普段飲んでいるお酒がどんなふうに造られているのか、気になる時ありますよね?
日本人にとってなじみ深い焼酎の中でも、とりわけ人気がある芋焼酎。
ですが、その造られ方についてはあまり知られていません。
そこで今回は芋焼酎の製造工程について、簡単にご紹介!
実は芋焼酎は、数ある焼酎の中でも特に手間がかかる工程を経て造られています。
それを知ることで、今まで以上に芋焼酎を美味しく味わえるかもしれません…
1. 芋の下処理
主原料となるさつま芋は保存に向かないため、収穫後すぐに使う必要があります。
まずは洗浄して泥を落とし、一つ一つの芋の状態を人の手でチェックし、選別。
傷などを包丁で切り落とす「芋削り」もこの時行われます。
処理後のさつま芋はすぐさま蒸し器に送られ、蒸し上がった芋は今度は破砕機に投入。
ここで「破砕」が行われ、芋が細かく切り刻まれたら下処理の完成です。
2. 製麴 (せいきく)
焼酎は、日本酒と同じように麹の力を借りて原料を糖化・発酵させます。
ここで言う麹とは米に麹菌を繁殖させたもので、米麹とも呼ばれます。
蒸した米を麹菌に振りまいて混ぜ合わせたりしながら繁殖させるのですが、今は回転式ドラムと三角棚と呼ばれる製麴装置を使うのが一般的です。
麹菌の種類には、黒麹、白麹、黄麹の3種があり、どれを使用するかによって味わいに多少違いが出るとされています。
3. 一次仕込み / 発酵
米麹に水と酵母を加えてアルコール発酵させる工程です。
伝統的な仕込み容器である甕(かめ)やタンクにて行われ、麹が米の主成分であるデンプンを発酵に必要な糖分に分解させ、酵母がそれをアルコールへと変えます。
だいたい1週間程度発酵させ、アルコール15度前後の「一次モロミ」が出来上がります。
4. 二次仕込み / 発酵
ここでようやく主原料であるさつま芋の出番です。
一次モロミに、水と下処理を終えたさつま芋を加え、2回目の発酵が行われます。
芋が加わることで麹と酵母の働きが活性化され、激しく泡立てながら発酵。およそ7日〜10日ほど行われ、モロミはドロドロした状態から段々と液状になってきます。
ちなみに、このとき加える原料を芋ではなく、麦に変えれば麦焼酎に、米に変えれば米焼酎になります。
5. 蒸溜
芋焼酎など、本格焼酎(乙類)は、単式蒸溜器での蒸溜が欠かせません。
蒸溜とは、沸騰・蒸発させた気体を冷やして液体に変えること。アルコールと水は沸点が違うことから、その差を利用して、より度数の高いアルコールを取り出します。
焼酎の場合、蒸溜器に二次モロミを投入し、1度だけ蒸溜を行います。
蒸溜によってできる原酒の度数は、だいたい40度前後になります。
6. ろ過
蒸溜したての原酒には、風味を損なう成分が含まれていることもあるため、特殊なフィルターなどを使ってろ過を行います。
なお、ろ過は、貯蔵後にも行われることが多く計2回実施されるのが一般的です。
一方で、ろ過を全く行わなずに「無ろ過」として売り出す焼酎や、ろ過を最低限に抑えて「荒ろ過」として売りに出されるケースもあります。
7. 貯蔵
蒸溜したての焼酎原酒は、角がたつものや粗い味わいのものも多くあります。それを一定期間貯蔵することで、味を落ち着かせます。
伝統的な甕で貯蔵したり、ホーロータンクや樽などを使用したり、その方法は様々です。
貯蔵期間は一般的には2〜3ヶ月程度とされていますが、より長く貯蔵される焼酎もあり、その期間が長ければ長いほど付加価値がつきやすくなります。(ウイスキーなどと同様)
8. 割水
原酒のままでは度数が40度前後あるので、瓶詰め前に水を加えて度数の調整を行います。
このとき使用する水は仕上がりの質を左右するともされ、とても重要視されています。
日本という土地柄、その多くは軟水が用いられ、最終的に20度や25度など、商品としての度数に調整されます。
一方で割水を行わない焼酎もあり、この場合「原酒」として売り出されます。
9. 瓶詰め・出荷
度数調整を終えた焼酎は、専用に機器にて、いよいよ瓶に詰められます。
機械や人の目も使いながら厳しいチェックを行い、問題なければ「芋焼酎」として世に送り出されます。
まとめ
このように非常に多くの工程を経て造られる芋焼酎。
数あるお酒の中でもとりわけ手間がかかり、特に芋の下処理など人の手でなければならない工程も少なくありません。
また、基本的に保存ができないというさつま芋の特性上、9〜12月前後の間のみ製造が行われるのが通常です。
それゆえその期間中の焼酎メーカーは多忙を極め、「(他の焼酎と比べて)芋焼酎造りは大変」と話す造り手も少なくありません。
それでも造り手は、多くの人に焼酎を飲んでもらいたいという思いから、手間暇かけて焼酎造りを続けます。
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