高級白ワイン入りのクラフトジン?「フェルディナンズ」の魅力とは

クラフトジン・フェルディナンズ

少量生産で強いこだわりのもと造られるクラフトジンには個性的なブランドがたくさんあります。
今回ご紹介する「フェルディナンズ・ジン」も唯一無二とも言える個性を持つクラフトジンです。

見た目がおしゃれでボトルだけでも価値がありそうなジンですが、本記事ではこのフェルディナンズ・ジンについて、特徴や魅力、そしておすすめの飲み方など、詳しくご紹介していきます。

ジンとは
ジンは、ベースのスピリッツにハーブや果皮、スパイスなどの「ボタニカル」を数種加え風味づけされたお酒。
ジュニパーベリーは必須だが、ボタニカルのレシピは各銘柄様々。度数は40〜50度が一般的。

ドイツ産のクラフトジン、フェルディナンズ・ザール・ジンとは?

フェルディナンズ・ジンは、ドイツ・モーゼル地方ザール地区にある「アバディス蒸留所」で造られるクラフトジン。
ドイツの「モーゼル」という名を目にして、ワイン好きの人ならピンときたかもしれませんが、このあたりは世界的な高級白ワインの産地

フェルディナンズでは、この地の利を活かし、なんと蒸留後に高級白ワインを添加(後述)して造られています。
なんとも贅沢なジンですが、そもそもは1824年創業の老舗蒸留所であるアバディス蒸留所と、モーゼル・ザール地区のトップワインメーカーのひとつであるゲルツ・ツィリケン家、そして販売代理店のキャプレット・モンタニュー社による共同プロジェクト。この背景があるからこそ贅沢な製法が実現しているのです。

そうして造られる、とりわけ華やかで高貴な白ワインらしさを感じるクラフトジンは、2013年に発売された比較的新しいブランドながらも、欧州中でヒットし、ついに日本でも正式に輸入されるようになりました。(正規輸入元:田地商店)

フェルディナンズ・ジンの4つの特徴

フェルディナンズ・ジンが、「ドイツの白ワインが加えられた贅沢なジン」ということがお分りいただけかと思いますが、その特徴や魅力についても少し詳しく触れてみましょう。
フェルディナンズの魅力を知る上で重要なポイントをあげると、以下の4つとなります。

  • 蒸留後に高級白ワインを加える
  • 3種の麦から造られたベーススピリッツを使用
  • 自家栽培も含む約33種のボタニカルを使用
  • とにかくおしゃれなボトル

それぞれ詳しくみてきましょう。

蒸留後に高級白ワインを加える

すでに触れている通りフェルディナンズ・ジンでは、蒸留所に白ワインが加えられています。
この時加えられる白ワインは、ただの白ワインではありません。

ドイツのモーゼル・ザール地区産の、リースリングを使用したシュペトレーゼワインです。
リースリングとは甘口で知られる白ワイン用のぶどう。そしてシュペトレーゼとはドイツワインの等級で、一般的なドイツワインより高価で甘みが強いものをさします。

フェルディナンズに添加されるシュペトレーゼに使用されているリースリング

使用するシュペトレーゼは通常より糖度が高いリースリングを使用している。©︎株式会社田地商店

つまりフェルディナンズに使用されるワインは、名産地と名高いドイツ・モーゼルが生んだ高級甘口白ワインということになります。
この高級甘口白ワインを、ベーススピリッツに加えるのではなく、ボタニカルを加え蒸留させた後の原酒に加えています。
よって、白ワインを加えた後に蒸留はされないので、ワインのような高貴な甘みが活きたジンとなるのです。

3種の麦が原料のベーススピリッツを使用

フェルディナンズ・ジンでは、ジンのそもそものベースとなるスピリッツに、小麦、ライ麦、スペルト小麦から造られたスピリッツを使用しています。
ジンのベーススピリッツには、廃糖蜜(モラセス)を原料としたスピリッツが使用されることが多いのですが、フェルディナンズではベーススピリッツにもこだわり、これらの3種の麦のみから造られているのです。
しかもそのベーススピリッツも自家製です。

自家栽培も含む約33種のボタニカルを使用

フェルディナンズ・ジンでは、クラフトジンらしくボタニカルにもこだわっています。
自家農園で栽培されるラベンダーやヴィンヤードピーチ(ワイン畑の桃)、クインス(西洋カリン)など、約33種ものボタニカルを使用し、そのうち約7割は地元産
クラフトジンらしく地域性が反映されています。

フェルディナンズと使用されるボタニカル

ラベンダーやクインスなど自家栽培ボタニカルも多く使用している。©︎株式会社田地商店

これらボタニカルの蒸留に使用するのはドイツのカール社の最新型ポットスチル。(日本のジン・季の美も同社のポットスチルを使用)
自動制御が搭載されたハイテクなポットスチルで、データをもとに最適な蒸留を可能としています。

とにかくおしゃれなボトル

お酒の質とは直接的には関係のないポイントかもしれませんが、フェルディナンズ・ジンはボトルがとてもおしゃれで、まるでアロマディフューザーのようです。

フェルディナンズのボトルデザイン

ただ飾るだけでもインテリアになりそうなボトル。©︎株式会社田地商店

クラフトジンは見た目にこだわるブランドが多く、ある意味デザイン合戦にもなっているのですが、その中でもフェルディナンズは光るものがあり、空き瓶も有効活用できそうです。
質とは直接的に関係がないとはいえ、選ぶときの重要な動機にもなりますし、やはり見た目が良いボトルの方が満足感があります

インスタ映えも間違いないでしょう。

フェルディナンズ・ジンの味とおすすめの飲み方

香り:一般的なジンとは少し異なる、フルーティー&フローラルな華やかな香り。白ワインの香りもわりとしっかり感じます。
:落ち着いた上品かつ複雑な味わい。ジンとしては甘みが強く、甘口白ワインの風味を感じますが、後味はすっきりです。

自宅でも実践できるオススメの飲み方

筆者としては、白ワインのように冷蔵庫(冷凍庫ではなく)で冷やしそのままストレートで味わうのがオススメです。
もちろん度数が高いので、ジンと同量程度の水で薄めトワイスアップにするのも良いでしょう。

だんだんとジンの温度が上がり、香りの変化を楽しむことができます。
何より自宅でも簡単に実践できるのでオススメです。

まとめ

最後に、フェルディナンズ・ジンについてざっくりまとめると…

  • 蒸留後に高級甘口白ワインを加える。
  • 3種の麦から造られたベーススピリッツを使用。
  • 自家栽培も含む約33種のボタニカルを使用。
  • おしゃれなボトルで空き瓶も有効活用できる。

このように、フェルディナンズは唯一無二とも言える特徴を持つクラフトジンです。
ドイツ産のジンというと近年はモンキー47が有名ですが、こちらも日本でも知名度を人気を上げつつあります。

ぜひ見かけたら味わってみてください。

著者:小針 真悟

[LiquorPage運営責任者] お酒の現場を7年経験したのちに独立。お酒の魅力を多くの人に知ってもらうべく、2016年11月に「LiquorPage」の運営を開始。 洋酒から和酒まで幅広い知見をベースに、ジン専門書籍やテキーラメディアなど外部酒類メディアの執筆協力の他、イベントの企画運営にも携わる。(ただの酒好き)

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