日本の國酒と知られる焼酎と日本酒。
それぞれの名手がコラボレーションして創りあげたのは、焼酎でも日本酒でもなく“クラフトジン”でした…
“OSUZU GIN”といえば、焼酎の名手として知られる“尾鈴山蒸留所(宮崎・木城町)”が手がける、数ある国産クラフトジンの中でも高い人気を誇るブランドです。
同蒸溜所の代表である黒木信作さんが“澤屋まつもと守破離”などを生み出した日本酒の名手であり、自身と親交が深い松本日出彦さんと一緒に創りあげたのが、今回ご紹介する『OSUZU GIN KYOTO (Hidehiko Matsumoto Remix)』です。
松本さんの拠点である京都のほうじ茶や松の葉を活かした一度限りの特別なジンで、11/28(日)より発売となります。
当記事では、このジンがどのような経緯で誕生し、どのような仕上がりとなったのか、黒木さんと松本さんにお話しを伺いながらご紹介します。
「人とのつながりが生み出す思い出の瞬間を切り取った特別なジン」
“百年の孤独”や“㐂六(きろく)”など人気の焼酎ブランドを手がける黒木本店の別屋であり、自然豊かな深い森の中に佇む“尾鈴山蒸留所”
“山ねこ”などの“山”シリーズの焼酎が造られるこの蒸溜所で、新たな挑戦とした2020年春に発売されたのが、大地の香水とも表現される“OSUZU GIN”です。
一方で、酒処京都を代表する日本酒蔵の一つである“松本酒造”にて杜氏を務め“澤屋まつもと守破離”を生み出すなど、気鋭の造り手として業界に旋風を巻き起こしてきた松本日出彦さん。
2020年秋に同酒造を去ることになって以降“武者修行シリーズ”と題して、名だたる日本酒蔵とコラボレーションしながら酒造りを行ってきました。
ともに伝統酒の分野で輝く造り手という共通点はあるものの、焼酎と日本酒という似て非なるお酒を手がけてきた2人。
そんな2人がなぜ一緒に、それもジンというお酒を造ることになったのでしょうか…
実は2人は、親交が深いことで知られています。
元からお互いを知ってはいた中で、6年ほど前からは、宮崎と京都という離れた場所に拠点を置きながらも、定期的に飲み交わすようになるなどプライベートでも仲良くなるように。
その様子はSNSにもあげられていたため、お酒好きの方ならご存じの方も少なくないはずです。
そうした仲だったことから、昨年、松本さんが自身の蔵を去ることになったときに、黒木さんは今回の企画を思いついたのだそうです。
「当初は(蔵から去ることになった)日出彦さんを応援したいという思いから、一緒にお酒を造りましょうと提案しました。元々お酒造りの技術とセンスは素晴らしい方ですが、あえて日本酒の世界ではやらなかったことに挑戦してもらった方が面白いと思い、ジンを一緒に造ることにしました」と語るのは黒木さん。
一方で松本さんは元からジンが好きだったのだとか。
「ジンが大好きで、バー巡りもよく行くのですが、初めて伺わせてもらったバーでは、必ずジントニックを飲ませてもらうほどです。バーテンダーさんのブレンド一つで味の印象も変わるので非常に興味深いお酒でした」と松本さん。
黒木さんは、そうした松本さんの一面も知っていたこともあって、一緒に造るお酒をジンと決めたのだそうです。
では、どのようなジンを2人で創りあげようと思ったのか…今回のジンのテーマについて黒木さんは「人とのつながりが生み出す思い出の瞬間を切り取ったジン」だと語ります。
「今年の初めごろ、日出彦さんたちと一緒に回った京都の風景をインスピレーションにしています。その際、建仁寺で座禅を組んだのですが、松林があるお寺の中でお香が焚かれていて、座禅を終えた後には住職さんにほうじ茶を出していただきました。そのときに日出彦さんと一緒に考えたこと、感じたことをジンに落とし込もうと思ったんです」
