ブルゴーニュワイン 〜 ドメーヌとネゴシアンの違いとは

何かと「わかりにくい」ことが多いワイン。
ことブルゴーニュワインは特にわかりにくいと言われることが多い傾向にあります。

なかでもよく言われるのが「ドメーヌとネゴシアンの違い」について。
ブルゴーニュでは、ボルドーなど他の産地とは異なり、ドメーヌとネゴシアンという2つの異なる体制によってワインが供給されています。

本記事ではこの「ドメーヌとネゴシアンの違い」について、ワインにあまり詳しくない方でもわかりやすいよう簡単に解説していきます。
それでは見ていきましょう。

ブルゴーニュ独自の仕組み「ドメーヌとネゴシアン」とは

まず先にざっくりと説明すると…
ドメーヌとはブドウの栽培からワインの生産、出荷まで一貫して行う生産者をいいます。
対してネゴシアンとは、ワインの原料を買い付け自社製品として売り出す専門業者といったところ。

ブルゴーニュは、規模の大きい生産者が多いボルドーとは異なり、規模の小さい生産者が多いのが特徴。
ボルドーでは生産者単位でブドウ畑が分かれているのですが、ブルゴーニュでは一つのブドウ畑を複数の生産者が所有するのが一般的です。
これは歴史的事情も絡んでおり、フランス革命によって修道院や貴族の領地が市民に割譲されたことや、ナポレオンが定めた均分相続制によって土地が分割されていったことによって、昔から名がついていたブドウ畑を複数の生産者で所有するようになりました。
こういった事情もあり、ボルドーなどと比べ生産者単位での規模が小さくなっているのです。

そのため、一般的に例えるならワイナリーであるドメーヌだけでなく、それをサポートするネゴシアンという2つの体制がとられるようになっている、ということです。

ワインのブドウ畑

ブドウを栽培するかしないかは、ネゴシアンとドメーヌの大きな違い。

ネゴシアンとは

前述のようにネゴシアンとは、ワインの原料を買い付け自社製品として売り出す専門業者。
自社ではブドウ畑は所有せずに、買い求めたブドウからワインを生産したり、ワインの原酒を買い取り、それをブレンドし自社製品として売り出します。
規模の小さく十分な生産機能を持たない生産者のサポート的な役割も果たしており、そのためネゴシアンは生産規模が大きい傾向にあります。
規模が大きく、複数の生産者から原料や原酒を調達するため、個性は少ないながらも品質は安定している傾向にあります。

有名どころでは、ルイジャドやブシャール・エ・フィス、メゾン・ルロワなどがこれにあたります。
規模の関係上、ネゴシアン自体の数はドメーヌの数よりかなり少ないといった特徴もあります。

ドメーヌとは

ドメーヌとは、ネゴシアンに頼らずに自社でブドウ栽培からワインの生産、出荷まで一貫して行う生産者。
ネゴシアンとは異なり、ブドウ畑を所有し、栽培からワインの生産まで一貫して自社で行うため、規模は小さいながらも個性化を図りやすいといった一面があります。
規模が小さいため、ドメーヌ自体の数はネゴシアンのそれより多く、個性があるのと引き換えにドメーヌごとの品質には波があるといった欠点も。
しかしながら、知名度や実力があるドメーヌはネゴシアンのワインより価値が高いとされ、値段も高い傾向にあります。

有名どころでは、あのロマネ・コンティを手がけるドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ(DRC)やドメーヌ・ルロワ、ドメーヌ・ルフレーヴなどがこれにあたります。

これらネゴシアンとドメーヌの仕組みは、日本の農業の仕組みと似ているかもしれません。
ネゴシアンが農協(JA)で、ドメーヌがJAを介さずに自ら生産・販売を行う農家といったところです。

ネゴシアン兼ドメーヌである生産者も

このようにブルゴーニュワインを手がける者として手法やアプローチが異なる両者ですが、なかにはネゴシアンも営みつつ、ドメーヌでもあるといった生産者もいます。
例えばルロワ
ブルゴーニュワインの有名かつ一流の担い手であるルロワですが、ネゴシアンとしての「メゾン・ルロワ」と、ドメーヌとしての「ドメーヌ・ルロワ」といった二つの顔を持っています。

他にも、フェヴレやルイラトゥールなどがネゴシアンとドメーヌ両方の顔を持っています。

ドメーヌの方が優れているのか?

ここで挙げたルロワやルイラトゥールなどのドメーヌとしてのワインとネゴシアンワインを見比べればわかりますが、基本的にドメーヌワインの方が価格は高くなります。
また、一般的にドメーヌワインの方が格上に見られる傾向があります。
しかしながら、だからと言ってドメーヌワインの方が優れていると判断するのは早計です。
先にも触れたように、ドメーヌワインはドメーヌごとに品質にばらつきがあるからです。
有名ドメーヌだけ見ればドメーヌワインの方が優れているかもしれませんが、ネゴシアンワインでは品質が安定しており、また、優れたネゴシアンも多いことを忘れてはなりません。

コストパフォーマンス重視なら、ネゴシアンワインの方がハズレは少ないと言えるかもしれません。

まとめ

ここまでドメーヌとネゴシアンの違いについて解説していきました。

最後に、これらの違いをざっくりまとめると…

  • ドメーヌは、ブドウ畑を所有し栽培からワインの生産、出荷まで一貫して行う。
  • ネゴシアンはブドウ畑は所有や栽培は行わず、原料や原酒を仕入れ、自社製品として販売する。
  • ネゴシアンは規模が大きく、個性にはやや欠けるが、質が安定している。
  • ドメーヌは規模が小さく、ドメーヌごとの質にはばらつきがあるが、個性に長けている。

ちなみに日本ソムリエ協会教本によれば、ドメーヌの数は3900、ネゴシアンの数は300となっており(2013年度実績)、ネゴシアンの方が圧倒的に少ないことがわかります。
(それ以上に両者の数の多さに目にいきますが)

これらの違いがわかることで、ワインの選び方も変わってくることでしょう。
ぜひ次回ブルゴーニュワインを選ぶ際は、ドメーヌワインなのかネゴシアンワインなのかチェックしてみてください。

それではこの辺で。

小針 真悟
著者:小針 真悟

[LiquorPage運営責任者] お酒の現場を7年経験したのちに独立。お酒の魅力を多くの人に知ってもらうべく、2016年11月に「LiquorPage」の運営を開始。 洋酒から和酒まで幅広い知見をベースに、ジン専門書籍やテキーラメディアなど外部酒類メディアの執筆協力の他、イベントの企画運営にも携わる。(ただの酒好き)

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