「自由の精神」が関係していると思われます。
何かと自由が尊重される文化のアメリカですが、「自由の精神」が念頭にあることによって、生産者側は自由に自分たちの造りたいお酒を造り、消費者側も「定番」ではなく自分の好みで自由に選ぶ、ということが文化として根付いています。
また、シリコンバレーでは未だに有力なベンチャーが出てきていることからも分かるように、「無いなら自分たちで作ってしまおう」というベンチャースピリットが旺盛で、かつそれを活かしやすい風土があることも関係しているでしょう。
(ちなみに「自分たちで作ってしまおう」精神は、アメリカのAirbnbで手作りハウスが多く見られることからもよく見て取れる)
このような文化や風土によって、アメリカでは多くのクラフトビールやウイスキーが誕生し、なおかつそれらが受け入れられているのだと思います。
まとめ
アメリカでブームとなっているクラフトビールやクラフトウイスキー、それに最近ではジンなど、その熱は今や世界中に飛び火し、ここ日本にも流れが来ています。
(国産のクラフトビールやクラフトウイスキーはもちろん、国産ジンや、日本酒のベンチャーも増えている)
やはりクラフトなお酒は、定番とは別な道を行く「特別な個性」が魅力です。
お酒は嗜好品中の嗜好品ですから、ちょっとしたこだわりがある方が面白いと思います。
ぜひ今夜は、いつもの定番とは違う「クラフトなお酒」で乾杯してみてください。
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