そうした経緯から、このジンを造る上で重要なボタニカルとして選んだのは、座禅の風景から切り取った京都の松の葉とほうじ茶。
なかでもほうじ茶は、松本さんの同級生であり、お茶の名産地・宇治の茶舗“丸利吉田銘茶園”から仕入れたものを使用するなど、人とのつながりが生み出すジンらしさも見られます。
製法に関しては、定番ボトルの“OSUZU GIN”と同じように、芋焼酎“山ねこ”のスピリッツをベースにしながらボタニカルごとに蒸溜し、ブレンドすることで仕上げることになるのですが、そのブレンドの工程は、松本さんが複数のボタニカル原酒を駆使しながらレシピを構成。
「これまで香りに頼らないお酒も造ってきた日出彦さんが、ジンの香りの多様性にふれた結果、どういう選択をするのか興味もありました」と黒木さんは語り、松本さん自身が気に入っていた柑橘の原酒をあえて使わない選択をしたことは印象的だったと振り返ります。
そうして試行錯誤を重ねた末に完成したジンは『OSUZU GIN KYOTO (Hidehiko Matsumoto Remix)』と命名。
従来の“OSUZU GIN”に、京都の風景と松本日出彦という人のエッセンスが重なっていることを表しています。
気になる仕上がり、おすすめの飲み方とは?
人とその思い出をテーマとした今回のボトル。
「今までは自分たちの住む土地の世界観をベースにジンを造ってきた中で、日出彦さんという人を通して新たな土地とのつながりができました」と手応えを感じているのは黒木さん。
一方で松本さんは「今回、信作くんと一緒にジンのブレンドをさせてもらえたことで、よりジンの奥深さに魅了されました。今回は、何度か宮崎に訪れて尾鈴山蒸留所の皆さんのお陰で、私らしい味わいが表現できたかと思います」と語ります。
気になるその味わいについては「松の香りが結構面白くて…グリーンな香りと華やかなオイリーさが引き立っている中で、ほうじ茶の香ばしくてビターな風味がバランスよく調和しています。そこに京料理でも使われる生姜や山椒の香りが重なることによって、ジンとしての奥行きが出せたと思っています」と黒木さんは説明します。
また、飲み方については、ソーダ割りやお湯割りが特にオススメとのこと。
もちろんカクテルとしてもその魅力を発揮できるそうで「ぜひ皆さんのブレンドでお試しください」と松本さんは訴えます。
何かと個性に注目が集まりがちなクラフトジンですが、実は造り手の思想や思いがにじみ出たブランドも少なくありません。
その中で今回ご紹介したのは、黒木信作さんと松本日出彦さんという、焼酎と日本酒の業界で切磋琢磨してきた2人の思い出の瞬間を切り取ったジン『OSUZU GIN KYOTO (Hidehiko Matsumoto Remix)』
飲むのも人、造るのも人であり、造り手の思いに自分を重ねてみるのもクラフトジンの一つの楽しみ方です。
あなたもこのジンを片手に、友人との思い出を振り返ってみては?
OSUZU GIN KYOTO (Hidehiko Matsumoto Remix)
ボタニカル:ジュニパーベリー、松の葉(京都産)、ほうじ茶(京都・宇治産)、山椒、生姜
容量:700ml
度数:45%
値段:4,400円(税込)
発売:11/28(日)10:00〜 公式オンラインストアおよび全国の特約店で販売開始
⇒“尾鈴山蒸留所”公式オンラインストア
⇒国産クラフトジンの造り手インタビュー記事まとめ
⇒ジン好きが選ぶ、まず味わっておきたい「定番クラフトジン」6選
全国のバーテンダーの人となりを知ろう!
⇒バーテンダーへの8つの質問
ジン・クラフトジンを買うならAmazonがおすすめ!
⇒Amazonのジンストア